表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/838

15-7

 ナイトホークが召喚した巨獣ベヒーモスは「グルル」と恐ろしげな唸り声で俺たちを威嚇している。


「あとは自分でどうにかするのだな」


 パチンッ。

 ナイトホークが指を鳴らすと、その姿はこつ然と消え失せた。

 転移魔法……。

 魔書『オーレオール』の魔力で唱えたのか。

 『オーレオール』を――スセリを奪われて逃げられてしまった。


 スセリの身が心配だ……。

 だが、それよりもまず、差し迫った目の前の危機をどうにかしないといけない。


「ハハハハッ! 僕の勝ちだ」


 ベヒーモスを味方につけて、またあの不愉快な高笑いをするクロノス。


「お前らまとめてベヒーモスのエサにしてやる。死にたくなかったらベヒーモスに命乞いでもしてみるんだな。まあ、無理だろうけど。ハーッハッハッハッ」


 だが、クロノスが笑っていられたのはそのほんの一瞬だけだった。

 俺たちに唸っていたベヒーモスがくるりと反転し、クロノスの方を向く。


「へ?」


 ぽかんとするクロノス。

 遅れて、冷や汗が額からしたたる。


 次の瞬間、ベヒーモスは空気を振動させる咆哮と共にクロノスに体当たりをかました。

 巨体に突き飛ばされたクロノスは真後ろに吹っ飛ばされ壁に叩きつけられる。

 おまけに彼の頭上に飾ってあった絵画が衝撃で落下し、額縁が脳天に直撃した。

 クロノスは白眼をむいて気絶した。


「グオオオオンッ!」


 獲物を倒し、雄叫びを上げるベヒーモス。

 そして次の獲物を探しはじめる。

 クロノスの傭兵たちは危機を察し、我先にと逃げていった。雇い主を置き去りにして。

 哀れだな、クロノス。


 ――と言ってもいられない。

 ベヒーモスの狙いは必然的に俺たちになったのだから。

 こいつは見境なしに暴れまわる怪物だ。

 ベヒーモスは頭を下げ、二本のツノを水平にし、突進の構えをとる。


「みんな、逃げろ!」


 俺の声に応じて、後ろにいた兵士たちが食堂から逃げていく。

 俺とプリシラ、ディアも真横に飛びのき、ベヒーモスの正面から逃れた。

 ベヒーモスがテーブルを薙ぎ倒しながら突撃してくる。

 しかし、俺たちはすでにベヒーモスの突進の直線上からすでに退避していたため、ベヒーモスはそのまま食堂の扉を抜け、廊下の壁に激突した。


 巨体の質量と速度を乗せた突撃はすさまじい威力となり、廊下の壁をぶち壊し、ベヒーモスはその勢いのまま外に飛び出してしまった。

 俺たちは食堂を出て、壁に空けられた風穴から外に出た。


 中庭の真ん中にベヒーモスはいた。

 ガルディア家の兵士たちがベヒーモスを包囲する。

 槍を構えてけん制する兵士たち。

 ベヒーモスは未だ興奮状態が収まっておらず、牙をむき出しにして唸っている。

【読者の皆様へのお願い】



『小説家になろう』の機能

『ブックマークに追加』と☆での評価をしていただけるとうれしいです。



現時点で構いませんので


ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価をお願いいたします。


執筆活動の大きな励みになります。



よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ