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ギルドに入り、掲示板を見る。
掲示板にはさまざまな依頼が掲載されていた。
「いろいろありますねぇ」
俺とプリシラは下から順に依頼書に目を通していく。
「うむ、これじゃっ」
スセリがそれを無視して真ん中のほうに張ってあった依頼書をぴょんと飛び上がって取った。
依頼内容は魔物の討伐。
「アッシュ、この依頼を受けるのじゃ」
「ああ。俺も魔物討伐を受けようと思ってたが、プリシラはどうだ?」
「わ、わたしですか!?」
「プリシラの意見も聞かないとな」
俺たち二人は――じゃなくて、三人は仲間だからな。
もはやプリシラと俺は主従の関係ではない。対等な関係なのだ。
これからの冒険者としての生活は、三人の意見を合わせて決めるべきだ。
「わ、わたし、がんばります……っ」
プリシラがフライパンを握り締め、震えた声でそう決意の言葉を出した。
え……?
ま、まさかそのフライパンで戦うつもりか……?
「このフライパン、アッシュさまが召喚してくださったものです。これならきっと魔物も一撃で倒せちゃいます」
さすがにそれは無理だろ!
なんでフライパンを肌身離さず持っているのかと思ったら、そういう理由か!
「魔物討伐の依頼、受けましょう! アッシュさま!」
討伐対象は『ガードマシン』。
古代文明が作り出した機械人形で、1000年経った今でも稼働しており、古代遺跡を徘徊しているのだという。
「ガードマシン程度ならおぬしらでも勝てるじゃろう」
「知ってるのか? スセリ」
「ワシを誰だと思っておるのじゃ。古代の機械人形くらい熟知しておるわ」
ギルドの情報によると、ガードマシンは冒険者が最初に乗り越えるべき試練だという。
大した武器を持っておらず動きも単調だが、油断すれば大けがをする。
その数も多く、遺跡調査の障害になるため、常にギルドには討伐依頼が出ている。
「わたし、決して足手まといにはなりませんからっ。えいっ、えいっ」
プリシラがフライパンを振る。
……出発の前に、武器を買ってあげないとな。
冒険者ギルドを後にし、武器屋に入る。
狭い店内にはさまざまな種類の武器がぎっしり置かれていた。
プリシラにはどの武器が合うだろう。
彼女は獣の血が流れる半獣。まだ12歳とはいえ、身体能力は普通の人間よりはるかに高い。どんな武器を与えてもすぐに使いこなせるようになるだろう。
「お、重そうですね……」
プリシラは自分の背丈よりも高い大剣を見上げている。
冒険者として普段から持ち歩くなら、小さめの武器がいいだろうな。
「これなんかどうだ?」