EX-4『アスタとセルエの五年目1』
お久し振りです。
その日。俺はある街の酒場で、屈強な数人の男に囲まれていた。
おそらくは全員が冒険者崩れの荒くれ者。だからって、こうもイメージ通りのゴツい野郎ばかりでなくてもいいのに、と俺は思ったが、それを言葉にすることはなかった。
彼らは少なくとも快活に、今は親愛を示すかの如く、俺に酒を勧めながら肩を組んでくるのだから。
「いやー、参るぜ! 姐御の関係者なら言ってくれねえと。なあ?」
「そうだぜ! まったく兄さんもお人が悪ィ。いやあ、悪かったなあ絡んじまって」
「……あはははははは……」
渡される杯と伸ばされる腕の両方をやんわりと固辞しつつ、曖昧な笑みで俺は笑った。
「しかしアスタの兄さんも、タイミングの悪いときに来ちまったもんだなァ」
明らかに年上のおっさんから《アスタの兄さん》と呼ばれるのも据わりが悪い。
ただ、彼らは何を言ったところで改めないだろう。俺ももう、その辺りは諦めてしまうことにしている。
こちらに敬意を持っているようで――実際、それも嘘ではないのだろうが――本質的なところで、この人たちは俺の話など聞いちゃいない。聞く気がないとか馬鹿にされているとか、そういうことではないのだ。
単に彼らは、そういう性格なのである。
なんというかまあ要するに。
愚連隊、のような連中なのである、こいつらは。
セルエを慕ってその下についた荒くれの冒険者崩れたち。
なんだかなあ、と言ったところだった。
「えーと。とりあえず、セルエは不在ってことでいいのかな」
だから最低限の情報収集に留め、さっさとこの場は去ってしまおう。
俺はそう考えていた。
セルエがここにいると聞いてやって来たのだとしても、いきなり現れた俺がチンピラどもに絡まれたのだとしても、返り討ちにされたそいつらから次は持ち上げられたのだとしても。
そんな過程はどうだっていいのだから。
俺も目的は、ただ一刻も早くセルエを発見して連れ戻すこと。ただそれだけ。
「ああ。なんでも用事があるとかで、姐さん、もう町を出ちまった」
野郎どものひとりが言う。ならますますここにいる理由がない。
そもそも、なぜ俺がセルエを探しているのか。
この件に関しては説明も容易だ。ものすごく単純なひと言で全てが片づく。
すなわち、マイアに頼まれてしまったから。
以上だ。それ以外もそれ以上も何もない。この時点で、俺に逆らう余地など絶無だ。
その点に関しては、あらかじめご理解いただきたいところである。誰にだ、って話だけど。
もっとも別に、今回に関しては逆らおうとも思っていない。
マイアをセルエが呼び出した。それは、言い換えるならしばらくの間、マイアがもたらす被害をセルエに押しつけることができる、という意味にも繋がるのだから。願ってもない幸運だ。諸手を挙げて歓迎すべき望外の喜びである。
多少のお使い程度、苦労のうちにも入らない。
「――なるほど。ちなみに、どこへ行ったかって聞いてるかな?」
と。俺に代わるよう、チンピラたちに訊ねる少女がひとり。
今回の《セルエ捜索任務(?)》に、手伝いの形で同行してくれているキュオネだった。
――暇だし付き合ってあげるよー。
とのことで、こちらとしても断る理由はない、というか大歓迎だ。
最近はちらほら厄介なのが関わってくることも多い。嫌な予感がする、とまで言い切ることはできないが、彼女がいてくれるならば万が一の保険まで万全だろう。
この世界に来てから四年。
その間に死にかけた回数なんてもの、俺はもう数えちゃいなかったハハハ。
笑いごとじゃない。
「姐御なら、なんでもドーバ山に籠もるって話でしたぜ?」
と、キュオの問いにひとりの男が答える。
行儀悪く酒場を我が物顔で占拠しているアホどもだが、まあ冒険者の情報収集とくれば酒場でやるものと相場は決まっている。俺たちが(大半はキュオが)シメたことだし、そうでなくとも嘘はつかないだろう。
ただ、その答えは意外――というか予想外だった。
「ドーバ山……って確か」
「うん。指定禁域だね」
「実質的に迷宮扱いされている魔境、とかなんとか。そんな感じだよな?」
「そんな感じだね」
「……なんでそんなとこ行ったんだろ、セルエ」
「さあ? それはわかんないけど」
言葉を交わしながら、俺もキュオも揃って首を傾げる。
ドーバ山はこの村から少し離れたところに位置する高い山だ。
霊峰、という表現が相応しいだろうか。標高は二千メートルほど――まあ富士山よりは低いが、にしたって充分に高い――で、装備もなしに立ち入っては遭難の危険がないとは言えない。もっとも自身の体調管理から救難信号を送るための遠隔情報伝達、あるいは現在位置や周囲の地形を調べることまで、全て魔術で補える俺たちにとってはたかが知れている。
そう考えると、魔術ってヤツはどうにも攻撃的なイメージが強いけれど、本当に便利なのはそれ以外の点かもしれない。
――という点は余談としても、問題は別の点にあった。
要するに、ドーバ山には魔物が出没するのだ。迷宮ではないけれど、その空間魔力濃度の濃さから実質的に迷宮として機能している自然の要塞。そういった場所を、王国では《指定禁域》と名づけて一般人の立ち入りが禁じられていた。
場合によっては、このまま迷宮へと育つ可能性もあるということ。
「姐御のことだから、きっと修行に行ったんすよ!」
「ああ! ドーバ山の魔物如きが、姐御に傷ひとつつけられるはずねえからよォ!」
「ハハハッ、違えねえぜ!!」
セルエならば心配の必要はないという意見には同感だけれど。
超絶楽観的な舎弟どもの意見は参考にならない。セルエが修行で山籠もりなんて、イメージに合わな……い、ことも、ない……かもしれないけれど、いや、さすがにやらんでしょう。たぶん。
わざわざ向かったというのなら、それ相応の理由があると俺は見る。
というか、こんな辺鄙な町に来ているという時点で、そもそも目的は山にあったと見るべきだろう。ここまで来る段階で、すでに少し苦労はあったのだ。
「どう思う?」
キュオに問うてみる。
彼女のほうは、笑顔でまた楽観的にこう答えた。
「行ってみればわかると思う、かな」
「キュオも結構アレだよね」
「むぅ。アレってなんだよぅ」
「アレだよ」
「よくわかんないけど失礼だと思うよ、アスタってば」
頬を膨らませてキュオは拗ねた。
つまり、この程度ではキュオは怒っていないということだ。
実際、割と脳筋気質、とまでは言わないにせよ、これで意外と行動派のキュオである。頭はいいはずなのに、考えるより先に身体を動かしてしまうタイプというか、なんというか。
「マイアの友達ってだけのことはあるよなあ……」
「アスタにだけは言われたくないよ」
否定できなかった。義弟なので。
実際問題、結局は行ってみるしかないのも事実であるわけで。
「ま。それじゃあそんな感じで――」
――ちょっとセルエを探しに登山と行こうか、とか。
そんなことを言おうとした、その瞬間。
酒場の外。村の通りのほうから強大な魔力の奔流を感じ、弾かれたように俺は振り返った。
直後、酒場の中にひとりの女性が駆け込んでくる。見た感じ、おそらくは舎弟軍団の一員なのだろう。
女性はかなり慌てた様子で叫んだ。
「う、う――討ち入りだよ! なんか、バケモノみたいに強いガキがいきなり――っ!!」
なんだなんだ、と騒然とし始める舎弟たち。
酒場のほかの客や店員は、慣れているのかあまり反応していなかったが。ここの連中は、俺とキュオが来たときも「討ち入りだ!」とか言って喧嘩を吹っかけてきたのだから。日常茶飯事なのだろう。
だが、その割には一報を運んできた女性の狼狽っぷりが著しすぎたのだろう。場の空気に困惑が混じる。
騒ぎの片隅で、俺はこっそり、小声でキュオにこう言った。
「……なあ、今のうちにこっそり逃げね?」
「えー?」
俺の提案に反対の様子を作るキュオ。
その割に楽しげに見えるのは、彼女も誰が来たのかわかっているから。
「アスタのお客さんでしょ? みんなに迷惑かけるのも悪いし、ちゃんとアスタが相手しなくちゃ」
「それは別に俺が悪いんじゃないと思うんだけど……面倒なことになるのわかりきってるし」
「逃げたって追ってくるじゃない。今のうちに対応しておいたほうがいいと思うなー」
「……まあ一理はある」
仕方ない。俺は頭を掻きながら立ち上がって、周りに言った。
「あー、悪いな。俺の客なんだ。俺が相手するから、みんなはちょっと下がっててくれ――っていうか危ないからできれば逃げたほうがいい。割とマジで」
場が一瞬、静寂に包まれる。
まあ、何を言っているんだと思われたのだろう。
そう考えたのも束の間。静寂を破る喧噪は歓声に近かった。
「おおっ! さすがは兄貴だぜ!」
「姐さんの弟分ってだけはあるなァ! この喧嘩、買ってくれるのかい!」
「いよおっ、格好いいねえ! こいつぁ見ものだぜお前ェら!!」
「うるせえ喧しい下がってろ!」
ああもう。なんでこうチンピラってのは喧嘩好きなんだ。
そんなつもりはぜんぜんないし、できることなら俺だって逃げてしまいたい。
この客を相手にするには、こちらも全力を求められるとわかりきっているのだから。
軽く周りを一喝して、それから俺は表に出た。
通りには、こちらを見据えるひとりの少女が立っている。向こうも俺の存在に気づいていたのだろう、当然。
こんな田舎まで追ってくるとは結構だが、できれば帰ってほしいし、そもそもついて来ないでほしかった。
「……――ッ!」
俺の顔を見るなり、少女は歓喜に満ちた感情のまま唇の端を歪めて笑った。
それは獲物を見つけた獣の笑みか、あるいは強敵に喜ぶ戦闘者の顔か。
魔力が高まる。
渦を巻き、物理的に空気さえ動かすそれは、彼女が一種の異常であることをそれだけで示す存在感。
たとえるならば、天災か。
「よう、メロ」
軽く肩を竦めながら、少女の名前を俺は呼んだ。
ある時期から、半ば俺のストーカーと化した超局地的台風ことメロ=メテオヴェルヌ。
何度も俺に戦いを吹っかけてきながら、一度だって真っ当な決着がついていないことがどうにも気に喰わないらしい。俺のほうも、売り言葉に買い言葉で「いつでもかかって来いよ」とか言ってしまったため、それを真に受けたメロに急襲され続ける生活が始まっていた。
あらゆる意味で勘弁していただきたい。
「……御託はいいよ」
メロは言う。話をする気なんてないというように。
「まったくどこまでも逃げてくれちゃってさ。探すの苦労したけど……ようやく追いついた」
「追ってくるなや」
「やろう」
「聞いちゃないですもの」
そんな漫画か何かのバトルジャンキーの台詞みたいなモン、現実で聞きたくない。向かう対象が自分じゃなおさらだ。
だがこのアホは言葉じゃ収まらない。なんなら不意打ちではなく、ひと言でも言葉を交わせたこと自体が割と奇跡じみていた。普段なら本当にいきなり襲ってくるのだが、このところはしばらくセルエの捜索でお預けだったせいだろう、我慢しきれない言葉が漏れてしまったらしい。
……そういうところが付け込みやすいっちゃやすいんだが。
魔力を昂らせ、こちらを狙うメロ。
その瞬間に俺は言った。
「ま、やるってんならいいが、メロや。自分で追いついたと思うならちょっと考えが足りんぜ?」
「――――」
「ここで追いつかれるよう俺が計算してたとは思わないか? なら当然、罠くらい張ってあるかもしれないよな?」
「何――」
「天災も、小石に蹴躓いちゃ世話ないだろ?」
「っ――!?」
「――後ろに気をつけろって話だよ!」
叫ぶと同時、俺は懐から護石を取り出した。
初動の遅さを致命傷とするルーン魔術師にとって、あらかじめ文字を刻んだアイテムを準備しておくのは戦闘の初歩だ。俺も当然、こまめに作っては、全身の至るところに隠している。
だが護石を切った正面の俺に対し、メロは警戒をせず――逆に弾かれたように後方を見た。
それはおそらく、俺に対してある種の信頼があるからだ。
小石に蹴躓くと言ったこと。後ろに気をつけろと言ったこと。その直後に石を見せたこと。
何よりメロが、俺という魔術師を知っていること。
その全てが罠だ。俺が意味もない言葉を言わないとある意味で信じている。だから後ろと叫んだ俺の言葉に対し、本当に罠を警戒してみせた。
その辺りに落ちている小石が、実は俺が設置した罠である可能性を疑ってくれた。
――ま、もちろん全部ハッタリなんですけれどもね。
追いつかれるなんて考えていなかったし追ってきていることすら知らなかったし当然ながら罠もないし、だから後ろを振り返ったところで何があるってわけでもない。
それでもメロが後ろを見たのは、けれど何も俺に騙されたからというわけじゃないのだ。
当然、俺が正面で魔術を使おうとしている以上、それに対する警戒を彼女は怠れない。その前提を鑑みた上でなお、メロは今ここで使われる魔術より、事前に準備された魔術を警戒した。
逆を言うなら――俺程度の即興魔術など、隙を作ってなお対処できると、そう思われている。
それは事実だ。魔術師としての力の上限に、俺とメロでは埋めきれないほどの差が存在するのだから。
正面切っての戦闘など、十回やれば十回俺が殺される。
実際、俺が護石で起動した《巨人》による雷の棘は、メロが軽く手で払うだけで霧散させられてしまう。これだから護石の魔術は弱くて嫌なんだ、と嘆くよりは、手で払う程度で雷打ち消すほうが化物なだけと思うほうが救いがある、かどうか。
やれやれと嘯いてみせたい気分。
ただ、それら一連の攻防に意味がないわけでは決してない。
少なくともメロの能動的な行動を、ほんの一瞬とはいえ防いでいるわけで。
そしてそれ以上に、
「……っ! つまらない真似を――!!」
メロの冷静さを、削いでいる。
その点が最も重要だ。
メロは確かに激しやすい。すぐ熱くなるしすぐ怒る――が、それは熱くなっていないときのメロがバカだということを必ずしも示していない。むしろ普段のメロは、ムチャクチャなようでいて、かなり冷静な判断のもとに動いている。
それは厄介だ。だから怒らせる。そのほうが相手取りやすい。
ゆえに、これは詰将棋のようなものだった。
俺は将棋がわからないけれど。
激高したメロが、新しく魔術を作り出す。
その攻撃は、怒っているがゆえに威力が高いものに設定される。彼女自身すら気づかぬうちに。
ここは町中で、当然だがそんなに大規模な魔術は使えない。
メロが、天災の癖して持っている常識が――たとえ破ろうと思えば破れる程度のものでも――彼女を縛っている。
威力を上げるためには当然、多くの魔力を込める必要がある。
多くの魔力を込めるためには必然、それだけの時間が必要になる。
だが威力は大きくできても規模は大きくできない。町中で大規模な破壊魔術はさすがに使えない。
ならば厳然、その大きな魔力を一点に込めるだけの制御が必要になってくる。難易度が上がれば時間もかかり、稼げる時間が増えるのは当然。
ほんのわずかな差だ。おそらく一秒だって稼げていない。
それでもその時間にこちらが先手を取れるなら、その刹那は値千金だった。
「――――!?」
メロが、再び、弾かれたように後ろへ振り向く。
今度は反射だ。思考によるものじゃない。彼女の本能が背後に脅威を感じ取ったのだ。
俺へ向けるはずだった攻撃を中断してまで、何もないはずの背後を見たメロは――そこに視認する。
笑顔で立つキュオネ=アルシオンの姿を。
メロは硬直した。当然だ。いくらキュオでも、自力でメロの背後は取れない。
そもそも、メロはおそらくキュオが同行していること自体知るまい。
攻撃すべきか、せざるべきか。何をするべきかわからず、メロの行動はさらに遅延される。俺と違って、キュオは正面からメロを破れるだろうから。
おそらく気づいただろう。キュオネを隠したのが俺であると。《秘密》なり《保護》なり、気配や存在感を隠し守る魔術を俺が使えると彼女は知っている。
全てにおいて行動を、ほんのわずかずつ遅らせられたメロ。
その肩に、ぽん、とキュオが手を置く。
「はい、おしまい」
「――へ?」
「ダメでしょ、町中でそんな強い魔術を使おうとしちゃ。みんなに迷惑だよ」
めっ! と怒るキュオに毒気を抜かれるメロ。
まあ単純な話、そもそもメロでは精神的にキュオの上位に立てない。
俺はふっと息をついた。
ここまでやればもう安心だろう。
引き分けでも決着はつけた。一度なんらかの形で事態が終息しさえすれば、ひとまずメロは納得する。
ここまで運ぶために緻密な計算が必要だったが、まあなんとかなったのだからいいだろう。
「……はぁ。ったく、いちいち命を削ってくれるよ本当」
思わず安堵の息を漏らした俺に、だがなぜかキュオが言った。
「いやいやいや。何を言ってるのかな、アスタ」
「へ?」
「アスタも同罪だからね。危ない橋を渡りすぎなんだよ」
「え、ええ……いや、そいつが悪いだろどう考えても。俺は悪くない」
そう言った俺に噛みつくのがメロである。
「ちょっと! うるさいな、アスタが逃げまくるのが悪いんじゃんかっ!」
「逃げるに決まってんだろうが。つか今回は用事があんだよ用事が」
「その前にちゃんと約束したもん! ちゃんと戦ってくれるって話はどこ行ったのさ!」
「やっかましいな、いつかやるっつってんだろ」
「いつかっていつだよ!」
「いつかだよ!」
ヒートアップする俺とメロ。
再びメロが魔力を起動し、こうなったら仕方ないと俺も応戦の準備をし始めた。
ところで、
「――ふたりとも」
キュオネ様が。
仰った。
「うるさいぞ☆」
笑顔だった。
それはもう満面の笑みだった。
本当に怒っているときのキュオネは笑顔なのである。
むくれているときなど児戯にも等しい。
キュオは、笑っているときがいちばん恐ろしい少女なのだから。
俺はメロを見た。
メロも俺を見た。
それから、ふたりでこう言った。
「すみませんでした」
「もうしません」
「うん。ならよろしい!」
すっと怒りを収めてくれたキュオに安堵する。
よかった……。前に一回、メロとふたりでキュオに折檻されたことがあったからな……。
――あのときの恐怖は一生忘れないと思います。
メロですら、笑顔のキュオには一切逆らわないのだから。
「あ、そうだ! わたし、いいこと考えたよ」
と――そこでそんなことをキュオが言う。
俺も鈍感ではない。だいたい何を言い出すかは予想がついていた。
大方の場合、「いいこと考えた」人間の発言が本当にいいことである場合は少ない。
果たして。予想通り、キュオは言う。
「――メロにもいっしょについて来てもらおうよ!」
そういうことになった。
なったのだ。
いいとか悪いとか、そういう話はする必要がない。
だってキュオの決定に逆らう権利なんて、俺もメロも所有していないのだから。
というわけで短編章を、ゆっくりにはなりますが投稿していこうかと。
おそらく最後の短編章になると思われます。これが終わったら一気にラストまで。
行けたら……いいんですけどね。
久々にアスタらしい戦闘が書けて個人的には満足です。
あ、活動報告を更新しておりますので、よろしければご閲覧のほどをお願いいたします。




