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3-6

「よし、アッシュよ。魔法を唱えるのじゃ」


 スセリが指示してくる。


「あんな機械人形、おぬしの魔法なら一撃で粉砕できるのじゃ」

「……いや、それだとまずいな」

「ダメなのですか? アッシュさま」


 依頼書には要望としてこう記されていた。

 ――機械人形の研究も行うため、対象はできるだけ傷つけず機能停止させること。


「なんじゃ、面倒じゃのう」


 この追加要望を叶えることができれば二倍の報酬を得られる。また、冒険者としての実績も上乗せされると受付嬢は言っていた。

 俺たちは冒険者になったばかり。

 高額報酬の依頼を受けられるようになるためには少しでも多くの実績を重ねたい。


「そういうわけだからプリシラ。あの魔物の撃破はお前にまかせたいんだ」

「わたしですか!?」


 プリシラが自分を指さした。


「プリシラのロッドなら最小限の傷でガードマシンを倒せる。それに、魔物との戦いの訓練も積んだ方がいいだろう」

「はわわわわわ……」


 目をぐるぐる回すプリシラ。

 やはり荷が重いか……。


「危なくなったら俺が魔法で援護する。だからやってみてくれ」

「わ、わかりましたっ。わたし、がんばりますっ」


 プリシラは多段ロッドを伸ばし、岩陰から出た。

 伸ばしたロッドを握り、死角からじりじりとガードマシンににじり寄る。


「ていやーっ」


 そして攻撃の範囲まで入ると、思いっきりロッドを振り下ろしてその先端をガードマシンの頭に叩きつけた。

 ガシャン!


 不意打ちをくらったガードマシンは頭部を破壊され、その場に倒れた。

 しばらく四つ足を動かしていたが、やがて動かなくなった。


「やっ、やりましたーっ。アッシュさまーっ」


 プリシラがぴょんぴょん跳ねる。

 だが、そのとき、彼女の背後からもう一体のガードマシンが現れた。


「後ろだ、プリシラ!」


 俺の声で背後を振り返るプリシラ。

 飛び掛かってくるガードマシン。

 さすが獣の血が流れる半獣。人間には到底マネできない反射神経でロッドを構え、ガードマシンの前足による攻撃を受け止めた。


 真後ろに飛びのいて間合いを開けるプリシラ。

 ガードマシンは四つ足で地面を蹴って彼女に突撃してくる。


「えいやあーっ!」


 プリシラは両手で握ったロッドを真横に振り、突進してきたガードマシンを真正面から叩いた。

 頭部の側面を殴打されたガードマシンは真横に吹っ飛んだ。


「また増援が来たのじゃ!」


 遺跡の入り口から一度に三体ものガードマシンが応援に現れた。

 ここから先は俺の出番だ。


「下がれ、プリシラ!」

「承知しましたっ」


 プリシラが俺とスセリのところまで戻ってくる。

 これで思う存分魔法を打てる。


 俺は『オーレオール』をかざし、魔法を唱えた。


「喰らいつけ雷!」


 『オーレオール』から稲妻が放たれる。

 手元から何本も枝分かれした無数の稲妻がガードマシン三体を貫いた。

 感電した三体は同時に爆発を起こし、木っ端みじんになった。

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