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15-5

 物陰から出ようとするディアを俺が制止する。

 牢屋からは無事に脱出できた。

 しかし、問題はここからだ。

 このまま無策で突っ込んでも、クロノスが従えるナイトホークに返りうちにあうのは明らかだ。

 よしんばナイトホークがいなかったとしても、屋敷の中はクロノスの傭兵がいるだろう。そいつらと真っ向から戦うなんて無謀もいいところ。


「で、では、どうすればいいんですか? アッシュさま」


 プリシラが尋ねる。

 策は無いわけではない。

 そしてその策の要はディアの人望だ。


「セベスのときと同じく、ディアの味方になってくれる人間を少しずつ増やしていこう」

「屋敷の兵士たちはクロノスに脅されていて、わたくしに力を貸してくれるかはわかりません」

「セベスは最終的に俺たちの味方になってくれた。きっと他の人たちもディアに味方してくれる。信じよう。俺はディアを信じる」

「ディアさまならきっと説得できますよっ」

「……わかりました」


 ディアは覚悟したようだった。

 俺たちはまず、夜の暗闇に紛れて中庭を通り、正面玄関へと回り込んだ。

 玄関の前には二人の番人が眠そうに立っていた。


「彼らもガルディア家の兵士です」


 そう言うとディアは物陰から出て番人たちの前に立った。

 ぎょっと目をむく番人たち。


「クローディアさま! クロノスさまに捕まっていたはずでは!?」

「しっ。静かにしてください。クロノスに見つかります」


 突然の出来事に、二人の番人はあ然としている。


「これからわたくしたちはクロノスに奇襲をしかけます。そのときになりましたら、あなたがたにも力になっていただきたいのです」


 互いに顔を見合わせて戸惑っていた番人たちであったが、やがてディアに味方することを決意したらしく「承知しました」と首を縦に振ってくれた。


 それから俺たちはアプローチを通って門まで行き、門番にも助力を求めた。

 門番たちも最初は戸惑っていたが、最終的にディアの味方になってくれるのを約束してくれた。

 屋敷を隔てて東西にある中庭にも数は少ないが兵士が番をしていて、彼らにも力を貸してくれるよう頼んだ。ディアの覚悟を受け止めた彼らも協力してくれることとなった。


 やはりみんな、クロノスよりもディアを信頼しているのだ。

 楽観的かもしれないが、ガルディア家の兵士は皆、ディア側についてくれるはず。


 兵士たちから聞いた情報によると、クロノスが雇っている傭兵は10人ほどだという。

 傭兵たちは皆、クロノスの周辺を警護していて、屋敷全体の警備はガルディア家の兵士に任せているのだと言っていた。

 だとすると、屋敷の中はほぼ自由に行動できるはず。


「根回しはできました」


 屋敷の裏口から兵士が出てきて俺たちにそう伝えた。


「屋敷の兵士は皆、クローディアさまの味方です」

「感謝します」

「我が物顔で屋敷を支配しているクロノスを倒してください」

「はい。必ず」

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