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25-2

「ワシらが普段から使っておる魔法はもちろんのこと、ノノが錬金術に使う魔法の釜も、賢人フーガの魔法理論が用いられておるのじゃ。セヴリーヌが魔法を唱えるのに使うステッキもじゃな」

「では、魔書『オーレオール』も?」

「うむ。そのとおりじゃ」


 賢人フーガは1000年以上前から使われてきた古い魔法理論を根本から見直し、より少ない魔力で効果的な魔法を発動できるよう、新たな理論を作り上げた魔術師だ。

 戦争の兵器として用いられてきた魔法が、人々の生活に役立てる道具として役立てられるようになったのも彼の功績と聞く。

 まさに現代魔法の祖である。


「今はフーガの子孫や弟子たちがベルクス地方で魔法研究を続けておるはずじゃ」


 ベルクス地方……。

 海を渡った先か。遠いな。


「ただ、ワシは長いこと眠りについておったから、フーガの後継者たちが具体的にどのような活動をしておるのかは知らん。マリアはどうじゃ?」

「わたくしもベルクス地方のことまでは存じ上げませんわ。ルミエール家の娘だというのに、お恥ずかしい限りですわ」


 スセリは再び「ふむ」と考え込む。


「一度手紙を送ってみたほうがよさそうじゃな」


 『稀代の魔術師』からの手紙なら、返事も期待できそうだ。


「スセリさまはフーガさまと面識はあるのですか?」

「孫となら会ったことはあるのじゃ。不老不死の研究で知恵を借りたことがある」

「やはり立派な方でしたの?」

「ワシに言わせれば、凡人の域を出ておらんかったな。まあ、人間としてはしごく真面目じゃったぞ。祖父の遺志を引き継いで魔法研究会を設立して、組織として魔法理論を研究しておった」


 そういうわけでセオソフィーをどうにかするための助力を得るため、スセリの名を使ってフーガの子孫あてに手紙を送った。

 フーガの魔法研究施設があるのは海の向こうのベルクス地方。

 返信が来るのはだいぶ先だろう。

 その間、俺たちは冒険者として依頼をこなすことにした。


 西区の冒険者ギルドへと足を運んできた俺たち。

 ギルドは今日も冒険者たちで賑わっている。

 冒険者にとってギルドは依頼を受けるだけではなく、同業者たちと情報交換をするための大事な場でもある。

 俺たちも先輩冒険者に魔物の性質や野盗が出没しがちな場所などの話を聞けて、何度も助けられている。


「アッシュ。この依頼をご覧になって」


 マリアが依頼掲示板の上のほうにある依頼書を指さした。

 それはケルタス領主が依頼主の、遺跡の探索依頼だった。

 依頼書によると、ケルタス郊外に大規模な古代人の遺跡が発見されたらしい。

 その探索をする冒険者を募っていた。

 依頼を受けられるのは熟練の冒険者限定だった。

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