表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

228/842

33-3

 その夜、俺はまた夢の中で精霊竜と会った。

 前回とその前の間隔が長かったから、こんな短い間隔で再び会うことになるだなんて意外だった。


「あなたに話しておくべきことがあります」


 精霊竜のかたわらには、やはりツノの少女もいる。

 相変わらず俺を敵視している。

 俺は身に覚えはないのだが、あちらはそうする理由があるのだろう。


「『稀代の魔術師』に心を許してはなりません」

「スセリにか?」

「そのとおりです。かの魔術師は万物に課せられし『時間』という定めから逃れた邪悪なる者」


 邪悪なる者とはまた大仰な。

 まあ、善なる者でもないのは確かだろうが。

 しかし、俺は精霊竜に対し首を横に振った。


「スセリは俺の先祖で、そして仲間だ。その忠告には従えない」

「あなたはあの魔術師にほだされているのです」


 精霊竜は善意で俺に訴えてきている。

 ツノの少女はともかく、この竜はやさしい竜なのが言葉から伝わってくる。


「折ってしまったとはいえ、あなたは精霊剣に触れられる人間。あなたまで邪悪な側面に落ちてしまってはいけません」

「説得なんて無意味です。やはりこいつはここで始末するべきなんです!」


 大剣を抱えてツノの少女が一歩、前に出る。


「こいつの意識を夢の中で殺せば、二度と目覚めなくなるでしょう。そうすれば聖域にある本物の精霊剣も破壊されずに済みます」

「手荒な真似はよしなさい」

「あなたは優しすぎるのです」


 ツノの少女が大剣を水平に構える。

 俺も剣を召喚し、両手で握る。


「お前をこちら側につかせようとこのお方は考えているが、それも無意味だと分かった。ならばここで死んでもらう!」


 戦いは避けられそうもない……。

 細身でありながら分厚い大剣を軽々と扱う少女。戦いとなれば無傷では済まない。

 柄を握る手が汗ばむ。

 そのときだった。


 ――おきろーっ!


 白い世界にそんな大声が響き渡ったのは。



「ぐはっ」


 俺は腹部に衝撃を受けて、夢の世界から叩き出された。

 むりやり目覚めさせられる。

 ベッドにあおむけに眠っている俺に、桃色の髪の少女が馬乗りになっていた。


「セ、セヴリーヌ……?」

「いつまで寝てんだお前!」


 セヴリーヌがぷくっと頬を膨らませている。

 顔を傾けて時計に目をやる。

 朝食どころか顔を洗うにも早い時刻。文句を言われるような時間ではない。


「ったく、だらしない奴だな。アタシの家に遊びに来るって約束したの忘れたのか?」

「い、いや、忘れてないが……」

「なら、なんでぐーすか寝てるんだ。あんまり遅いから迎えにきてやったんだぞ」


 『遅い』って、まだ朝になったばかりだぞ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ