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時を超えし者  作者: 高遠 真也
第一章(仮)
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第二十四話 射撃

10日も更新空いていてすみませんでした( ;∀;)

 射撃訓練場の扉が音も立てずに開いた。その扉からはロングヘアで漆黒に少々茶色が混ざったような髪色の持ち主が歩いて来た。背丈を見る限り自分と同等かそれ以上とみる。それでいてしまった体であり、それを見て自分は肉体美とはこの人の為にあるのだろうという感情が奥底から湧き上がって来たのだ。それでいて肌も白い。筋肉の白鷺城という印象を受けたのだ。


「私が国防陸軍特殊作戦郡第二中隊隷下第一小隊長、上林由美。よろしく頼む。階級は中尉だ。」


 上林中尉は敬礼ではなく右手を差し出した。それに自分も応じ、右手を差し出して優しめの握手を交わす。


「君が期待の新人なんだって?」


 彼女は拳銃を撃つ真似をしながらそう言い放った。その発言に対して軽く頷いた。そして、自分の腕前を見たいのだろうか先ほどいた射撃訓練場の所定の位置に来るように導かれた。そこに着くと自分の持っている一四式拳銃を使うように促されたので、先ほどと同じように構えて射撃した。無論発砲した際の金属音は鳴り響くこととなった。結果は先ほどとほぼ同じとなったのを見てか上林中尉はこちらに近づく。それからこう面と向かって言った。


「あなたなかなかセンスあるんじゃないか?」


 褒められた感じの内容だったので悪い気分はしなかった。むしろ気分は上々と言ったところだ。それが顔に出たのか上林中尉はこう付け加えた。


「私が教えたらもっと上手くなると思うから見ていてくれる?」


 直後に上林中尉はこちらに近づいてきたかと思えば、射撃訓練場の所定の位置に入る動作をした。歩き方までこうも麗しいとは親の躾がよほど良かったんだろう。そう思いながら射撃するところを見た。上林中尉も使っている銃器は一四式拳銃だったので自分も何らかの技術を盗むことができればいいと思った。長い髪を後ろになびかせ、静止する上林中尉。発砲音が自分の耳の裏にまで張り付いたようである。十二発全弾射撃し終わると自分はその結果に驚いた。全ての弾丸が的の中央を一寸の狂いもなく貫通していたからだ。即ち、ワンホールショットである。自分はこの事実に戦々恐々するしかなかった。特殊作戦群というのはどうもエリート中のエリートしかいない。その中に自分のような素人がいてもいいのか?自分の不甲斐なさに負の感情に陥ろうとしていた。


「どうした、大空?」


 その一言に自分は現実に引き戻されることとなった。自分はそれに軽く頭を動かして上林中尉がこちらに近づくのにようやく気付いた。


「え…いや、凄いなと思いました。全弾同じ場所に命中させるなんて見たことありませんでしたから。」


 元の世界で銃器類を扱った事はないので当然といえば当然だが、それでもその技が到底真似できるものではない事は明白だ。自分はこの技を会得できるものならしてみたいと初めて思った。


「その顔だと自分も同じことをしたいと思っている?」

「読心術も使えるのですか。これは少々驚きました。」


 自分は冷静に返事をしたが上林中尉が読心術を使えるそのことにも顔色が青くなりそうだった。それを裏付けるように先ほどにはなかった汗が頰を撫でるように流れていた。


「一つお願いがありますがよろしいですか?」

「どんなお願いかな?」


 自分は上林中尉の一言の後、ゆっくり息を吸ってこのように切り出した。


「自分にワンホールショットのやり方を教えてください。」


 深く頭を下げた。人に頭を下げることはあまり好きではないが、自分の練度を高める為ならそのような誇りは捨て去っても構わないと思った。


「練習だ。」


 あまりにも単純な回答に言葉を失ってしまった。当然といえば当然な回答だが、未だに自分の心の中に楽をしたいという卑しい感情が残っていたがために言葉を失ったと思う。すぐに顔を上げて訓練することにした。無論上林中尉は後ろで見ていてくれたが。


 弾薬は基本的に無限だと考えてもいいと言われているので時間の許す限り鉛の弾丸を目標物に走らせた。結果は命中率は先ほどの半分以下となった。精密射撃に必要な平常心がなかったからといえばそうだ。しかし、この時の自分にはそのようなことに気づくことはできなかった。無駄に弾薬を消費しては虚しく空を切る弾丸。後ろを振り向くと上林中尉が呆れた顔で足音を近づいてきた。


「今の大空は人語を誦んずる獣同然だ。その持つ力を制御しようとしていないからだ。もっと頭を使え。」


 上林中尉は右の人差し指の先を自分の額に当てながらキツイ声でそう忠告した。自分は口を開けてそれを見ることしかできずに気付いた時には後ろのドアが閉まる音が聞こえていた。自分でも頭を使えというのは分かっているが、そう簡単にできるものなら苦労はしない。壁際にある椅子に座って暫く考え込むことにした。


「自分にとって力とは何か…哲学的になりそうだな…そういえばなんで上林さんは自分の名前を知っていたんだ?」


 ふとした疑問は時として大きな進歩を生み出すが運が悪いと時間の浪費に過ぎないのは世の常であって。そのせいで自分は一時間も頭を回転させることとなった。


「どうしたんだ大空!」


 急に右側から低い声が聞こえたので振り向くと信濃大佐が腕を組んで立っていた。

まだ訓練は続く(白目)

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