5-15『負けることのわかっている挑戦』
学院で《四傑》などと呼称された四人と、ほかの学生たちとの最大の違いは、四人が総じて豊富な実戦経験を持っていたことだろう。
座学で魔術をいくら修めても、それを戦いの場で十全に使いこなせるわけではない。魔術師の位階制度が戦闘能力に直結しないことや、位階だけ高い魔術師より冒険者として実戦に出る魔術師のほうが平均的に強いとされていることからもそれはわかる。
いくら強く難しい魔術が使えようと、それは平常時での話。その時々の精神状態に魔術の質は大きく左右されるし、そもそも大魔術ばかり撃っていればいいという話でさえない。その見極めができる者とできない者とでは、戦闘能力に大きな差が出るのは自明の理だ。
そもそも《戦闘能力》を《敵を倒す能力》と考えるほうが馬鹿げている。本来、その定義は《生き残る能力》だと捉えたほうがいい。それは経験で補えるものだからだ。
しかし、だからといって。
豊富な経験を持っている者が、常に正しい判断を下せるわけではない。
元よりそんなことは、神ならぬ人の身に余る。あとから思い返せば、もっと上手いやり方があった――そんなことはいくらだってあり得る。ベストを選択するということ自体が、運を除けば不可能だと言っていいくらいだ。現実はいつだって想定を外れ得る。
だからこそ、流動する事態の中で、最善ではなくとも次善を目指し続けられる判断力を指して経験と呼ぶ。
では。
このとき、ウェリウス=ギルヴァージルがずっと動かずにいたことは、果たして判断として正しかったのか否か。
ウェリウスは、フェオとピトスが勝負に出ても動かなかった。ここまでは正しいと言っていいだろう。
ふたりが必ず成功する保証はない。本来、《水星》の撃退はウェリウスが負った役目で、その範囲から抜け出たのはふたりのほうである。そこで魔術の準備をやめるわけにはいかなかった。
ただ、それ以前、そもそもウェリウスは単に確信していたのだが。
ふたりの牙が《水星》に届き得るものだと。その点を彼はまったく疑っていなかった。それは感情論ではなく、実際のところ、ウェリウス自身も似たような手段で《水星》に当たろうとしていたから。
――単純な戦闘力だけで見たとき、ウェリウス=ギルヴァージルはこの場で群を抜いて強い。
それこそ七星の三番目――ユゲルにさえ迫ろうかという実力を、魔法使いとの訓練を経て獲得している。いや、その師に言わせるなら《思い出した》と表現すべきか。
その戦力を、ここまで確保していたことには大きな意味が存在する。
だってウェリウスは当然、相手が《水星》単独ではないことを予想していたのだから。
事実、援軍として現れた《月輪》を前に、ウェリウスという戦力を保持できたことはかなり大きい。その点を鑑みて、だがノート=ケニュクスを前にウェリウスが思ったことはひとつだった。
――ああ、これ、勝てないね。
その見極めが経験だった。ウェリウスの戦力鑑定眼が、ピトスとフェオを信じたときと同じように、ごく簡単な答えを提示している。
ウェリウス=ギルヴァージルでは、《月輪》ノート=ケニュクスに及ばない。
それは横にいるユゲル=ティラコニアでさえ同じ。魔人となった彼女は文字通りに次元が違う。ふたりがかりでようやく――という可能性を見出せるか否か。いや、それも怪しいレベルではあった。
かといって、ここでウェリウスが絶望したかといえば、それもまた違った。
戦いに絶対はない。極論、あり得ない仮定だが、たとえば《月輪》が一切の抵抗をせず棒立ちで突っ立っていれば、ウェリウスの攻撃で彼女を殺すことができる。当たりさえすれば魔人とはいえ生物――殺すことはできる。
なら、それは勝てる可能性が極小でも存在するということだ。
「――おい、金髪イケメン」
ふと、背後から声をかけられる。
ウェリウスは振り向かずに答えだけ返した。
「どうも、珈琲屋さん。何かご用で?」
「余裕だな。ただ、その呼び方はやめろ。不愉快なことを思い出す」
「ではレンさんと」
「……まあ好きにしてくれ。お前も、どうやら俺の苦手なタイプの人間みてえだ」
「それ、なぜかみんなから言われるんですよねえ。いやあ傷つくなあ」
「言ってろ」
「それで、ご用件は」
常と変わらない余裕の笑みを浮かべるウェリウス。
なんだこの腹黒、と何もしていない金髪の美丈夫に、どこかの誰かと同じ感想を浮かべたレンだったが、言うことは決まっている。
「――手ぇ貸せ。俺にゃ攻撃力がねえからな。アレをどうにかすんのは無理だ」
「なるほど」ウェリウスは言う。「《魔眼》所持の異能者……そういうことですか。構いませんよ。ええ、こちらは準備ができていますから。《水星》のための準備でしたがちょうどいい、彼女のほうに流用させてもらいましょう」
「察しがよすぎて気持ち悪いなお前」
「ええ、酷いなあ。美青年ってそういうものですよ?」
「うぜえ――から一回だけ反撃してやる」
その言葉に、ウェリウスは初めて戦場から視線を切って、レンに向き直った。
意外なことに、どこか愉快げな笑みを浮かべるレンの姿が視界に入る。
「――お前の目的にアレは邪魔だろうが。澄ました顔してねえで本気出せ、その場を提供してやるっつってんだ」
「…………」
ぽかん、と驚きに静止したウェリウスの表情は、彼を知るの者には意外だろう。
「見せ場をやるっつってんだよ。――まだ届かない程度のことで諦めるなら、そこには永遠に至らない。そんくらいわかれ。人生の先達からの言葉は聞くもんだぜ」
「ええ、なんか悔しいなあ、それは。なんでわかったんです?」
「あの馬鹿の煙草屋といっしょにするなよ。――男ならわかるさ、そのくらい」
「あー……あら。今ので納得しちゃったなあ」
それでも気取ることを辞めないのは、彼なりの矜持なのか。
いずれにせよ、ウェリウスはきっと変わらない。彼は笑顔で応えるだけだ。
――だから誰も気づかない。本当はわかってもよかったのに。
その内心に滾る情熱に。求めるものへの意志の強さに。
男ならばその頂に、きっと誰もが憧れる。この男がそんな馬鹿な場所を目指していると、だから誰もが気づかない。
「――やるなら本気でやりましょう。情けない方法ではありますが、ま、それは最後の手段として……勝つ気で」
「本性見せても優雅さを繕うのはやめないわけか」
「貴族なものでして。言いにくいでしょう、その立場からじゃ」
「かもな。まさか――」
「ええ」
ウェリウス=ギルヴァージルの目的が。
「ただ、《最強》に憧れているだけだなんて、恥ずかしくてとてもとても」
「男に生まれたんだ。馬鹿を認めろ――そんなものだろ、優男」
ウェリウスが、手を前に伸ばす。
誰もが本気では目指さない、遥か高き頂に至らんとするため。
今代の《最強》は、月を落としたことがあるという。
目指す場所はそこなのだ。なら、目の前の月に怯える程度では挑戦権さえ入らない。
「――天網弐式。根源の精よ、三界の理を示せ――」
その腕から、紫電の雷撃が迸った。
※
紫電は、文字通りの雷速で《月輪》に走った。
ノートは動かない。否、いかな彼女でも雷速に遅れて反応することなど不可能だ。だが、そもそもフェオという雷属性の元素魔術師を前にしていながら、その対応を怠っているわけがない。
《月輪》に直撃する直前、雷が逸れて地を抉った。
近くにいるピトスでさえ、そのことに遅れて気がついたほどで、気づいた彼女はこう叫んだ。
「いや危なっ!? 当たるとこだったんですけど!?」
「君も君で余裕だなあ……まあ、アレが後ろに控えてればそうだよね」
《月輪》はもはやピトスを見てもいない。いや、それは初めから同じだった。
彼女はずっと、こちらに殺気を飛ばすウェリウスを警戒していた。魔人にさえ牙を届かせ得る、紛れもなき元素魔術の《天才》。
「元素だけは本当に厄介だ。というか、あの子はもう、その一点だけなら確実に《魔導師》の域だろう。あんなもの、同僚の中でも見たことがない」
そこまで滔々と語ってから、《月輪》はピトスに視線を落として言った。
「何をやっている、早く逃げなよ」
「……何言ってんですか」
「君が脅威なのは治癒魔術としてで戦力じゃない」断言だった。「戦力としては後ろの鼠の子にすら劣るだろう。いつまでもそこにいると人質に取るよ」
「殺すんじゃなかったんですか、わたしを」
「殺されたいなら殺してもいいけれど。本当に殺す気ならとっくに殺してると思わないのかい? 君は《日輪》の目に適って生かされたことを忘れたのか」
「何を……」
「救ったあとの世界のことを、少し考えてみるといい。――君は、そこで生きていてもいいと認められた側の人間だ。邪魔をするなら殺すが、しないなら別にどうでもいい」
「……どちらかと言うと、わたしの邪魔をあなた方がしている感じなんですけどねー」
「そうか」《月輪》は淡々と言った。「じゃあやっぱり殺そう」
直後、ピトスの身体が浮いた。
まるで重力の向きが、地から天へと変わったかのように。
「うおわあ容赦なしっ!?」
宙へ身体を投げ出されたピトス。十メートルほどの高さで静止し、そこに《月輪》が狙いを定めているのがわかった。
――あ、これまっず……!
身体を動かす。だが彼女の力でも、まるで空間ごと固定されたかの如き拘束力に抗うことができない。単純な高速魔術ひとつ取っても、その練度が埒外に高かった。
魔術師の位階の高さは戦闘力に直結しない。
それは確かに事実だ。だが、位階の高い魔術師が戦闘を修めれば、そうでない魔術師より上を行くのは自明の理である。まして魔人ともなれば。
ピトスひとりで抗うことなどできない。
だから。
「――なんでわざわざ挑発してんの馬鹿っ!!」
そこに飛び込んできた少女の助けがなければ、そこで終わっていたことだろう。
耳障りな、まるで金属同士が擦れるような音が響いた。
ピトスの周囲の空間を、フェオの剣が無理やり薙ぎ払ったのだ。それで力任せに拘束術式を破壊し、ピトスを抱きかかえるフェオ。
「ナイス! ナイスですよフェオさんあと逃げてハリー!」
「馬鹿じゃないの――!?」
ピトスを抱きかかえたフェオは、その体勢のままで固定された空気そのものを蹴り飛ばして離脱を試みる。だが当然、身動きの取れないふたりは《月輪》から見れば格好の的だ。
――にもかかわらず、追撃はなかった。
幸運。かどうかは怪しいが、だとしても逃げない選択肢はない。両腕にピトスを抱えたまま猛ダッシュでフェオは逃走する。
ピトスが抱えられたまま憎々しげに叫ぶ。
「どちくしょー! アイツに一撃喰らわせたかった……っ!」
「無理に決まってんじゃん! 無理に決まってんじゃんっ!! ばか! ばーか!! ていうかそんくらいわかってんでしょ!?」
「だってあの女ちょーむかつきましたー!」
「知ってるけど戦力差考えろ!」
「大丈夫ですよ、一撃離脱くらいならできました!」
「それ代わりに一撃返されてでしょ! 等価交換にもなってないよ! 向こう軽傷でもこっち重傷だよたぶん!」
「即死しなければ治せます!」
「命を大事にしない奴は嫌いだあ――っ!!」
「それわたしの台詞ぅ――っ!?」
アホなやり取りだった。
だが、それは同時に大声で叫ぶことにより、自分たちの無事をウェリウスに知らせる意味も込められている。
考えて喋っているのである。これでも。一応。本当に。
※
「ピトスさんはどんどん壊れていくなあ……」
「おい。あれお前の仲間だろ、どうにかしろよ」
「余裕があるのはいいことだよ?」
ぎゃーぎゃー喚きながら戦場を離脱していく女ふたりを尻目に、男ふたりは悠然と戦場を歩きながら、徐々に《月輪》との距離を詰めていく。
ここにも当然、意味はある。
《月輪》はふたりを見逃すために追撃をしなかったわけでは、もちろんない。本心で殺してもいいと思っていたし、殺せるだけのことをするつもりでいた。それを、ウェリウスとレンが防いだのである。
やがてこちらまで戻ってきた女ふたりも、方法は不明ながら、なんらかの方法でウェリウスたちに守られたこと自体は察していた。
「――すみません、ありがとうございました、ウェリウスくん」
「いやいや、ふたりともお疲れ様」
ウェリウスは完全に視線を《月輪》から切っていた。
今、《月輪》を見ているのはレンだけだ。
「バトンタッチと行こう。ここからは僕らがやる」
「……勝てますか、あれに?」
「まあ、ほぼ間違いなく無理だとは思うよ。うーん、あと数年あるか、あるいはもう何回か修羅場を潜ってれば、もう少し食い下がれたと思うんだけど。まあ、ないモノをねだっても仕方ないからね。いや本当、ある意味で初陣みたいなものだし、相手がほかならなあ。あの人たぶん、教団でも最上位クラスだよね。あー……アスタはひとり倒したっていうのに」
「それができるとか言っちゃう辺り、ウェリウスくんも大概おかしいですよね」さすがのピトスでさえ呆れ顔だった。「アスタくんの陰に隠れてましたけど。どっちかって言うと、よりおかしいのはウェリウスくんのほうなんじゃ。……あ、いや隠れてたかな。どっちかって言うとアスタくんが陰だった気がしてきました」
「どっちに対しても酷いなあ」
「懐かしいですねー、わたしたちが最初に集まったときのこと。アスタくんにメッチャ噛みついてたアレ、実は演技じゃなくて半ばマジだったのではー?」
「いや本当だね、懐かしい。そういえば、挨拶のとき噛んでた子もいたっけ」
「えー、でもあれほら運命の再会だったのでー。乙女的には舞い上がっちゃっても仕方ないと思いますぅー。お約束ですぅー」
「――そこ」
と、話の流れを完全に無視して、唐突にレンが虚空を指差した。
ウェリウスは何もしない。ただ魔術が勝手に発動することで、空中に火花が発生した。
最初に、その理屈に気づいたのはピトスではなくフェオのほうだ。人間を離れたことで、彼女は人間ではないモノの気配に少しだけ敏感になっている。もともと魔力感知に優れていたこともあった。
「精霊……自動迎撃? いやでも――」
「あんまり種明かしはしたくないんだけど」ウェリウスは笑う。「ま、そうだね。でも自動じゃない。僕じゃ高度に隠蔽された《月輪》の魔術に、発動より先に気づくなんてことはできない。だから――そこはレンさんの力」
「……魔眼」
「俺じゃ宝の持ち腐れだがな」
つまらなげに語るレン。だが、ほかのどんな魔術師にも真似のできないだろうことを今、彼は魔術さえ使わずに行っている。
理屈はこうだ。
あらゆる魔術は魔力によって成立する。つまり、言い換えるなら魔力は術式に先んじるということ。その流れを視覚で確認できるレンは、どこに魔術が発生するか、その魔術が成立するより先に見て取ることができる。
歩いて来たのはそれが理由だ。単純な話、走りなどしたら視界がぶれてしまう。
だがもちろん、それを口に出し、そのあとでウェリウスに魔術で抵抗させても間に合わない。後の先を取るべきカウンターで、後の後に回っていては意味がないだろう。
それをウェリウスは、精霊を呼び出すという行為によって解決した。
元素魔術の、およそ最終奥義と言っていい技法。その属性を極めた証と呼ばれる奥義を今、ウェリウスは為している。
かつて魔競祭の戦いで見せ、アスタに破られたウェリウスの秘儀――それが天網弐式。
精霊喚起――《異界包括統御》。
異界に存在するとされる概念生命《精霊》を、こちら側の世界へと呼び出す手法だ。世界の解答に近いそれは、アスタの印刻と並ぶ質的到達点。
魔術の解体など造作もない。
「……いえ、でも」
理解さえ及べばピトスにもわかる。
それでは足りないということが。
「精霊を呼んだところで、その精霊の管轄下にない概念は打ち消せないのでは? 向こうの攻撃次第では、簡単に破られてしまうだけじゃ――」
そう。当然の理屈だ。たとえば火の概念精霊を呼んだところで、火に関わらない、あるいは火で消滅させられない攻撃を消すことはできない。
事実として、魔競祭の際、アスタにそれを破られたのはこの理屈だ。ウェリウスが呼び出した火の精霊を、アスタは水の魔術で破った。
印刻と元素。
質が並ぶ以上、そして量による決着を避けた以上、その勝敗は単純な相性関係で決まってしまう。そのことをウェリウスが理解していないとは思えなかった。
「俺も実際、単に目になってやろうと思ってただけなんだがな」
答えたのはレンだった。
彼は首を振り、呆れを滲ませながら告げる。
「こいつ、とんでもねえバケモノだった。世の魔術師が知ったら卒倒すんぞ。地球ならお前こんなん、全世界からお前を解剖しに魔術師が大挙するわ」
「地球ってところは怖いなあ」
「お前のほうが怖いわ」
「……っ! まさか、ウェリウスくん――」
ピトスは気づく。というより、見ればわかった。
今、ウェリウスの周囲には八つの球体が浮かんでいる。
つまり。
「――契約に時間を食った。いや、ここまでやるのは僕も初めてだからね、本当……正直なかなかつらいんだけど。でもまあ、それに足る相手だろう?」
「八属性全ての精霊を、一度に呼び出したっていうんですか……」
元素魔術のハイエンド。その属性を修めきった証とされる精霊喚起。
それを、ウェリウスは八属性全てにおいて行っている。
――それはもう、全ての物質を支配下に置いたに等しい領域だ。今このとき、世界は間違いなくウェリウスというひとりの男に傅いている。支配されている。
「そう持たない。そして持久戦なら僕が確実に負ける――だけど短期決戦ならまあ、勝ち目がゼロとまでは言わないだろ?」
「…………」
ピトスとて天才と呼ばれてきたひとりだ。そもそもオーステリア学院には、そういう生徒しかいない。
だが、それでもこのレベルは、あまりにも埒外すぎる。
ただ考えてもみれば、彼は魔法使いの弟子だった。ならばその才能は――おそらく。
魔法使いにさえ至り得る。
「……バトンタッチ、なんていう必要はありません」
だからこそピトスは言った。
それは、きっと信頼だ。
「そちらは任せました。ですが、まだどこかに《水星》が残ってます。こっちがどうにかします。――ユゲルさんを放置しておくわけにもいきませんし」
「了解」ウェリウスは笑う。「いいね、こういうの。仲間っぽくて」
「なんですか、それ」
「あとのことを考えなくてもいいってことだろう?」
ウェリウスは前を見る。
思えば結局、師である彼女はこのために修行をつけてくれたのだろう。
――ここまでのことをして。
それでも、おそらくウェリウスでは《月輪》に敵わない。
だがそれは、あのとき戦った魔竜とて同じだ。
だからウェリウスは。負けるとわかっている戦いに。
「――勝つために、挑んでくるとしよう」
たまには作品に関するお話。
作中《魔法使いに至り得る可能性を持つ魔術師》は全部で四人。
今いる魔法使いと足して七ですなー。
ひとりはウェリウス。もう三人を予想してみるのも面白いのではないでしょうか。
いや、すぐわかっちゃう気もするんですけれど。




