第十九話 休息
遂に連続投稿が途切れてしまいました!
遅くても二日に一話は投稿できるように努力します!
早速自分を含めた七人が別々の取り締まり室に連行されることとなった。自分の担当した人が余りにも高圧的であったために黙秘した。黙秘が不利になることは知っているがさりげない抵抗をしたかった。だが相手は傲慢なので仕方なく天枷さんを呼ばないなら黙秘し続けると言った所、顔色を変えてすぐに呼んできてくれた。なんというか、お上の権力を傘に狼藉を働くものは必ずいるのだと改めて感じた。そういう奴に限って自分より階級が上の人が来るとすぐに媚を売る。処世術としては間違ってはいないが、自分はそんなことをしてまで信念を曲げたくない。信念…今の自分の信念って…なんだ…そんなことを考えていると天枷さんが入ってきた。
「この度は私の部下が大空さんに大変迷惑をかけていることを謝罪いたします。」
すぐに顔を上げるように言ったがそれでも顔を上げなかったので暫く見ていた。その後、天枷さんは頭を上げてすぐに事情を説明した。まず始めにこれは任意同行であるということ、次にすぐに釈放することが言われた。これに一安心して金属製の椅子に深々と座った。それにしても今日(正確には昨日)は色んなことがあった。その日偶然入り込んだ臨海地区にはヴァンクールというグループがいて、そのリーダーである周防定道と仕合をしては意気投合して星原さんの救出作戦を練り上げ、さらに即日敢行して見事に救出。考えるだけでよく体が持ったと思った。あまりにも上手く事が運んでいるが、今は体を労ってやらないとな。
そして、すぐに自分たちは釈放された。ヴァンクールのメンバーは彼らの場所へと帰っていったのだった。温泉に行きたいが今は深夜の二時を過ぎている。こんな時間に空いているはずもなく、仕方なく部屋にある風呂を使うことにした。浴槽は百八十センチを超える自分でも寝ていられるペースがある。そんな浴槽にお湯を張って暫く待つ。
暫く部屋のベッドに横になる。そのベッドはいつもと同じくフカフカで体全体が優しく包まれるモノがあった。体だけでなく心まで温められそうであった。もうこのまま寝てもいい感じだった。しかし風呂には入らないと色々な匂いが取れないものなので仕方なく起き上がる。辺りを見渡すと壁に埋め込まれているテレビがあるので近くにあるリモコンを手に取り適当に漁る。気になった番組があったのでそれを視聴することにした。その番組の内容はゲームの紹介をするというものである。ゲームは自分の得意なことでもあったので凝視してみる。すると、VR機器が出てきたのである。見た目は安全ゴーグルに近いものであるが自分はこれを元の世界でも見たことがある。と言っても触ったわけではないが。そのVR機器の最新ソフトの紹介をしていた。そのソフトの内容とはよくある多人数FPSかと思われた。しかし、この世界の技術は生半可ではないらしくかなりの解像度があった。普通では考えられないほどのモノが目の前に映っているのである。画面にのめり込むように見ていると卒倒しかねないことが起こったのだ。安全ゴーグルらしき物をかけてスタジオにあったベッドに寝転んだのである。自分は海馬からそれらしき事象を砂漠からダイヤモンドを掘り出すように漁り続けた。が、とうとうそれらしき事象は見つからなかった。横になりながら…正確には寝ながらゲームをしているのである。何故そう判断したか。それは体が全く動いていないのである。その場で安らかに眠っているようにしか捉えられない。体が休んでいて脳に信号を送っているのだろう。しかし!これはゲーマーとしてはすぐにでも入手したい一品である。
そんなことを考えていると三時になっていた。急いで浴室に入ると、お湯は溢れていなかった。それに一息して脱衣所で衣服を脱いだ。そして浴室に戻る。そこで普段通りに頭と体を洗った。せっかくだからシャワーを浴びる。その水温はなんだか星原さんの体温に似ていた。自分はこの時感じてしまったのだ。その切なくて淡い感情は泡沫と同じく消えてゆくものではなかった。それは自分の心に深い何かを残して。シャワーを浴び終えると次にお湯の張られた浴槽に入った。幸いにもまだそれは温まっており沸かす必要はなかった。風呂ではよく考え事をする。今日の考え事は救出作戦の反省だ。救出隊は突入はできたがそれは本体が星原さんと接触した後だ。タイミングが悪かった。そんなことを考えていると自分の力量のなさを感じて風呂に顔を潜らせた。それに星原さんはあんな恥ずかしい格好で待っていたのだ。とても辛かったと思う。それなのに…星原さんの問いを無視するようなことをして情けない。その感情は水面に波紋を生じさせた。
「もう今日は寝るか…」
そう呟き風呂を出て脱衣所に戻るとドライヤーを手に取り髪を乾かす。そして着替えて部屋に戻るが部屋の中央に人が突っ立っていたのである。それは細くも芯のある背中姿であった。星原さんだ。今この場で目を合わると間違いなく終わってしまう。それも色々な意味でだ。顔を合わせずに寝たい…そう願っていると唐突にか弱い声がした。
「誠一くん…お茶入れてあげたけど飲む?」
せっかくの好意を無下にすることもできずにその場の流れで承諾してしまった。自分は弱い男だ。
「今日は…大変だったね…」
自分よりも星原さんの方が精神的にも身体的にも疲れているのに気を使わせてしまった。
「誠一くんの好みを調べて買ってきたんだよ…」
「あ、ありがとう…ございます…」
これと言って話すこともなく、外の摩天楼を見ていると急に眠くなってきた。こんな時間まで起きることなんて珍しいからそうなるな。そのままベッドで寝た。不穏な影がそこにあるとも知らずに。




