EX-6『アスタとメロの六年目4』
「おいおいおいおいおい大丈夫なのか本当にこれおい……」
酷く珍しいことに、リグの声が震えていた。
こんな状態の彼は極めて稀だ。いや、初めて見たと言っていい。
だから俺は、せっかくの機会にからかうべく口を開く。
「おいおいおいおいおいバッカ落ち着けお前この程度お前本当あれお前これやっべマジ怖え泣きそ」
「お前が落ち着けボケ。一気に不安さが増してきただろうが!」
いやだってこれ怖すぎるんですけど。
足が震えていた。もちろん可能な限りの手は打っているが、もう恐怖しかない。
異世界命の危険がいっぱいシリーズで五指に入りそうな勢いだ。少なくともトップテン入りは確実。
……いや俺ちょっと命の危機に陥りすぎでしょ……。なんか冷静になってきちゃったよ逆に。
「本当に大丈夫なんだろうな。信じるぞ……?」
リグが言う。もちろん俺だって死ぬ気はない。
というか俺の命が懸かっているのだ。微に入り細を穿つ繊細さで念を入れている。
「《故郷》で境界設定、《一日》と《水》で環境設定と循環……そこに《防御》と《保護》を可能な限り重ねたんだ、見落としはない、大丈夫……な、はず。少なくともここから落ちない限り」
リグは細い目線で言う。
「落ちたら?」
「いや死ぬに決まってんだろ」
「落ちる以前にこれが壊れたら?」
「余裕で死ぬ」
「……遺書を残してきたほうがよかったかもしれんな」
「おいバカやめろ縁起でもないこと言うな」
いくら完璧なフォローをしたからと言って、そもそも作戦そのものがアホすぎてダメな気がする。
だがほかに代替案があるでもない。いや《やめる》っていう最高の作戦はあるけど一応。
足を震わせる野郎ふたり。
その一方、作戦の立案者であり、その根幹を担う少女は実に楽しげな笑顔だった。
「心配性だなー、ふたりとも。だいじょぶだって! なんせ、あたしがやるんだからねっ!」
「そこがいちばん心配だっつってんだけど」
「なにおー!?」
俺のツッコミに憤慨するメロだが、さもありなんとしか言えないだろう。
なにせこの作戦――すわなち空中城塞への突入ミッションだが。
聞いて驚け。高い空を飛ぶ目に見えない城へ向かうため、いったいどのような作戦を考えたか。
説明させていただこう。
一、畳一畳ほどの石材をお借りします。
二、みんなで乗ります。
三、上に向かってジェット噴射。
四、お星さまになーれっ☆
「……ちょっとやっぱやめない?」
いやだってこれ頭悪すぎるでしょ意味わからんもの。
ダメだこれ。成功するヴィジョンが見えない。やっぱり別の方法を考えよう。
なんでメロの作戦に乗ってしまったかな、そもそも俺らは。
「せっかく応援も呼んだんだ、いっしょで行くことにしようぜ。な?」
「事態が事態だから三人で先行するって言い切ったの、アスタだったと思うけど」
「そらお前、仮にも首都の上空に未確認の空中城塞だぞ?」
サイズはだいぶ小さい。でもなければ見上げたところで底しか見えなかっただろう。
とはいえ、ちょっとした城型の戦艦に攻め込まれる寸前、と考えればヤバいことに違いなかった。
つーか王政府が未確認って時点で、これもう他国に攻められてんじゃねえの?
戦争まで見えてくる。ちょっと洒落になっていない。
こんなに大きな話になるとは思っていなかったのが正直なところだ。
「大丈夫だって」
だがメロは、どうなのだろう。こんな事態も、ちょっとした冒険としか考えていないのか。
俺とリグを無理やり、石板の上に押し込んでいく。
ちなみにこの石板、出どころはメロが王都の大通りの舗装された地面を切り出して抉ったものだ。
つまり石板ですらないし岩盤以下だしたぶん犯罪だしバカじゃねえのマジで。
「本当だな? 本当に大丈夫なんだな? 信じるからな? これでお前、空の藻屑になったとか笑えないからな?」
「空の藻屑って何?」
「そこはどうでもいいだろうが! なんか雰囲気で感じ取れよ知るかんなこと!」
「アスタはすぐメチャクチャ言うんだからー」
「メチャクチャ言ってるのは、おー、まー、えー!」
「いいのっ!」
メロは強硬だった。
まっすぐ、俺を見上げるように彼女は言う。
「それとも何、あたしのことは信じられないの?」
「……」
「どうなのさ」
「……ああもう、わかったよ!」
がしがしと頭を掻いて俺は言った。
メロが、この天災がここまで言うんだ。命くらい張ってやろう。
「つーわけだリグ、悪いが付き合ってもらうぜ。死ぬときはいっしょだな」
「……いや、俺はお前より一秒でいいから長く生きる」
「よく言った絶対逃がさねえ」
まあ実際問題、三人が揃っていなければそもそも不可能な作戦だ。
目標確認と軌道補正にリグ、俺たちが乗る岩盤を保護し続ける命の要が俺、そしてメロが推進力。
言ってみりゃ三人がかりでサーフィンするようなもの。
乗る対象は水ではなく空気だが、魔術まで使っているのだ。
失敗したら死ぬとはいえ、失敗するほうが難しい。その意気で行こう。
「えっへへ。……さすがアスタ!」
メロは嬉しそうに笑った。
……。ダメだなあ。俺がなあ。
「笑ってんじゃねえ、気合い入れてくれお願いだから」
「任せてってば! それじゃあ行くよーっ!! カウントダウンだ!」
「……あ、ヤバいやっぱ怖い、怖いもんは怖い!」
「三!」
「ちょ待ってメロ心の準備――」
「零!」
「二と一は、あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
メロが空気を操り、強烈な勢いで俺たちは上空へと打ち上げられた。
その速度、もうよくわからない。
何より看破の片眼鏡をつけているのはリグだけだ。
すなわち俺たちに今、城は見えていない。
「怖い怖い怖い怖い怖い、嫌あ――っ! 大丈夫、ぶつからないこれ!? 平気!?」
「知らね☆ だって見えないし」
「いぎゃあ――ッ!!」
「だァもう、うるせえぞプレイアス、ちょっと黙っとけや!!」
リグが半ばキレながら叫ぶ。
その声が聞こえるのは、俺の魔術で岩盤とその上の空間が保全されているからだ。
ていうか、そうでもなきゃ普通にミンチと思われる。
「っ――始めんぞ! メロ、速度落とせるか!?」
リグが天を――いや、その先の城を睨んで叫ぶ。
だが、メロは余裕のない声で。
「……ムリ」
「ムリなのか、オォイ!?」
「こ、これ思ったより制御が難しい――速度出すならともかく、抑えるのは……あ、やば」
「メロさああああああああああああああああああああん!?」
やることがない俺は、もはや完全にリアクション要因と化していた。
「ち、仕方ねえ方針変更だ、次善で行くぞ! ――オラアァッ!!」
急上昇する岩盤の上から、リグが魔具を発動する。
金色の鎖が、彼の体から伸びていった。リグ愛用の魔具《捕食金鎖》だ。
先端に鋭い刃のついたそれが、リグの意志に合わせて幾本もうねるように飛んでいく。
それらが、何かに食らいつくように、目に見えない壁へ突き立った。
「固定しろアスタ!」
「ああもう! ――《氷》ッ!!」
めぎめぎめぎ、と嫌な音を立てて鎖が軋む。
足下にも鎖を突き刺したリグが「いだだだだ体が千切れる……!」がんばってマジで。
そのままさらに上へと飛んでいく俺たち(というか岩)。
鎖の接続地点を中心に、俺たちはそのまま遠心力でぐるりと軌道を変えられる。
くん、――と空間の歪みに触れる気配。
俺たちの目下に、広大な城の庭が姿を現していた。結界を抜けたのだ。
リグが城の壁に鎖を打ち込み、遠心力で上側へと足場を回したのだ。
魔具の頑丈さに頼った強引な軌道修正。ともあれ上側に出た以上は
「上に出た――着地させろメロ!」
「合点っ!!」
最後はメロの制御だ。俺たちはそのまま、すっぽーんと投げ出されるように庭園へと降り立った。
「ほい着地、っと!」
ゆったりと、なんとか足場へ降り立つ俺たち三人。
――いや本当に生きた心地がしなかった。
「お、おおお……生きてる」
ちょっと涙目になって呟く俺。
リグの声も震えていた。
「寿命が縮んだ気分だぜ……だがまあ、なんとか着いたな」
「ふ……、ふふん。だから平気って言ったでしょ?」
「お前もちょっと震えてんじゃねえかよ」
「なんだとぅ!」
わやくちゃやり合うリグとメロはともかくとして。
辺りを見回し、俺は言った。
「城の、なんだ……ここは外側の庭か?」
俺たちが岩に乗ってきたように、城もまた浮いた地面の上に立っている。
ただし、その厚みは酷く薄い。ほとんど最低限で、少なくとも城塞の重量を支えられるとは思えなかった。
まあ、そこら辺は浮いている以上、気にしなくていいかもしれないが……しかし。
「城の庭園……って感じじゃねえな」
「だねー。手入れとかしてる印象がない。無機的だよ」
「……目の前のも、あんま城って空気じゃねえな」
その場所は。
言うなら迷宮に近い空気をしていた。
「迷宮がそのまま浮いている……ってことか?」
「……というか」
リグの疑問に、答えるように俺は言った。
「この浮遊城塞そのものがひとつの魔具ってことだろうな」
入口が複数見える。内部は入り組んでいるらしく、目視はできない。
たまたま城のように見えるだけで、少なくとも住居に適した雰囲気ではなかった。
「機動要塞フライングダンジョン、ってとこか」
「言ってる場合?」
俺の呟きにツッコミを入れるメロ。
それと同時。いくつかの入口から数人の人間が、人形を引き連れて姿を現した。
「おお……ロボット的な。SFチックだな」
機械兵、とでも言えばいいのか。人間に倍する体格で、キャタピラ状の足を持つ人形兵が複数。
そしてそれらを引き連れる、兵らしき魔術師が数名の組み合わせだ。
そのうちのひとりが、杖をこちらに向けて叫んだ。この集団の兵長ってとこか。
「――者だ――! ――――どうして――ここ――上げろ!」
言葉が妙に聞き取りづらい。というかわからない。
リグに目配せすると、彼は頷いて言った。
「北のレイクーン語だな。どうやって侵入した、手を上げろと言っている」
「あー。言語は近いんだが、微妙にわかりづれえな……あれ? レイクーンって公用語、うちと違ったっけ?」
「地域によるんだ。まあレイクーン語なら俺がわかる」
「なるほど。つかレイクーンっつーと……今割と大変なことになってるはずだよな。こっちにちょっかい出してる場合か?」
先頃、北国レイクーンでは政変が起こり、元首が交代する事態になったはずだ。
それまでの穏健外交から一転して富国強兵を図り、攻撃的になったとは聞いていたが。
しかしまだまだ内政は不安定。国内情勢の制御が急務だとかなんとか、教授辺りに訊いた覚えがあった。
――いずれにせよ、完全に侵略行為であり宣戦布告も同然だ。
「どう思う?」
「バレると思わなかったんだろう」リグはあっさり言う。「実際、王都の結界にさえ感知されていない」
「そういう意味じゃ、失踪した奴と依頼人は大手柄だよな……嫌だなあ、戦争になりそうだ」
「そう大きなことになるかはわからんがな。どうせ《犯罪者が逃げ込んだ》とでも言う気だろう」
「いいのか、そんな言い訳で。――ああ、だからこその城塞か。迷宮の出土品って分類になりそうだし、どっかのギルドが勝ってやったって言われたら否定できんかもな。知らんが」
「まあ、ファランティオ王子閣下が上手くやるだろうさ」
持つべきものは王族へのコネ。
これ最強。
「――んじゃまあ、空飛んできたって通訳してくれ」
「わかった」
リグがレイクーン語で叫ぶ。
返答は、放たれた魔術によるものだった。
警告だったのだろう。それは当たらず明後日の方向へ飛んでいく。
甘いなあ……いやこんなもん当たるわけねえんだけど。
「『ふざけるな。空を飛ぶ人間などいるか!』だと」
「なんか申し訳ない気持ちになってきたな……」
「それどういう意味さっ!?」
お前みたいなトンでも存在、向こうも考慮に入れてないだろっていう意味です。
ともあれ。
俺は懐から煙草を取り出して火を点ける。
さすがにその動きには、もう向こうも警告で留まらない。
魔弾が、一体の機械兵から放たれ――
「――っと!」
メロに防がれる。
それこそ羽虫でも払うみたいな動きで簡単に。
向こうには、どうやら驚愕が広がっていた。
「――さて。んじゃリグ、あとは任せた」
「おう。お前らのほうこそ気をつけていけよ。と、一応言っておいてやる」
「後半いらねえだろ……まあいいが」
リグはここに残って連絡役に就いてもらう予定だった。
突入は――何。俺とメロで充分にお釣りがくると思われた。
「うし。行くぜメロ、準備はいいな?」
「――誰に訊いてるのさ」
メロは獰猛に笑った。力を解放できる喜びに。
「言っとくが、この城そのものを壊すなよ。迷宮の属性が残ってるなら壊せねえだろうが、たぶん改造が入ってる。完全に破壊不可ではなさそうだ」
「もちろんわかってるよ。それに、ちょっとくらいじゃ壊れそうにもないしね!」
「ならいい」
「で、アスタ。作戦は?」
「ねえよ」
「お?」
「――好きに暴れろ。殿下に許可は貰ってる」
「へえ……いいんだね?」
「仕方ねえからフォローしてやるよ。俺が、お前に合わせてやる」
「んふふー」
メロが笑い、俺も笑った。
「アスタ大好き」
「都合のいいこと言ってんなよ」
「むぅ。ホントなのになー」
「はいはい」
「ま、いいや。そんじゃ――」
「――行こうぜ」
そして、天災の蹂躙が始まった。
※
「あっははは! たーのしー! 迷宮チックで冒険してるみたいだよ!」
仮にも外国の秘密兵器じみた城塞の中で、メロはほとんど無双ゲーを行っていた。
無機的な通路を進み、魔術師も機械兵も問答無用で薙ぎ倒す。それもおそらくは最高効率で。
俺は、そのちょっとしたフォローをしていれば問題ない。楽なもんだった。
本当に。味方についている限り、こいつは頼もしいことこの上ない。
「と――なんか広いとこ出たね」
先行するメロが正面を見て言った。
俺は頷き、こう答える。
「ああ。さっきから微妙に結界が揺らいでる」
「どゆこと?」
「内部空間が、たぶんいくつかのブロックの連結でできてるんだ。頑丈な積み木を想像すればいい」
「……つまり?」
「入れ替えることで道順を変えられる。立体的なパズルってコトだよ」
「うわ、それはすごいね……こんなもんあり得る?」
「間違いなく現代魔術の製作品じゃない、明らかに不可能だ――迷宮から遺産が出たんだろうさ」
「リグの金鎖でも最高級品だよね。次元が違うなあ」
オーパーツ、と言ってしまってもいいだろうか。
本当に、洒落にならない遺物だ。見つけられたことが幸運すぎる。
とはいえ中にいる人間や警備は敵じゃない。決して警備が薄いのではなく、メロが強すぎるだけなのだが。
「――そこまでだ!」
と、再び道行を塞ぐものが現れる。
「お? 言葉通じるね」
メロは小さく呟いた。謎の男はこちらに笑みを向け。
「は――まさかこんな子どもに、ここまでの侵入を許すとはな!」
俺は答える。
「そら、どうも。楽しませてもらってますよ」
「ふん――なるほど。挑発が嘘にならない程度の実力は確かにありそうだ」
「…………」
「だが不運だったな! こうしてオレのいる場所に来てしまったのがお前たちに命運の尽き!」
面白い人だな、この人。
だいぶ自信があるらしい模様。いや実際、さきほどまでの雑兵とは格が違う。
が、メロに勝てるかと訊かれたら――まあ、ドンマイとしか。
「運がないのはお前のほうだと思うがな」
だから俺は言った。男は、こちらの言葉を笑い捨てはせず、それでも自信ありげに笑った。
「ほう? このオレの運が悪いと! ははは、ならば証明してみせるがい――」
城塞の内部に、強大な振動が伝わったのはその瞬間だ。
「うおぉ、なんだあっ!?」
地震のような揺れ。だがここは空中だ、地震ではない。
ならば、いったいなんの衝撃かといえば――。
「あー。来たみたいだね」
メロがいい、
「ああ、来ちゃったな」
俺が答える。
目の前の男が狼狽えた様子で、
「な、なんだ!? 今のもお前たちの仕業か!?」
「違うけど――悪いな、お前に言った《運が悪い》は訂正するよ」
「そうだね。むしろ運がいいと思う」
「な、……何を言って」
「会ったのが俺たちでよかったな、知らない魔術師さん」
俺とメロなど、あいつらに比べたらかわいいものだった。
応援に呼んだはいいものの、いや、さすが早い到着だ。
「――もしあいつらと行き遭ってたら、たぶんトラウマになってたぜ?」
ソース? 俺。
※
城塞の端。リグたちが到着した場所の正反対に今、複数の人影が降り立っていた。
どうやって上空までやって来たのか。その程度の疑問は、彼らを前にすれば考える意味もない。
「ふっふっふ……いやあ、こんなに面白そうなことが起きるなんて! さっすが我が弟は、巻き込まれる力がホント、普通じゃないよね!」
その中心に立つ女性が笑いながら言う。
やけに愉快そうに見えた。敵地に侵入を果たしたというのに、隠れる様子がない。
「あはは……それ、アスタが聞いたら変な顔するだろうなあ」
「ふん。悪い考えだ――もっと丁寧に侵入することができないのか、あのバカふたりは」
「えー……それ先輩が言いますか」
「どうでもいい早く行こう誰か来るぞ」
「そりゃ来るでしょっ! でもだねだね、早くしよ! ふたりに美味しいとこ全部取られちゃう前に!!」
五人の人間。見る者が見れば、その全員が例外なく、異常とも呼べる実力者であると知るだろう。
――仮に。
仮に彼女たちがいると知っていれば、果たしてこの城はここまでやって来ただろうか。
「さて。まあ、みんな好きにやっちゃっていいよ。誰が早いか競争ね?」
「いや先輩、何を争うんですか、それ」
「面倒だ。お前らは勝手にやれ――どちらかといえば俺はシステムそのものに興味が向く。これはいい考えだ」
「どうでもいいな。ああ、あと景色もいい。ここで食う飯は美味そうじゃないか?」
「うーわー……相も変わらずこの人たちは本当にマイペースって言うか、普通じゃないよねえ」
「ちょっとそれ、私も入ってる……?」
「言っとくけどセルエのこと普通だと思ってるのセルエだけだから」
「あははー! そうだそうだー!」
「そうだな」
「セルエもキュオネはともかく、お前らふたりには言われたくないと思うが――まあいいか」
「ま――何はともあれ!」
五人のうち、中心の女性が笑顔で宣言する。
先に言ったふたりの仲間に追いつくため――否、面白そうな出番を奪われないために。
「――七星旅団、出動だよ!」
せっかくやって来たお城さん「終わったわ」
……もうここでメロ編終わってもいいのでは……。