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時を超えし者  作者: 高遠 真也
第一章(仮)
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第七話 再会

救った女性のことを考えながら帰路についた大空誠一。彼はこの世界に何を見出す。

 署に戻ったのは12時半のことだった。昼飯の時間だが昨日寝てないせいか睡魔に襲われている。そんな時にマサヒロが入って来た。


「ソラサン、オ昼ゴハンハドウシマスカ?」


 睡眠か食事か。人の三大欲求のどちらか一つを今捨てなければならない。と言っても一時的にだが。先に寝るのも良し、食べてから寝るのも良しだ。それにしても小手返しの時まで睡魔に襲われなかった。このベッドの効力ならこの国は恐ろしい技術を抱えている。まあそんなことを今考えなくても良い。とりあえず食事にした。この国の特産品で、とマサヒロにはお願いした。因みに天枷さんはマサヒロについては二人?で徹夜でした調べ事の時に面識がある。彼女曰く愛嬌があって可愛らしいそうだ。天枷さんのような真面目な人でもそんなことを言うものだと思った。


 そんなことを考えながらベッドから見られる街並みをぼんやりしながら望んでいた。ここから見える景色は近未来のものだけだ。全てが無機物でできている。自然は殆どと言って良いほどない。あるとしたら道路の中央にある街路樹くらいか。それ以外は全くと言って良いほど見つからない。この国は都市圏になればなるほど自然は少なく、遠くなればなるほど自然が多いのが特徴だと言うのが先の調査で分かった。どの国でも大抵はそうであるがこの国はその部分については顕著に出ている。


「この世界は見るもの全てが新鮮だ。無機物しかなく、あっても有機物は僅かだがどことなく自然の匂いがする。」


 気付いた時には声に漏れていたがそれは気にしない。誰もいない、自分一人の空間では呟いても良いのだから。この個室は病院のものに近い雰囲気がする。いや、雰囲気だけでなく内装も設備もそうだ。そんなことに浸っているとマサヒロが昼ご飯を持って来てくれた。この国の特産品は魚介類だ。海から5キロしか離れていないこの場所では新鮮な魚が豊富らしい。あまり魚の名前には詳しくはないが、そういう食材に関しては全く異なる点が見つからないので便利だ。


「今日ノ昼ゴハンハ、サバノ煮付ケ、玄米、味噌汁、ソレト野菜ヲ少々。」


 その食事を見たところ第一印象は次のように思った。小学校の時の給食を久しぶりに食べているようだ。しかし、健康には気を使っているようなので生活習慣病になることはないだろう。


「ああ、ありがとう。」


 そう喜んで言うと、マサヒロはなんだか嬉しそうだった。そんなやりとりをして、食事にする。この国の飯は旨い。20分かけて食べ終わり、廊下に出る。ああ、気持ちが良いなぁ。なぜそんな気分になるかは見当もつかないが。


 そうこうして歩いていると何やら人にぶつかった。


「あ!すみませんすみません。大丈夫ですか?」


 そう声をかけたが返事がない。頭を打ったのだろうと心配になり声をかけて見たところ、ぶつかった相手と言うのがあの時の女性なのである。


「あの時の軽率な言動は申し訳ありません。」


 そう自分は謝った。これで丸く収まると思ったがここは腐っても異世界だ。


「本当に謝罪の気持ちがあるなら少し付き合ってくれるかしら?」


 そう詰め寄って来て上目遣いをする彼女。女性というのはとてもずるい。大抵の男はこの様にすれば落ちるのであろうから。助けを求めるのも悪くはなかろう。が、不運にも周りに人はいなかった。なんとかして誤魔化さないといけないのは重々承知していた。


「少々話す相手がいるのでその後で良ければ構いませんが。」


 それを見て彼女は自分の左耳にこう囁いた。


「へぇ…お姉さんのこと嫌いなのかな?」


 中学は共学校だが高校は男子校という、思春期の男子にとって一番青春な時期を犠牲にまでして勉強に打ち込んでいた自分になす術はないが、それでも抵抗をしてみる。


「まだ会って間もないのに嫌いとかになるものでしょうか?」

「そっか〜、そうだもんね〜、まだ会って間もないから嫌いじゃないんだね。」


 女性というものはこういうものだろうか?男社会に身を置くと感覚が鈍りやすい。しかし、なんとかこのまま時間を稼いで誰か来ることを願う。今の所躱せている。


「嫌いじゃないなら勿論好きだもんね〜。」

「どのような道理があって人を好きになるのでしょうか?普通なら普通だと思いますが。」


 その瞬間彼女の目からハイライトがそっと消えた。地雷を踏んでしまったのだ。まずいと思ったがもう遅い。彼女は一度後ろに下がり、彼女の両手が自分の右手を取った。それは氷の様に冷たい両手でこちらの心までも凍らせてしまうのではないかと思われた。何をするんだろうとその光景を見ていた。いや、体が固まっていたのでその光景を見るしかなかったのだ。そして、自分の右手は彼女の淡白い左頬に触れた、触った。


「普通?嘘よね?今、あなたの右頬は私の左頬をあなたの意志で触っている。普通の感情ならこんなことはしないわよね?」


 彼女の頬は言葉の内容と共に氷のように冷たく、棘のように心に深く刺さる。彼女の追撃は続く。


「あなたは私のことが好き、私はあなたのことが好き…この二人が結ばれたらこの上なく幸せじゃない?」


 ここで墜ちるのも良いだろう。しかし、それは普通の男性ならという条件付きだが。自分は男性という一括りにされる人ではない。大空誠一だ。


「いつの頃からあなたは自分のことをそういう様に見たんですか?」

「それはあなたに助けてもらった時から。」

「そして、この右手は自分の意思じゃないんですが」

「え?あなたの意思でこういう状況になっているのよ。」


 彼女の自分に対する感情は一体どこから湧き上がるものだろう。しかし、そんな物語の様なことは一切起きなかった。ストーリーのように自分に執着する理由はこれまでの所は見当たらない。そんな時、神からの助け舟が来た。杉並さんと黒田さんが偶然通りかかったのである。


「大空さん!大丈夫ですか!」

「ええ、大丈夫です。」


 それを見て彼女は後ろに下がった。彼女は黒田さんに取り押さえられそうになったが、自分がそれはやめてくれと嘆願したので、最悪の事態は免れた。自分が応接室で話し合いたいとしてお願いした。勿論杉並さんと黒田さんも参加する。危ないところだった。

遭遇してすぐに再開。

これは何か裏がある様だ、とっつぁん。

グダグダ進行ですが温かく見守って下さいm(__)m

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