表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

223/842

32-5

「さて、支度をするかの」


 朝食を食べ終えると、スセリがそう口にした。

 支度?


「なんの支度だ?」


 俺の疑問にマリアが答えた。


「わたくしたち、これから街へ買い物に出かけますの」


 プリシラ、スセリ、マリアは女子三人で買い物の約束をしていたとのことだった。

 どうやら俺が寝ている間に話し合って決めたらしい。


「すみません、アッシュさま。今日は女の子三人でお買い物をするって決めていたのです」

「俺のことは気にせず、買い物を楽しんでくるといいさ」

「はいっ。えへへー」


 プリシラが楽しそうなら俺はそれで構わない。


「プリシラに似合う服を選んであげますわ。あなたいつもメイド服ですもの」

「よろしくお願いします、マリアさまっ」

「アッシュはヴィットリオと皿洗いでもしておるのじゃな。のじゃじゃじゃっ」


 そうして女子三人は買い物に出かけたのだった。

 俺は『夏のクジラ亭』に一人残される。

 他に宿泊客もいないから、完全にひとりぼっちだった。


 静かだな。

 これまで俺のそばにはプリシラやらスセリやら、誰かしらがいたから、やけに静かに感じる。

 退屈だ……。


 退屈に耐え切れなくなって厨房に顔を出す。


「ヴィットリオさん。皿洗い手伝いましょうか?」

「とっくに終わった」


 食堂を出て廊下を歩いていると、床をモップがけしているクラリッサさんと会った。


「クラリッサさん。俺も掃除手伝いましょうか」

「もー。お客さんにそんなことさせられるわけないでしょ。気にせずくつろいでちょうだい」


 くつろぐといっても、やることが無いんだよな……。

 自分の部屋に戻って『オーレオール』でも読んでいるか。

 そんなときだった。『夏のクジラ亭』に客が訪れたのは。


「こんにちは、クラリッサさま」

「あら、こんにちは。今日は早いのね」


 客人は巨大なゴーレム、ウルカロスだった。

 ウルカロスは主であるセヴリーヌのために毎日ここに訪れて、弁当を持って帰っている。

 巨大な石人形であるウルカロスは宿の中に入れないため、玄関前に立っている。


「ほら、弁当だ」


 ヴィットリオさんが弁当箱をウルカロスの手のひらの上に載せた。


「いつもありがとうございます。ヴットリオさま」

「お前の小さな(あるじ)に伝えろ。たまには自分の足で食べにこいってな」

「かしこまりました。しかし、それは私が毎日言っているのです」


 セヴリーヌ、相変わらず外には出ないんだな。

 ウルカロスが俺たちに背を向ける。


「それでは、さようなら」

「ちょっと待ってくれ、ウルカロス」

「どうしました。アッシュさま」

「俺もいっしょに行くよ。セヴリーヌに会いにいく」

「ありがとうございます。ぜひそうしてください」


 あの年齢で一人孤独なのはよくないだろうと思い、俺はセヴリーヌに会いにいくことにした。

 あの年齢、といっても、実際は200歳近いのだが……。

 まあ、精神の年齢は子供のままらしいからな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ