1、BLが存在しない世界。
歴史好きの方はご注意ください。中途半端です。
「信行様。信行様!」
「んにゃ?おはよ~ごじゃ~まふ。」
「おはようございます。」
「って、誰⁉ここは何処⁉」
私が知らない女の子に起こされて、目を開けると、時代劇で視たような木造作りの部屋と襖。
私は上座と呼ばれる位置で座って、居並ぶ鎧を着た女の子達が視界に入って来ます…。
向こうも私を見ているけど。
「なんにゃこりゃー!」
私はパニックになります。
「信行様ご乱心!」
「ご乱心!」
いや、確かにパニクって、叫んでるけど、ご乱心って!
いや?パニックに陥ってるから乱心ってことになるのかな?
私が取り乱したことで、軍議が一旦中止になったそうです。
現代と違い集まるのも大変なことで、私は家老の篝、柴田勝家に小言を言われた。
篝に現状の説明を求めると、訝しげにこちらを見ていましたたがちゃんと説明をしてくれました。
花ちゃんが凜ちゃんのことが嫌いで、私を織田家当主にしようと人を集めて…今は凜ちゃんを倒す為に集まってるそうです。
うん。さっぱり分からん。
え~っと、よく分からない名前が出て来るんですが?
篝ちゃんに説明をさらに求めると、「頭で大丈夫ですか?」って聞かれた…。
起きたら何も知らないこんな状況だからね?そんな可哀想な目で見ないでください。
……お願いします。
篝が柴田勝家で、花ちゃんが私の母上の土田御前、凜ちゃんが織田信長で、私が織田信行で栞という名前らしい。
この私の栞という呼び名も母上の花もお姉様の凛という名前は特別に呼ぶことが許された人だけが呼べる名前らしい。
仮にその名前を知ってても、本人が許してなければ呼んじゃダメなんだって。
「道三殿が娘の義龍殿に討たれ、後ろ盾がなくなった凜ちゃんには当主は務まらない。
というのが、花ちゃんを始め、ここに集まられた者達の概ねの意見なのです。」
ああ、それ知ってる。稲生の戦いだ。
何でそんなマイナーな戦いを知ってるかって?
織田信長と織田信行の家督争いで信行が負けて、信長×信行の展開になるんですよ!
戦いに負けた後、縛って身動き取れない信行を牢で信長があれやこれやって攻めるの♪
それで、元からそんなに弟、家族嫌いじゃないという設定の信長で、受けと攻めが入れ替わる…。
あれ良かったな~。
強気の信長が、弟の信行に攻められて最初抵抗してたのにその内…っていうシチュが何とも…じゅるり。
っと、ダメダメ!涎が…。
「おふ、もしかして負けたら、男にピ―――されちゃうの⁉」
「栞ちゃん。男って何?」
「へ?」
居ませんでした…。
篝ちゃんの説明では男がこの世界居ないそうです。
なんてこった。BLの存在しない世界ですよ、ここ。
私、GLには興味ないんだけど…しょんぼりです。
「ってー!子供はどうやってできるの⁉」
「何言ってるの?子供は愛し合う2人が閨を共にして、神が2人の愛を認めたらコウノトリが運んでくるんですよ?」
「コウノトリ…。」
何ちゅう世界だ…。
まあ、凜ちゃんこと信長に会って話してみないと始まらない。
「篝、信長に会いに行きます。」
「そんな他人行儀に呼んだら、凜ちゃんが悲しみますよ?」
「何と呼べと?」
「え?いつもは凛々って呼んでたじゃないですか。」
凛々…織田信長を凛々って、ないわ~、イメージ…ないわ~。
「あ~、凛々に会いに行きます。」
「準備します。早朝出発ですから、今日はお休みください。」
そう言って篝はガチャガチャと着ている鎧を鳴らしながら去って行きました。
ポニーが嬉しそうに揺れてる感じがします。
篝が去った後…私も鎧を着てるんで外そうとしたんですけどね…これ、どうやって外すの?
と途方に暮れてたら、女の子が3人「失礼いたします。」って、入って来ました。
「お外し致します。」
「うん。お願い。」
「ふぅ~これ重かったんよね。」
私は体を解すように背伸びや、肩を回します。
あ、これなんか記憶にある、残業後の上司の蓼奈さんがよくやってた。
私もおば、こほん。蓼奈さんの仲間入りか~しょんぼり。
「床の用意は済んでおります。」
「床?」
私は視線を隣の部屋に向けると、お布団が敷いてあります。
床って、お布団のことか~。
「ありがとう。」
そういって、お布団に入ろうとすると、着てる物全部脱がされました。
「あれ?」
裸で布団に入れと?でもこれが普通なら裸族になるべきか?
ん~、今日はこのまま裸族で行くか?4月だけどまだ寒いし、早くお布団入りたい。
私がお布団に潜り込むと、「失礼します。」と、私の鎧を外してくれた女の子の内1人が、裸で私の布団に入って来ました。
「今日は一段とお寒うございますね。」
「あ、うん。ソウデスネ。」
女の子が抱き着いて、何故か抱き合う形になってます。
「栞様は暖かいです。」
「そ、そうですか…。」
この状況で寝るNooooー⁉
翌朝…。
朝日が差し込む部屋で、雀の「チュンチュン♪」という声で目覚めれば、横には昨日の女の子…。
朝チュンなの?これが伝説の朝チュン⁉
私は昨日篝に聞いた話を思い出し、慌てて周囲を確認します。
「良かった~。」
コウノトリは来てないようです。
起きたら朝餉の準備がされます。
梅干しにべちゃっとしたご飯、漬物だけです。しょぼーん。
「いただきま~―――」
「お毒見させて頂きます。」
なんか映画でそんなお話があった!あれとは少し違うけど、昨日の女の子が一口ずつ食べて毒見して行きます。
で、これを食べろと…今度からは自分で作った方が良いかな?そうすれば毒見の必要ないし…。
ヘルシーな朝餉を食べて、篝と一緒に凛々に会いにお馬さんに乗って出発です♪
お馬さんに乗るのは初めての経験です♪
しばらくして、馬に縛り付けられて、篝に目的地まで運ばれてます。
だって、お尻痛いんだもん。コツがあるんでしょうね…お馬さんに乗るの。
凛々と会う場所はお寺。
名前聞いたけど憶えてない。
出迎えてくれた尼さんから、信長と奥さんの濃姫が既に到着していることを知らされます。
「栞ちゃんが馬に乗れなくなってるから、凜ちゃんの方が先に到着しちゃってるよ…。」
すいません。
こちらから会いたいと言い出したのに、相手を待たせるのは良くないですね。
私達は尼さんの案内で寺の中ではなく、庭の方へと案内されます。
「はぁ~、なんか絵になるね。」
恰好良い女性が2人縁側に座ってます。
どちらが凛々なのかすぐに分りました。
だって…女性としてその恰好はどうなんだろ?って思います。上着を肌蹴けサラシを見せてます。
やらしい感じではなく恰好良くは見えるんですけどね…男の人にでも見られ…あっ、女の子だけの世界だからオッケーなのかな?
凛々と私はどちらが立場が上かと言えば、たぶん信長こと凛々なんだろうけど、向こうが先に到着してて、上座を意識しないように気を使ってくれてるのか、縁側に座って待ってくれてました。
「すいません。遅くなりました。」
「よい。それで私に会いたいとのことだが?」
そう言って、凛々は私に視線を向けます。
目力凄いね…ビビってしまいそうです。
「そうですね、本題に入りましょうか?凛々…あれ?」
何?篝は凛々て呼ばないと悲しむからって言ってたのに、凛々って呼んだら落ち込んじゃいましたよ?
「うふふ♪」
「え~っと、お濃…義姉さん?」
「まあ、久しぶりですが家族なんです。胡蝶とお呼びください。」
斎藤道三の娘…この人も怖い感じがします。大人しく従っておきましょう。
「胡蝶義姉さん?」
「蝶だけズルいぞ!」
「へっ?」
「くす♪凜も栞からお姉ちゃんて呼ばれたいのよね♪」
「え?」
「何度もお姉ちゃんと呼べと言ってるのに、うちの家族は市以外誰も呼んでくれない…。」
市?お市?信長の妹のことかな?
偶にBLなにの登場して来るんだよね…まあ、あれはあれでアリではあるんだけど…信長×光秀+お市(濃姫の場合もあります)。
道具使って光秀を攻めるお市様のあのエスっぷり♪アリです!
因みに濃姫の場合は光秀の誘い受けが多いです♪
「では…凜お姉ちゃん。」
「なんだ?♪」
なんだろ?ぶんぶん振られてる、尻尾の幻想が見える…。
「え~っと、この戦、回避出来ませんか?」
私の言葉に先程までと雰囲気が変わります。
「無理であろうな…母上が居る限りは…。」
「ああ、母上ですか…私が織田の家督を放棄して出家したとしてもですか?」
「尼になると言うのか⁉」
あれ?この時代だと出家が普通なんじゃ?
「妹を神の慰み物などにさせられるか!」
おぅ…凛々怒ってます。そしてここは寺ですよ?そして尼さん…なんで顔赤らめてんの!
「凜お姉ちゃんがそう言われるなら出家は止めておきます。」
「そうしておけ、お姉ちゃん寺を焼いてしまうかもしれん。」
実際に焼いてますよ。って、この世界の信長じゃないか。
寺と言えば、あの本能寺の変で炎の中での信長×蘭丸シチュも良かったな~じゅる。
っと、ダメダメ、また涎が…。
「どうした?腹でも空いたか?」
「いえ、大丈夫です。それにしても母上も迷惑ですね。」
「で、あるな。」
「ここで身内同士で争って、戦力低下させても喜ぶのは斎藤と今川辺りでしょうに…。」
「で、あるな。これは私の所為でもあるな…。」
「凜お姉ちゃんだけじゃないですよ。私にも責任はあります。」
「私を慰めてくれるのか?良い妹を持った♪」
凛々に抱き寄せられて頭を撫でられます。サラシの所為で気付きませんでしたが、結構なお手前で…弾力が凄いです。
あっ、サラシがほどけ…デカ!
え?F?G?Gぐらいありそう…。
「それは私のですよ?」
「あ、はい。胡蝶義姉さん。すいません。」
目が怖いので自然と謝りました。
「それにしても母上ですか…。」
「母上だな…。」
私と凛お姉ちゃんは2人して出された白湯を一口飲んで空を見上げます。
何処まで表現していいのか…なので性的部分の表現はありません。
…ありませんよね?