1/20
プロローグ
女の子と旅をした。
その女の子は、家族の元へ帰りたいと願っていた。
俺も、自分の家族に会いたかった。
結婚したばかりの、愛する妻に。
妻はどうしているだろう。
突然、俺が死んで。
今も、泣いているだろうか。
一人、寂しくいるのだろうか……
会いたい。会いたい。
俺は、女の子を送り届ける事にした。
たとえ、自分は家族に会えなくても。
一緒に逝った女の子の願いを叶えてあげたかった。
最後の願いを。
女の子を送り届けた時、偶然にも俺は、妻と会う事ができた。
その腕には、生まれたばかりの子どもを抱いていた。
妻は他の奴と再婚をしたのかと思ったが、そうじゃなかった。
俺の、子。
家族を守りたい。
妻を、子を、
傍で、ずっと見守り続けたい。
そう願って、俺は、光の粒になった。