31-7
抗おうとするも、肩を強く押えつけられているせいで身動きがとれない。
もしかして、身体能力強化の魔法を使っているのか……。
「恋の一歩先へ進むのを恐れているのなら、ワシが克服させてやるのじゃ」
「バッ、バカなマネはやめろッ」
「バカなのはおぬしなのじゃ」
スセリが俺の手を掴み、小さな乳房に触れさせる。
やわらかな感触。手のひらに乳房の先端がこすれる。
否応にも生じる劣情。
「おぬしの顔にリオンの面影が見えるのじゃ」
リオン――スセリの夫か。
俺は二人の子孫だから面影があるのは当然だ。
「がぜん、興奮するのじゃ」
執拗に胸に手を押し付けてくるスセリ。
頭の中がめちゃくちゃにかき混ぜられる。
もう、どうにでもなってしまえ。
劣情に負けそうになって投げやりになったそのとき、部屋の扉がいきなり開かれた。
「アッシュさまー。お部屋のお掃除を……しに……」
部屋に現れたのはプリシラだった。
ベッドに仰向けに寝ている俺と、その上にまたがる半裸のスセリを直視する彼女。
時間を止められたかのように硬直する。
そして満面の笑みが、驚愕の表情にみるみる変わっていく。
パタンッ。
手に持っていたホウキを落とす。
「あわわわわ……」
「プリシラも混じるかの?」
「いい加減にしろッ」
俺は力を振り絞ってスセリを持ち上げ、ベッドのわきにポンと置いた。
「ア、アッシュさまと裸のスセリさまがベッドで……あわわわわ……」
「プリシラにはちと刺激が強すぎたようじゃの」
プリシラは目をぐるぐると回していて、今にも気絶しそうだった。
スセリが上着を着る。
「アッシュをおちょくるのもこれくらいにするかの」
ぴょん。
ベッドから下りたスセリは、目を回すプリシラの脇を通って部屋から出ていった。
風のように去っていき、プリシラがくるくると回転する。
そして倒れそうになったところを俺が抱きとめた。
それから俺とプリシラは西区の青果市場を訪れていた。
「いろんなお野菜がいっぱいありますねー」
プリシラは俺と隣で周囲をしきりに見回しながら歩いている。
最近、彼女はヴィットリオさんに料理を習っている。
その成果を披露するための食材を買いにやってきたのだ。
よい食材を選ぶ目も大事だとか。
「あ、あの、アッシュさま……」
プリシラがおずおずと俺の顔を上目づかいでうかがってくる。
「先ほどは、スセリさまとなにをやっていたのでしょうか……」
頬を赤らめている。
「スセリのおふざけに付き合わされただけだ」
俺は動揺を隠し、至極くだらないふうに返事をした。
「本当ですか?」
疑われている……。
今夜の夕食に使う野菜を選んで買う間ずっとプリシラの視線が気になった。
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