表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Extra World Online~眼鏡の力で雑魚剣士は突き進む~  作者: 古河楓
STAGE:01 剣士と眼鏡
8/18

#007 眼鏡のお披露目 後編

この物語は眼鏡による眼鏡のための眼鏡の物語です。過度な期待はしてもいいけど控えめでお願いします(言ってみたかっただけ)

私たちは吹っ飛んでいった謎の部長をと、それを追いかけていった人たちを見送ってから、私たちはこの眼鏡を手に入れた例のダンジョンへ向かう。


相変わらず、ダンジョンの内部にはかがり火がたかれており、大人5人がやっと通れそうな通路をオレンジ色にともしている。


「それじゃあ、行くよ。いちおう、私は回復魔法使えるから」

「わかった!前衛には、私が出ればいいんだね?」

「そう!レベル上げの時みたいにすればいいの」


ゆっきーが隣を歩きながら、配置や作戦などを教えてくれる。ダンジョン内部はまあまあ狭いので、曲射に制限がつくらしい。なので、波状攻撃をすることを確認する。私とゆっきーはほぼ一心同体だから、そのようなチームプレーなど、打ち合わせなしでもできる。


2人揃ってダンジョンの中に入ると、再びシステムメッセージが届く。内容は前回と同じものだった。


それを確認して私たちは、私を先頭に階段を下りて第1階層に突入していく。

そこにいたのは、やはり分裂するスライムたち。前回、私がてこずった相手だ。


「葵、適当にスライムを斬りつけて。ある程度分裂したら、私が全部やっつけるから」

「うん、わかった」


ゆっきーの言葉にうなずいた私は、適当に向かってくるスライムたちを斬りつける。なるべく大きいスライムを狙い、どんどん分裂させていく。

そして、最大の40匹まで分裂させたところで、私は素早く離脱する。そこに、ゆっきーがスキルを放つ手はずだ。


「【アローレイン】!」


スキルで複数に分裂した矢の雨は確実に40体のスライムを貫いていく。私が苦労していた40匹のスライムたちがあっという間に消えていく瞬間、私は一瞬思考を停止してしまった。だって、私があれだけ時間をかけたのに、それを一発で…。


「あはは、剣士は一対一が得意だからね。対してアーチャーは一対多が見せ場だしね。扱いは難しいけど、大軍を一度でキルできるのは気持ちいいよ~」


確かに、ゆっきーは昔っから下剋上とか好きな性格をしている。敵わないとわかってても突っ込んでいったり、それを倒すためならいくらでも策を作って対抗する、それがゆっきーだ。


選びそうだよねぇ…一対多を得意とする職業。


「それで、そのスイッチみたいのって、どこにあるの?」

「えっとね、それはこっちに…」


私は階段の横にある開けた場所に行くと、壁から数歩数えた場所の土を少しずつ掘り返す。

すると、そこには直径3cmほどのスイッチが現れる。


「これがスイッチだよ」

「え…あ、うん…。たまたまだろうけど、よくそんなものを踏むことができたね…」

「えへへへ…。じゃ、押すよ」

「う、うん…本当に…」


私は押すと宣言して、すぐにポチッとスイッチを押す。すると、やはり地面が揺れて、壁の方面に向かっていく。


「大丈夫なんで…え…待っ…」


何かを言おうとしていたゆっきーは、棒立ちになりながら隠し通路に落っこちていく。私は地面が揺れた瞬間に体を丸くして、衝撃に備えている。


「ああああああ…!」


突入した通路には前を行くゆっきーの悲鳴が木霊している。許せ、ゆっきー。しょうがないんだ。押しちゃったものは。


出口に出た瞬間に、私はくるりと一回転をして、今度こそ完璧に着地に成功。今のは特撮みたいでかっこいい。

対してゆっきーは、尻もちをついている。やった。勝ちだ。


「いててて…こうなるんだったら事前に言ってよアオ…」

「ごめんごめん。でも、ショートカットして、ボス部屋着けたよ?」


その言葉にゆっきーは「え?何言ってるの?」という顔をする。


「あの…アオさん?」

「はい…?」

「ここ、このダンジョンのボス部屋じゃないんだけど…?」

「え…?」


じゃあ、私が訪れて、メガネ装備を手に入れたここは何?バグか何かなの?


「いやいや、ここ…裏ボスみたいなところだと思うよ…?今まで発見されてなかったから」


あー、うん。つまり、私は偶然に偶然が重なって隠し通路を発見して、メガネ装備を手に入れちゃったんだ…。


「と、とりあえずボスを倒そっか。私に任せてくれればすぐ終わるよ?」

「あ…あの弱いアオが頼りになる…!?」


失礼な。私だってねぇ…成長するんだよ、これでも!


私を先頭に大きなドアのような門を開けて中に入り、警戒しながらも唯の広場へ向かっていく。


「あ、何かいる…」


ゆっきーが何かを察知したようだ。まだ広場には40mほどあるのに。これだから敵感知スキルは…。まあ、人のことは言えない。私の眼鏡にも【メガネレーダ―】の反応で42m先に反応が。しかもこの前のメガネザルと表示が出ている。


広場に着いた私たちは、こちらを大きな目で凝視しているメガネザルに向けて剣を抜き放ち、矢で狙う。

それを見たメガネザルはこちらに向けてやはり目のビームを打ち出してくる。


「【メガレクター】!」


それを私は眼鏡の能力で弾き返す。前回と同じく、メガネザルのHPバーを7割ほど吹き飛ばす。


「え…つっよ…」


後ろではゆっきーが呆然としながらそんなことを言っている。


「ちょっと私も攻撃してみよ…」


そう宣言したゆっきーがスキルを使わずに矢を射る。しかし、それは残りのHPバーの3割ほどを削るだけだった。

そうそう、それとゆっきーを連れてきたのにはもう1つ理由があるんだった。


「ゆっきーがあれ倒してくれない?」

「え?どうして?」

「アーチャーが倒したら別の眼鏡落ちると思って」

「なるほど!だったら、本気で行かないとね」


ゆっきーは、HPを回復しようと果実に手を伸ばそうとするメガネザルに向けて本気の殺気を浴びせかける。


「あ、そうそう。アオ、ちょっと麻痺状態になるけど許してね?」

「え…ちょ…?」


返事をしないうちに、私の下に魔法陣が展開される。すると、私の体が突如言うことを聞かなくなる。全身の感覚と着くものはすべてどっかにお出かけしてしまった。


「行くよ…!【ギガチャージショット】!」


私の目には、字面から浮かび上がり、バク宙しながらものすごい威力の矢を放つ味方が捉えられる。それはメガネザルに直撃すると、大きな爆発を起こす。あれ一発でボスはHP満タンでも倒れるんじゃないかと思う。


「さて、【ヒール】」


倒し終わったのであろうゆっきーは、こっちに向けて回復魔法を実行。それと同時に、私は加太の自由を取り戻す。


「今のって…?」

「ああ、うん。この弓のスキル、【ギガチャージショット】だよ。味方誰か1人に麻痺を付与する代わりに、STRの3倍のダメージを敵1人に与えるんだよ。防御貫通攻撃が実装されれば、多分これにも追加されると思うなぁ…。爆発したのは、【追撃】だね。私のパッシブで、敵にダメージが通った時に小範囲に与えたダメージの5%を追撃するの」


なんか、メガネ装備よりも強い気がするんですけど…。


「と、とにかくアイテム落ちたかどうかを見てみよう?」

「うん、そうだね…」


私たちはすぐに辺りを捜索する。


そして、見つかったのはレンズのない赤いメガネだったという。




ご観覧ありがとうございました。

次回の更新は12月22日(火)の午前7時を予定しております。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ