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時を超えし者  作者: 高遠 真也
第一章(仮)
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第十八話 救出

朝投稿できなかったけど今日中に投稿できたからセーフ(白目)

なるべく早く書き上げますので温かいご支援をお願いします。

 自分の投じた小石は奴から大きく外れ床に落ちる。何も起こらない。すぐさま次の手を考えるが、そうやすやすと策は浮かんでくるものではない。再び思考の深淵に陥る。そのとき怒号が辺りに響いた。振り向いてみるとある男が動き出していた。その男とはあの時に会った地味な隅の方で話していた人じゃないか。何をするのかと暫く様子を見ようと思ったがそんな悠長なことが目の前に起こっているわけではなかった。なぜなら単身ナイフで奴の喉を刺そうとしているのであるからだ。特攻か!?


 手を伸ばそうとするが足元が暗くて動き辛い。その間にもナイフは奴の喉めがけて疾っている。それにも奴は気づいた。散弾銃を接射…とまではいかなくても隙間は殆どなく、銃口はナイフを持っている男の心臓を捉えていた。重厚な金属音が部屋に轟いた。それは内臓を細胞レベルで粉砕するような音であった。しかし、それと同時に男のナイフも奴の喉元を突き刺しており、絶命していた。だが、奴を死に至らしめた本人も間も無く死に至ろうとしていた。何やら口を動かして話しているようだ。


「……………俺…は………コン………テ……」


 微かにしか聞こえなかったのでもっと近づいてみたが、既に息絶えていた。転生したら人々にもてはやされるのではないのか?人を生き返らすことなど容易いのではないのか?そういった転載する前に描いていた夢に対する現実の落差に葛藤する。まだ名前も聞いていないのに、感謝の言葉も言えていないのにその男はあの世へ逝ってしまった。せめてもの感謝と追悼の念を表すために合掌した。


 辺りを見渡すとこちらの被害は死亡者がこの男一名、重傷者3名、軽傷者7名であった。見渡し終わるとすぐに部屋の奥にある扉を開ける。するとそこには星原さんが座っていた。と言っても両手は後ろで手錠で拘束されていて、その手錠の先は壁と繋がっていたので座らされていたが適切であろう。そして、衣服ははだけており、かろうじて恥部が隠されていた程度である。とてもではないがみていられない状態である。近づいて表情を伺うと涙が滴り落ちていた。最悪の事態を想定したが周りの状況からしてそれはないと確信した。いや、ないと思わないと精神が崩壊してしまいそうだった。今すぐにでも手錠を外したいが鍵穴が見つからない。すぐに救出隊に合図を送りそれを待つことにした。


 それにしても星原さんは華奢だなとくびれを見て思った。それは触れてしまえば砂のお城のようにすぐに崩れ落ちてしまいそうだった。それほどまでに体の輪郭は綺麗で花のような可憐さを持ち合わせていた。自分の視線に気づいたのか星原さんは恥じらいを見せる。


「……バカ……………」


 そんな声が聞こえてきた。勿論その声の持ち主は星原さんであった。無理もないだろう。もし、あの時自分が転生者であることをしっかりと理由も付けて言えていたなら。もし、定期検診を受けずにすぐに追いかけていたなら。もし、救出作戦を昼間に敢行していたなら。様々なIFを並べてみる。並べたら並べるほど自分の無力さに情けない感情が浮かび上がってきた。正座で次の星原さんの言葉を待つ。


「聞こえないの?………誠一…くん…」


 もう声がかすれていて、そして悲しみに溢れた声であったので聞きたくなかった。胸が締め付けられるような感じがした。反応はしたかったができなかった。


「誠一君!…………お姉さんの言葉が分からないの?聞こえてるでしょ……」


 これ以上は怒らせることになるので反応しようとするが、その時になって救出隊が入ってくる。間が悪いというのかなんというか。救出隊により手錠はすぐに解錠できた。あとその人員に衣服を自主的に持ってきた大変有能な人がいたおかげで星原さんはすぐに着替えることができた。話は後で聞くとしてこの悪趣味な部屋から出ることにした。本隊と合流して五十人揃ったところで脱出を決行する。と言っても制圧しきったから脱出より退去が適切であるが。


 救出隊から星原さんを預かって先に救出隊を帰らした。残った四十人も車両の場所に戻る。星原さんは自分と同じが良いのか乗り込んできた。仕方がないので自分と星原さんは後部座席に座る。星原さんと顔を合わせたくなかった。合わせてしまうと自分の奥底にしまってある感情が抑えられないと思ったからだ。自分の思っていることと、星原さんの思っていることにはなんの違いがあるのだろう。それは分からない。タイヤはアスファルトを切りつけながら夜半という時間を走り続けた。


 街に戻ると車窓からはヘッドライトの河が見えた。元の世界でもごくありふれた光景だが涙してその様を観察していた。その光は朗らかで暖かくて、優しくて。自分にとっての心の拠り所みたいな感じにさえなっていた。今の自分には余りにも大きな心の支えとなっていた。暫く走り続けると治安維持隊の車両に挟まれてしまった。嫌な予感はすぐに的中し、職質を食らって手荷物検査で引っかかってしまった。ここで抗議しても面倒なので署に行くことになった。応援も到着してしまったのでそれぞれ別れて輸送されることとなった。幸いなのか職質に捕まったのはこの一台だけなようで他はしっかりと戻っている。すぐに終われば良いなぁと思いながら車両内でそう思う。星原さんは疲れ切って寝ていたので別の車両となったがどんな行動を起こすのか分からないので、それが懸念点だ。

ひとまず星原さんの救出に成功した所で転回しましたねぇ。

誠一は星原さんにどんな感情を抱いているのやら。

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