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193/838

28-3

 そして俺とネネはついに塔の最上階へと到達した。

 そこが最上階であること、あるいは中核であるのはすぐにわかった。


 今までと比べてはるかに広い部屋。

 天井は霞むほど高い。

 ガラス張りの壁。

 そして、部屋の中央には巨大な水晶があった。


「なんだあれ……」


 ネネも俺も、あんぐりと口を開けていた。

 こんな水晶、今まで見たことがない。

 巨大な水晶は台座の上に浮遊しており、ゆっくりと上下に動きながら回転している。

 古代人の都市の機能は死んでいたが、この水晶だけは当時のまま生きていた。


 この水晶がどんな機能を果てしているのかはわからない。

 とはいえ、とても重要なものであるのは間違いなかった。

 その証拠として、水晶には守り手がいた。


「機械人形だ」


 水晶の前には一体の機械人形がひざを曲げて座っていた。

 人型の機械人形だ。

 機械人形は俺たちの存在を認識すると、ゆっくりと立ち上がった。

 右手の甲から剣の刃が出てくる。

 俺たちを敵とみなしている。


「気をつけろ、ネネ」

「わかってる」


 機械人形は水晶の前から動こうとはしない。

 やはりこれを守る命令を古代人にされているのだ。


「アタシがあいつを倒す」


 ネネがロッドを構えた。


「俺も力を貸す」

「アッシュの魔法だと後ろの水晶を傷つけるかもしれないだろ。アタシにやらせろ」


 ネネは一人で戦うつもりだった。


「なら、身体能力強化の魔法をかける」

「……わかった」


 やはりネネはまだ一人で戦うことにこだわっているらしく、あまりいい返事をしなかった。

 だからといって、俺だってぼうっとつっ立っているわけにはいかない。

 俺は魔書『オーレオール』の力を借り、ネネに身体能力強化の魔法をかけた。


「てやーっ!」


 ネネが機械人形に向かって真正面から走る。

 そして間合いに入るとロッドを打ち下ろした。

 機械人形は真横に飛び退いてネネの攻撃を回避する。

 素早い。


 機械人形が反撃を繰り出す。

 右手の甲に装着された剣による攻撃。

 ネネはそれをロッドで受け止める。


 ガキンッ。

 金属同士がぶつかる音。

 至近距離で押し合うネネと機械人形。


 力比べはネネが勝った。

 剣を受け止めていたロッドを思い切り押し出すと、機械人形は大きくのけぞった。

 無防備になった機械人形の腹に蹴りをかますネネ。

 大きく吹っ飛ぶ機械人形。


「くらえーっ!」


 床に倒れた機械人形に、ネネはすかさず追撃を繰り出した。

 振りかぶったロッドを振り下ろす。

 右腕で防御する機械人形。

 ネネの振り下ろしたロッドの重い一撃が右腕をもぎ取った。


 勝利を確信して笑みを浮かべるネネ。

 だが、その確信は早すぎた。


「危ない! ネネ!」


 機械人形は左手の甲から剣の刃を出し、ネネの胸に突き出した。

 刃はネネを胸を貫き、背中から飛び出てきた。

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