固有スキル『強奪』それからアカネ
視点が変わります。
俺はあの妖精と同じ悲鳴が聞こえてきたので急いで悲鳴の聞こえてきた方角に向かって走っていった。
目の前の惨状を見て俺は声を失った。
目の前には無残にも羽をもぎ取られた妖精が無数に転がっていたのだ。
だが、俺はすぐにその中に赤い髪の妖精がいないことに気が付いた。
すぐに俺は神経を研ぎ澄まし、周囲を見た。
〈レアスキル『気配感知』を獲得しました。並びに常時発動します。〉
「今はそんなのはどうでもいいんだよ。」
俺はそんなことをいったものの、謎の言葉が頭に響いてからは周囲の状況が
手に取るように感じたので少し驚いている。そこで俺は6人と1匹が
50m先北東の方角にいることに気が付く。
俺はそこへ向かった。着くとそこに、赤い髪の妖精はいた。
集団の中で一番大柄な男が赤い髪の妖精に何かを言いながらいたぶっていた。
「おい、ほかのフェアリーや宝はどこにあるか言いやがれ!!」
「あんた・・なんかに・・・教えたりなんかしない‼‼」
「ほう、なら意地でも言わせてやる。」
男が剣を振り上げた。その瞬間俺の体が勝手に動き、落ちていたナイフで男の腕を
切り落としていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!俺の腕がぁぁぁぁぁぁ!!よくも・・」
「俺に優しくしてくれた奴から奪うということは、俺から奪うということだ。
だから、俺もお前らから・・・すべてを奪ってやる‼‼」
〈発動条件が揃いました。よって固有スキル『強奪』を発動します。〉
俺は男をじっと見つめた。男の目の前に文字が浮かんだ。
フレッド・ドゥ 男 28歳 Lv21 人族 戦士
所持スキル 『剣技』Lv3 『闘気纏い』Lv2
装備 白銀の剣(5級 特殊効果なし)
(へぇ、これがこいつの情報なのか・・・)
「はあ、俺から奪うだぁ。ナイフしか持ってないのにどの口が言ってんだ。」
「もうお前はいらないから・・・・死ね。」
「は何言って・・・・」
「「兄さん‼」」「お前、よくもフレッドを・・」
「そっか、まだお前ら5人もいたんだったな。全員殺してやるよ。」
「全員、構えろ‼‼」
男その2がそれを言った時には、俺は男その2以外を殺していた。
「残りはお前だけだ・・・・」
「・・・・・やめてくれ。謝るからさ。」
「もう遅い。」
そう言うと、俺は男その2の首を一閃した。俺の周りがあっという間に血の海になっていった。
終わったが何かが足りない。
「血が足りない。殺し足りない。もっと殺したい。」
「・・・・た・・す・・けて・・」
その声を聴いて俺は正気に戻った。当初の目的を思い出したのだ。
「お前、大丈夫か‼」
「ヨウヘイありが・・と。もうだめ・・・かも・・」
「おい、待てよ‼」(どうすればいいんだ‼)
〈名づけを行うことによって一命を取り留めることが可能です〉
(名づけだと!名前を付ければいいのか?かっこよく言ったほうが良いのか?なら・・・・)
「そなたに名を授けよう。そなたの名はアカネ、アカネと名乗るがよい。
これでいいのか?」
言い終わった途端、アカネの身体が光りだした。
俺はアカネが目覚めるまで待っておこうと思ったのだが、疲れが来たのか知らないが眠ってしまった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
俺の意識は覚醒した。「アカネ‼、だ、大丈夫か‼‼」
「見ないで、ヨウヘイ‼」そう言われ、俺は右ストレートを受け止める。
「殴るなよ。それより、アカネ、前よりいろいろとサイズが変わってないか?
それに羽の枚数も増えてるぞ。もしかして・・・・」
俺はアカネの情報を見るためにアカネを見た。
アカネ 女 15歳 Lv4 上位妖精族 なし
所持スキル なし
装備 布の切れ端
「何見てんのよ‼」
「アカネ、お前ハイフェアリーに進化してるぞ。」
「え!アカネって私の名前なの?それにハイフェアリーっておとぎ話でしか聞いたことないやつじゃん。」
「そうなのか?」
「それより、私に名づけをして大丈夫なの、ヨウヘイ?」
「別に平気だが、それがどうしたんだ?」
「大丈夫ならいいけど・・・」
「そうだ‼アカネ、上だけでも俺の服着てろよ。それじゃ寒いだろ。」
俺はシャツを脱いでアカネに渡した。
「あ、ありがとう・・・でもヨウヘイは大丈夫なの?」
「俺か?俺は大丈夫だ。さてこれからどうするかな。」
「どうするって、ここを離れてどこか行くの?」
「そうだけど。」
「なら私も連れて行って。宝物庫の場所なら知ってるから。」
「もとからそのつもりだけど。」
「え、そうなの。」
「ああ、だってお前ここに残っても何もないだろ。
それに仲間がいたほうが良いからな。」
「ヨウヘイ・・・・」
「泣くなよ。お前は一人じゃない、俺がついてる。」
アカネは目からこぼれる涙を拭って立ち上がった。
「わかったわ。場所を教えるからついて来て。」
そして、俺たちは宝物庫のある所に向かっていった。
次回もお楽しみに♪