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冒険者と出会ってみる

はぁ、森の異変調査か……だりーな。

こんなもん俺たちに依頼しなくても良いんじゃねーかな?はぁ、本当メンドクサイ。

 「なぁ?何か変わったことは?」


御者台から馬車の中に居る仲間の女へ声を掛ける。


 「まだ何もないぞ?さっき聞いてから数分と経っていないのに、なにかあるわけ無いだろう。」


 「はいはい、そうだな、すまんかったな。」


ああ、メンドクサイ……


 「おい!」


あいつから声を掛けてくるなんて珍しいな。


 「あ?なんだ?」


 俺は生返事気味に声を返す


 「血の匂いだ、魔物と…人の血の臭い……急げ!誰が襲われてるぞ!」


あぁ!?マジかよ!


 「飛ばすぞ!舌噛むんじゃねぇぞ!」


 「ああ、心配ない!さっさと行け!このまま真っ直ぐだ!」


 俺は更に速く進むべく鞭を打つ。

____________________________________


「いって!」


 俺は頭への突然の衝撃で目が覚める。

あー?何だこの天井……つーか動いてる?


「よぉ、ようやく目が覚めたか兄ちゃん」


 声がした方を見ると見知らぬ男が此方に向かって座っている。


 「あー、なんだ…そうそう、肩の傷は大丈夫か?」


 肩の傷…そう言えば俺、ウルフに襲われて気を失って……死んだんじゃないのか?いや、ここに居るってことは生きてるのか。

とりあえず肩の傷を見てみるか……。


 「あれ?確かここ…思いっきり喰い千切られてたよな。」

 

左肩を見ると傷もなく服すら破れていない


 「よしよし、効いたか。たけーポーション使った甲斐があったな。」


 男がうんうんと首を縦に振る


 「ポーション?もしかして…何か大切なものを?」

 

 「いんや?まぁ少し値は張るヤツだが、人命に比べれば安いもんだ。」


 「ありがとうございます。お返しはどうすれば…」


 「お返し?んなもんいらねぇよ、こう見えてもなかなか稼いでるからな」


 「人望は全く稼げてないがな」


と、男と話して居ると奥から声が聞こえる、女性の声だ。


 「はいはい、そーだな。……そういや名前、言ってなかったな。俺は冒険者のセレス フレンツェ、であっちが「ヴァルシュ ファーティア」だそうだ。」

 

 ほぅ、冒険者ですか、そうですか。やっぱり異世界には冒険者は付き物ですか。


 「ああ、どうも、俺は上峰 聡良です。」


 「カミミネ…聞き慣れない名前だな、それにその服装といい、お前…転移者か?」


 ああ、服装?…そういえばあんまり気にしてなかったけど、何故か学ラン着てるんだよな。なんで学ランチョイスなのかこれがわからない。

 というか転移者って、俺以外にもあっちの世界の人間が居るのか。


 「厳密にいえば転移者とは少し違うんですが…まぁそんなものですね。」


 「やっぱりか、でもなんであんなところに…」


セレスと話していると奥からまた声が聞こえる。


 「おい、いつまで私に御者をさせるつもりだ、さっさと代われ」

 

 「はいはい、しゃーねーな」


 セレスは無愛想に返事をしながら声のした方へ向かう。

そして一人の女性が、ファーティアが入れ替わりで此方にやって来る。


 んー?なーんか頭に生えてるような…あれ、耳?ケモミミ?oh、マジでケモミミじゃん。ファンタジーじゃん。


 「ん?どうした?私の顔になにか…いや、頭……これか?」


 と、自分の耳を指差す。

 あ?気付かれちゃいました?


 「ああ、すみません。俺にとってはなかなか…いえ、かなり珍しい物でして。不快にさせてしまったのなら申し訳ありません。」


 「別に怒ってはいないぞ、ただ…その…あれだ、あまり見られるのには慣れていなくてな。その、恥ずかしいんだ。」


 「ああ、そうなんですか。すみません。」


 …というか、ケモミミのインパクトが強すぎてスルーしてたが、腕もなかなかケモいんだな。モフモフで、時たま見えるにくきうが柔らかそうだ。尻尾もうにょうにょ動いてるし…。


 「確か、転移者…なんだな。さっきから珍しそうに私の事を見ているが、お前の世界には私みたいな者は居ないのか?」


 「…居ると言えば居るんですが、偽物?理想?フィクション?そんな感じですね。」


 「偽物?フィクション?…んー、さっぱりわからんな。そう言えばお前が倒れていた場所のウルフ、あれはお前がやったのか?」


 「ウルフですか、俺じゃ無いですね。そのときは多分気絶していたはずなので。」


 「そうか、なら何か知らないか?」


 「うー、たしか、気を失う前に女の子の声が聞こえましたね。オートマティズムがうんたらかんたらって。」

 

 「女の子?……このメイスに見覚えはあるか?」


 ファーティアが奥から見覚えのある血に濡れたメイスを取り出す。


 「あー、それは俺のですね。」


 「お前のなのか、ならこいつは返しておこう。」


 そう言うとファーティアは俺にメイスを渡す。

そして渡した後、何か、考え込むように下を向く。


 「本当に何も知らないんだな?」


 最後に、念を押すように俺に問う。


 「はい、最初にも言ったように俺は気を失っていたので。」

 俺は正直に答える。

 そして聞くことが無くなったのか、ファーティアがブツブツと何かを呟いていると、御者からセレスの声が聞こえる。


 「おい、街が見えてきたぞ。さっさと準備しておけよ。」


 どうやらもうすぐ街に着くらしい。

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