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Extra World Online~眼鏡の力で雑魚剣士は突き進む~  作者: 古河楓
STAGE:01 剣士と眼鏡
12/18

#009 世界一危険な採掘 1

グッチーさんの工房に行った翌日の朝。私はまたいつもより早く目覚めた。いつも6時15分くらいに起きるのに、今日はまだ5時45分くらいだ。

昨日は、少し予習もやったから、12時前に寝たはず。でも、そこまで眠くはない。学校で2度寝もしないだろう。


結局、今日も昨日と同じくいつもより早く家を出た。家に居ても特にやることもない。むったんとじゃれ合うだけでは、正直言ってつまらない。


駅前で待つこと2分半。すぐに雪葉が眠そうな顔をして現れる。おそらく、きょう提出の物理の宿題を夜中までやっていたのだろう。


「雪葉……その、おはよう……」

「うん……おはよう……」

「眠そうだね?」

「うん……物理の宿題を夜中の3時までやってたからあんまり寝れなくてさぁ。なんであんなに量あるの……?それに、今学期はこれを出さないと平常点ほぼもらえないし」

「逆に言えば、これさえ出せば平常点の安定が確約されるんだけどね?」

「う……まあそうだけどさぁ……。ワーク48ページ分って、結構きついよ」


ええと……その48ページのうち、40ページは全部公式を使った基本問題で、問題数こそ見開きで20問くらいあるけど、基本すぐ終わる。それに、授業の復習で解いていた私は残っていた入試過去問をするだけでよかったから楽だった。


そんなことを話しながら、私たちは改札を抜けてホームに行く。相変わらずの2面2線ホームは、ショッピングモールがあるというのに、殺風景に感じる。


話しながら電車を待っているが、一向に電車が来る気配がない。反対の電車も一切現れない……。


「あれ……?」

「電車、こないね」


私たちは不安に思い、スマホの時刻も見る。しかし、そこには7時26分という表示が。私たちがホームに来たのは、前の普通が来るよりも前のはずだから、もう特急は行ったとかはないはず。


不安になっていた時、ホームにアナウンスが流れる。


『えー、本日6時50分ごろ、○○駅で発生いたしました人身事故の影響により、現在ダイヤが大幅に乱れております。2番線の22分発の特急は、現在、隣の駅に停車中です。20分発の普通は、本日は運行を休止させていただきます』


「えと、人身事故……」

「大幅って言ってるから、遅れても問題ないけど。さすがこの鉄道は運行再開が早いよね~」

「いつも通りだね……。事故になっても15分くらいすればすぐに運行再開するしね~」


これがこの鉄道会社の売りでもあるし、短所でもある。


『お待たせいたしました……2番線に特急が到着です』


そのアナウンスが聞こえたので、私は雪葉とともに進行方向とは反対側を覗いてみる。よかった、今日も3ドアだ。

時刻はまだ30分。おそらく、学校には間に合うだろう。


  〇 〇 〇


なんて思って、思いっきり遅刻(1限目が残り30分だった)した私と雪葉は、放課後、すぐにEWOにログインした。


例の噴水で雪葉を待つこと2分半、すぐに雪葉がこちらに現れた。装備品には、見慣れないツルハシが加わっている。


「ごめんね、待たせちゃって。グッチーのところでツルハシ借りてきたんだ。モンスタードロップ以外に、採掘でも取れるらしいから」

「あ、ありがとう!それにしても今朝はひどい目にあったね……」

「うんうん、全くだよ。電車は混むし、『大幅な遅れが予想されます。場合によりましては行き先が変更になることがございます』だもんね」


ゆっきーは、今朝の車内流れた放送の声真似をして見せる。あの後、途中の駅で運転打ち切り。慣例通り、向かいにいた電車に乗るも、それも普通しか停車しない駅で打ち切り。それを5回ほど続けて、ようやく学校に辿り着いた。


「じゃあ、水晶玉集めに行こうか。たくさんあった方がいいでしょ?」

「ゆっきー、本当につき合わせちゃっていいの?もっとレベリングしたいんじゃ…」

「なに言ってるの?アオの眼鏡が増えたら、私たちパーティーの戦力の底上げになるでしょ?それに、私はまだ今から行く方面には行ったことなかったから」


うう……ゆっきー、本当に優しい。頼りがいがある……!幼馴染がゆっきーでよかった!


街の北側、まだ行ったことのないエリア。そこにいたのはゴブリンだった。漫画とかで見るゴブリンは緑色で生理的に無理な格好をしているが、ゲームだからか、少しデフォルメされていた。

感じとしては、青鬼の青い部分を緑色にして、ちっちゃくした感じだ。それが弓を使って襲ってくるのには、少々違和感を感じたが、しょうがない。


「じゃあ、前衛任せて!」

「うん、わかってる。私は、奥のアーチャーゴブリンを相手にするね」


私は、こん棒をもって襲い掛かってくるゴブリンの一撃を盾で受け止めて、剣で斬りつける。

それをこん棒で受け止めようとするゴブリンだが、私の一撃はそのこん棒を真っ二つにして貫通する。どうやら、漫画とかで見たのと同じで、脆い武器を持っているらしい。


「葵、気を付けてね。このゴブリンたち、呪い攻撃をしてくるから。【呪い】状態になると、HPが毎秒1%持っていかれて、STRとAGIが30%ダウンするから」

「わ、わかった!」


雪葉は、近くの木の上で、次々と矢を放って、アーチャーゴブリンを倒していく。私は、目の前にくるゴブリンを1体ずつ相手取り、確実に倒していく。


それを続けること5分。全部で20体はいたゴブリンを倒すことができた。


「ドロップ品は……あ、確かに水晶玉あるね……。だけど、質が悪い」

「本当だ……。これじゃああんまりいいのは作れなさそうだね~」


他に何かないかと私は【メガネサーチ】を発動させる。すると、一瞬、字面の下に隠し階段のような場所を見つけた。


「どうしたの……?」

「うん、ちょっと待って」


私が何かを見つけたと悟ったゆっきーが、声をかけてくる。私はもう一度【メガネサーチ】を使ってみる。

すると、今度はくっきりと地下へと続く階段のような場所を見つけた。


「ここに、階段みたいな場所が……」


階段がある場所に手を付けると、そこだけ明らかに土の感触ではなかった。そして、2段目のところに手を付けてみると、少し地中に手が埋まる。


「これって……」


隠しダンジョン発見!!!


ご観覧ありがとうございました。

次回の更新は12月27日の午前7時を予定しております。

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