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Extra World Online~眼鏡の力で雑魚剣士は突き進む~  作者: 古河楓
STAGE:01 剣士と眼鏡
18/18

2021正月SS 見せたいモノ

新年あけましておめでとうございます。今年もたまきワールド全開で頑張ります!

「あけましておめでとうございます」


1月1日、元旦。私はケージの前でむったんに新年のあいさつをしていた。さっきお父さんとお母さんには挨拶をしたので、最後の家族、むったんにということだ。


朝ごはんにはお雑煮を食べた。うち独特なのかはわからないが、丸餅に白だしベースのスープのお雑煮は少しおなかが減っていた私には十分だった。


「えーと、あと30分かぁ」


この後、私はEWOで雪葉と会う約束をしている。なんでもいいところに連れて行ってもらえるというのだ。いいところと聞けば、行かないという選択肢はない。


時間までむったんとじゃれあって(一度本気で噛まれかけた)から自分の部屋に行ってVRゴーグルをつけてEWOにログインする。

私は、とてもワクワクしていた。


  〇 〇 〇


ログインすると、私はすぐに待ち合わせにしている噴水広場に向かう。約束の時間まではあと5分ほどという時に噴水広場に到着。時間ピッタリに現れることの多いゆっきーを待つ。


「どんな場所に行くのかなぁ……」


とにかく、私はそれが気になった。今年は寝正月をして年越しそばも食べなければいまだに初詣にも行ってない。お年玉はもらったけど、ATMに預けに行くことになるだろう。

……ぶっちゃけ、バイトをしているから1か月の給料と見比べたら少し少ないなんて思ってしまうけど。しかし、使えるお金が増えたのは嬉しい。


「ごめんアオー、待った~?」


そんなことを考えていると、道路からゆっきーがこっちに手を振りながらそんなことを言っている。もちろん約束の時間ピッタリだ。


「ううん、待ってないよ」

「よかった……。今年はバイトもしたからさ、みんなも私が隆明にお年玉上げるもんだと思ってたみたいで……しょうがなく5000円札を……」

「そ……それはご愁傷様」


私は一人っ子だから、もらう側なんだよね。しいて言えば、むったんに犬クッキーを買って渡すことがお年玉になるかな?


「なにそのお年玉……」

「それかあそべそうなおもちゃ買ってあげるとか?」

「それはアオ次第だろうけど」


ゆっきーが言いたいのは金額かな?確かに犬クッキーは5000円もしないね……。でも、きょうだいがいれば暇にならなくていいじゃん。私なんて犬しか遊び相手居ないもん。


「犬の方がまだいうこと聞くからいいじゃん……」

「姉弟げんかでもしたの?」

「ううん……そうじゃないけど……あのやんちゃ坊主の相手できないよもう~」


ゆっきーが「もうへとへと」と言いながら歩いていく。私もそれに追いつくべく少し小走りで横に並びながら、「隆明に対応しきれないのによくあの決勝戦のボールを止めたなぁ」と独り言を言う。プロでさえあれは抜けるといいそうなボールを止めた併殺を取ったのだから……。私はあの神プレーを忘れない!


「そんなにソフトボールとかに興味あるんだったら入部すればいいのに……」

「無理だよ~。運動神経ほとんどないし。足も遅いしハードル走はクラスの中でも下の方だもん」

「ふつうに運動できてると思うんだけどなぁ……もったいない」


もったいないもなにもろくにボールも投げれないんだからできないって言ってるのに。それに、前にゆっきーとキャッチボールしたときに「ああ……」って呆れたのはゆっきーだ。


「それは……そうだけどさ」

「もうこの話はおしまい!それで、今日はどこに行くの?」


私は早くそれが知りたくてたまらない。どうせ「秘密~」って言われるんだろうけど。


「えーとね、三が日限定のダンジョンがあるんだって。そのダンジョンをクリアしたらとあるものを見ることができるのだよ~。私は知ってるけどね」

「え~、教えてよ~!」

「内緒だよ。クリアすればわかるしね」


やはり驚かせたい時は秘密にするらしい。私も同じだけど気になるものは気になるし、ゆっきーがいたずらをするときの顔になっているし、なおさら知りたくなる。


「出てくる敵は私とアオなら簡単だし、早く倒そう?知りたいでしょ~?」

「もう!こうなったらゆっきーがびっくりするくらい活躍してやるぅ!」

「うん、そうこなくっちゃ!」


  〇 〇 〇


限定ダンジョンは、私が眼鏡を拾った時に訪れたダンジョンのすぐ近くにあった。中に入ると、そこにはいきなり転移門が。


「それじゃゆっきー、行こう!」

「オッケー。回復魔法はいつでもうてるようにするから遠慮なく攻撃しちゃって」

「そっちこそ、遠距離は任せたよ!」


お互い頷き合うと、私たちは転移の魔法陣の上に乗る。

そして、転移した先にはーー



――大きい鏡餅が鎮座していた。


「これが、今回のボスだよ」

「鏡餅が?強いのかなぁ」

「私も初見だからわからない……それなりに強いんじゃない?」

「そうだね…とりあえず全力でやろっか!」


私は剣を抜き放つと、勢いよくモチに向かって進んでいく。その過程でモチはてっぺんに飾ってあるオレンジ色の球体からビームのようなものをぶちまけて来る。


「【メガレクター】!」


私は避けずに【メガレクター】を前面に展開したまま走っていく。弾き返されたビームは次々に巨大鏡餅にヒットしていく。


「【スラッシュ】!」


距離を縮めてからの【スラッシュ】は確実に胴体にクリーンヒットする。これだけでHPバーは1割飛んでいく。意外と脆いようだ。


「ここはまだ簡単ステージでソロ攻略も可能なところだからね!でも、物理攻撃に弱いみたいだよ?【ファイアーボール】!」


ゆっきーはそれを説明しながら魔法でダメージを与える。なるほど、弓とか剣で直接切りつけるのはダメージが通りにくいんだ。


「そーいうこと。だから【スラッシュ】とかでの攻撃がいいと思うよ。あのビームとかだって当たっても大したダメージにはならないし」

「そうなんだ。だったら!【スラッシュ】!【ダブルスラッシュ】!」


私はゼロ距離から複数スキルを打ち込んでいく。それは確実に鏡餅のHPバーを吹き飛ばす。


「これでとどめだね。【パワーアタック】!」


私は渾身の力で鏡餅を斬りつける。すると、HPバーが0になったが、何かがバリアを発生させた。


「ゆっきー、HPバーが0になったけど倒れないよ?」

「う~ん……どっかにギミックが……まさか!【パワーアロー】!」


ゆっきーはとっさに弓矢を取り出し、矢を放つ。その矢はするどく鏡餅の一番上……オレンジ色の球体に突き刺さる。

それが決め手となったのか、鏡餅はゆっくりとその巨体を消していった。


「やった!」

「意外と簡単だったね?」

「ここは一番優しいところだからね~。一番難しいところは回復魔法が使えない、かつソロ限定ってところと、ダンジョン全体でバフがデバフに、デバフがバフになるってダンジョンだね……噂じゃあダンジョンボス級がそこら辺に普通にいるらしいよ?」

「うわぁ……それじゃあ無理だ」

「だね。それで、こっちの魔法陣に乗って」


私は言われたとおりに魔法陣に乗る。


そして、次に目を開けるとそこはとある岬のような場所だった。周りには海があり、空は暗い。


「それじゃあ、よ~く見ててよ?」

「うん……」


私は何が起きるのかわからなかったが、その場で何かが起きるのを待つことにする。


「【ファイアーボール】!」


ゆっきーが空に向かって火属性魔法を放つ。そんなことをして何になるんだろうと考えていた私は、次の瞬間にとあるものを目撃することになる。


地平線まで伸びている海から、オレンジ色の光る物体が空に浮かんでくる。それは神々しく光り、昇っていくにつれて空を青く染めていく。


「これって……」

「うん。初日の出だよ。アオと一緒に一度見てみたくてね」

「そうだったんだ!私、現実でも初日の出は見たことなかったから、ゲームでだけど見れて嬉しいよ!」

「私の家は3年に1度くらいの頻度で初日の出は見るけど……今年は見れなかったからね。原因はお父さんにあるんだけど……」


聞けば、おじさんは年末にビールを3杯飲んで普通に爆睡してしまったということだ。おばさんは自動車運転できないから、それは見にいけない。


「今年もいい年になるといいね」

「そうだね~!」


私は(ゲームでだけど)初日の出を見ながら思う。絶対にいい年にしよう、と。


ご観覧ありがとうございました。

次回更新は明日を予定しております。

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