表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

勇者と一人目の魔王の話だけど

 これは勇者と魔王のものがたり。


 あるところにとても強い勇者がおりました。


 勇者は怒っていました。なぜかというと、数多の魔物を引き連れた恐怖の魔王が現れて、世界を滅茶苦茶にしてしまったためです。


 恐怖の魔王は魔物を率いて、世界を圧政で支配しようとしました。しかしそれを許す勇者ではありませんでした。


「魔王!」


「とうとうここまできたか、勇者」


 勇者は険しい冒険と、たくさんの犠牲の末に、恐怖の魔王のもとへ辿り着きました。


「魔王、俺はお前を許さない。ここに来るまでに、たくさんの国が、みんなが、お前のせいで死んだ」


 勇者はここに居ない仲間たちを思って、悔しさに涙を流しました。しかし、冒険で鍛えられた勇者にスキはなく、剣の切っ先に乱れはありませんでした。


「何を身勝手な。我からすれば貴様らこそが暴虐非道。一体、どれだけの魔物を手に掛けた?」


 魔王はまったくの心外だというように、嘆息をします。


「当然だ。お前たちを野放しにすれば、だれも安心して過ごせはしない」


「勇者よ。貴様が弱き人どもが担ぎ上げた一縷の望みであるように……あらゆる希望は、絶望との相克にある。貴様にとっての我、我にとっての貴様がまさにそうであろうよ」


「黙れ! 恐怖による支配、力による偽りの安寧になど、意味はない!」


「たわけめ。貴様のいう理屈が、貴様の剣が、我等になにをした? 魔族が挫かれ、人族だけが救済されるのならば、我等への救いはどこにある? ふざけたことを抜かすな」


 恐怖の魔王が力を開放します。


 恐怖の魔王の周囲に、倒したはずの魔物が無数に現れます。なんと恐怖の魔王が待つ真の力は、魔物を操るだけではなく、魂を呼び戻し無限に魔物を生み出すことができたのです。


「我に付き従いし、数多の盟友たちよ、もう一度、力を貸してくれ」


 長き冒険の末に討ち果たした四将を含む、おそらくは5万の軍勢全てが蘇り、恐怖の魔王とともに勇者へ相対しました。


「このように歪みが汚濁のように渦巻く世界、最早ワシには耐えられん……怨嗟を断ち切る。邪魔はさせんぞ」


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


 なんやかんやあって更なる"力"に目覚めた勇者は、恐怖の魔王とその軍勢を滅ぼしました。


 世界の平和は、守られました。


 つづく。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ