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3、平原の将 その一。



ということで花姐様との話を終て戻って来ました、那古野城。

ここ、那古野城だそうです。


お馬さんに縛り付けられて………無事生きてたら、乗馬の練習しよう。


今回帰るのに試しに荷車を馬で引いてもらって、私が荷車に乗ってみましたけど…ダメですね。

道がちゃんと整備されていれば、また違ってたんでしょうけど…。


道が整備されてないのでガタゴトと振動がヤバいです。これなら縛られて運ばれる方がまだマシです。

次に荷車だったのが悪かったんですかね?元から馬に引かれることを想定して作られてないので、耐久性が無い、馬に引かれることと振動に耐えられず、すぐに壊れてしまいました。

車輪が外れて、私は落とされ、馬は遥か前方に走り去って行きます…篝が気付いて戻って来るまで、壊れた車輪と一緒にその場で放置されてしまいました。


遠くなっていく馬と篝の後姿を見送る悲しさというか、寂しさと惨めさは結構堪えます。

あれです。終電に乗る為に急いで走って、ホームに着いたら目的の電車がタッチの差で出発してしまってその電車が小さくなっていくのを唖然と見送る感じと言えば分かってもらえるでしょうか?



馬車ってどういう作りなんだろう?スプリングがあればいけるかな?今度伝手があるなら試してみよう。



とか考えてる間に待ち人が来ました…。




「お呼びとお伺いし、参上いたしました。」

「同じく。」


林秀貞・林美作守の二人は鎧を身に着けてやって来ました。

見覚えがあります。確か私が目を覚ました時に私に近い位置に居た人たちです。

印象としては宝塚の男役って感じの………格好悪くはないが何処か華がない感じです。


「この戦を止めます。」

取り敢えず、最初に結論を伝えます。


「なぜです!」

「何故?ではこちらからお伺いします。何故身内で争い、国力を低下させ、他国に攻め込む隙を与えてまでこの戦をしようとするんですか?」


「それは!………信行様。美濃のマムシという後ろ盾がなくなった信長では、この織田家は守れない…私、織田家筆頭家老として織田家に仕える身といたしましては、織田家を守るには信長を討つしかないと判断したのです。

…お分かりください。」


尤もらしい回答ですけど…。


「花姐様は―――」

「花姐様?」


「ああ、母上のことです。母上のいうことにはお二人とも凜…信長の胸に不満があると伺ってますが?」

「そんな理由なんですか⁉」


あ、一緒に居た篝はその理由は知らなかったようで驚いています。

花姐様と会ったときはさすがに同行出来ませんでしたからね…。


「お花さんは余計なことを…。」


しばらく俯いて沈黙した林秀貞は次に顔を上げたときには、さっきまでと違った、覚悟を決めたような目でこちらを見て来ました。


「失礼。」

そう一言告げてから二人は身に着けていた鎧を外します。



あれ?…胸が消えた⁉



思わず目を擦って確認してしまいそうになりますが、その前に林秀貞の言葉で私の行動は止められます。


「信行様…今、小さいって思ってますね?」

「そ、そんなこと思ってませんよ!」


胸が消えたとは思ったけど…。


鎧は胸が大きいく見えるように、胸部分を膨らませたような作りになっていたようです。

鎧を外した林秀貞と林美作守は平原…ちっぱい、ちぃぱい、ツモ!ちぃぱいツー(七対子)ドラ四です。

流石に花姐様のように胸を肌蹴るようなことはしませんから、よく分かりません。

分りませんが、見た感じAかB…かな?



「それが理由ですか?」

「いえ…これも理由です。」

「これも?」


「はい。私は織田家の筆頭家老です。先程述べた理由も嘘ではありません。

ですが…ですが!何ですか!あの凜様の胸を見せつけるような恰好は!凜様の胸を見る度に、いえ!お花さんもです!もう!もう!もー!何なのあの親子!」


あ、壊れた。そして私もあなたの言うあの親子とやらの一員なんですけど…。

でも、この林秀貞という人は花姐様と凜お姉ちゃんのことをお花と凜様と呼べる関係なんですね…。



林秀貞が落ち着くまでしばらく黙って待ちます。

因みに林美作守は頷いたりしてますが、部屋に入って来た時以外は一言も喋ってません。寡黙な人なのでしょうか?



「取り乱してしまい申し訳ありません。」

「いえ、それは良いんですけど…この際です。その胸の―――」


その胸のうちって言いたかったんですけど…その胸って言った瞬間に睨まれました…どないせいちゅうねん。

胸って言葉が禁句なの?胸襟を開くって言っても怒りそうです…。


「あ~、良い機会ですから…愚痴、そう!その溜めこんだ想いを聴きますよ!聞かせて頂きます!」


「ありがとうございます。ですが、このような話を素面で話すのもさすがに…。」


「お酒ですね。篝、お酒の用意してもらえるように頼んでもらえるかな?」


「畏まりました。三人分でよろしいですか?」

「あれ?喋り方が…。」

「流石に秀貞殿が居る前で、砕けた喋り方は出来ませんよ。」


ああ、筆頭家老って言ってたもんね、立場的には篝より上か。


「秀貞殿、無礼講でもいいですか?」

「私は構いませんが、よろしいので?」

「お酒の席です。その方が口も滑らかになるでしょ?」


「お心遣い感謝します。」


あれ?秀貞じゃなくて篝の為だったんだけど…秀貞だけじゃなくて美作守も頭下げてるから…まあ良いっか♪



ということで、篝も含めて4人分で急遽宴席の準備が行われます。



お酒で有名なのかは知りませんが、お酒と言えば上杉謙信ですね。

謙信×信玄はよくあるネタですが、私は謙信が恋したと言われる伊勢姫を男にした謙信×伊勢の話が好きです。

ロミオとジュリエットシチュで、伊勢が出家する前のあの切なくも熱い一夜…。

ラストは引き裂かれた伊勢は出家して自害、謙信は毒を飲んで自殺未遂で締めくくってます。

あれも良かったです♪じゅるり。



「栞ちゃん、涎垂れてるよ。もう少しで準備でるから我慢して。」

「あい。」



運ばれてくる料理とお酒…このお酒濁ってる。濁酒どぶろくってやつかな?

私は運んで来てくれてた女の子に濁酒じゃないお酒ある?って聞いたら、「ございます。」って言ってたから、お願したんです。

しばらくしたら清酒が出て来ました、流石にビールはあるとは思ってませんでしたが、清酒が出て来たら三人が物凄く喜んでました。


何故に?

後で知ったことですが、この時代の清酒は僧尼酒と呼ばれていて高級品なんだそうす。よく時代劇で普通に出て来てたから気にしてなかったんですけどね…。

お値段は知らぬが花ってやつです♪…ぐすん。



「それでは僭越ながら私が音頭を取らせて頂きます。勝利を祈願してカンパーイ!」

「「カンパーイ!」」

「かんぱーい?」


って!勝利ってなに⁉何に勝つ気なのこの人⁉それにカンパーイって勝利を祈願して完敗しちゃダメでしょ!





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