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S-03『天才少女と幽霊屋敷(前)』

 ――魔競祭が開催される、その少し前の物語。


 そのとき、メロ=メテオヴェルヌはかなり貧乏だった。お金をまったく持っていなかった。

 誤解してはならないのだが、これで彼女はかなり多くの蓄えを持っている。無所属フリー単独ソロ冒険者では最強とまで呼ばれる《天災》だ。財産なんて、おそらく一生あっても使い切らないだろうほどをすでに稼ぎ出している。

 とはいえ、この異世界に銀行なんて便利な機関は存在しない。金貸しならいるが、どこにいても口座から貯金を引き出せる、などというシステムは魔術をもってさえ不可能だった。

 では、定住していない根なし草のメロがどこに財産を保有しているか。

 簡単だった。知り合いに預けている。

 かつて七星旅団セブンスターズの仲間だった《教授》と呼ばれる男に、一括で金の管理を任せていたのだ。

 旅団の中で唯一、彼だけが定住している――家を持っているからだ。


 便利か不便かで言えば、間違いなく不便である。金を引き落とすには、いちいち教授のところを訪れなければならないのだから。

 だが、それで問題があったかといえばそんなことはない。

 そもそも財産には無頓着なメロである。たまに余った金を教授へ渡しに行くことはあっても、引き出したことなんて一度もない。必要になったら、適当に稼げば済む話だから。貯金をしているというよりも、持ち歩くのに邪魔だから教授の家に置いてある、という程度である。

 今まで、それでどうにかなってきた。

 どうにかならなかったのは、だから今回が初めてだ。


 貯蓄が尽きた。稼ぎの残りだけで食い繋いできたのだが、それがもうほぼ残っていない。

 たぶん、オーステリアに滞在する期間が長すぎたからだと思う。今まではいろんな街を転々としては、その先で適当に稼いできた。迷宮に潜るでもいいし、管理局から仕事を回してもらうでもいい。《天災メロ》の名前があれば、どこに行ったって仕事には困らない。

 と、思っていたのだが困った。


 オーステリア界隈には、仕事がほとんどなかったのだ。いや、もちろん仕事自体は存在していたが、それをメロが受けることはできなかった。稼ぎも大したものではない。

 そもそもメロは、あまり熱心に働かない。ほかの人間がやりたがらない危険な仕事や、高難度の迷宮に好んで突撃していたからこそ、彼女の懐は短期間で潤ったのだ。逆を言えば、それだけしかしなかったからこそ軋轢を生まなかった。

 だが、オーステリアにはそういった仕事がほとんどなかった。付近の迷宮は軒並み踏破済み、完全地図化フルマッピングされた難易度の低いものしかなかったし、そもそもこの辺りを縄張りとする冒険者の職場をあまり荒らし回るのは好ましくない。メロがどこに行っても受け入れられるのは、あくまで他人の仕事を奪わない範囲でしか働かなかったためである。

 それが競合するようになれば、冒険者たちは徒党を組んででもメロを追い出そうとするだろう。


 それは困る。メロはまだオーステリアに留まっていたい。

 早急に仕事が必要だった。

 あるいは、金を借りるという手もあるだろう。だが高金利の金貸しに行くのは、いかに金銭に無頓着なメロでも恥ずかしい。だからこれまではアスタに頼っていたのだが。

 あの男、意外に貧乏だったのだ。

 当然ではあろう。冒険者を引退して久しい上に、好き好んで危険な仕事に就いたりはしない。最近では扶養する人間まで増えているのだから、むしろ貯金がよく持ったほうだ。

 さすがのメロとて、これ以上アスタに頼るのは気が引けた。悪いというか、なんとなく恥ずかしい。

 かといって、アスタ以外の知り合い――たとえばセルエに言うのも、それはそれでプライドが許さないのだ。プライドというか、単純な見栄なのだろうが。

 言えば、セルエなら快く金を貸してくれるだろう。なんなら貸すどころか、しばらく分の生活費なら「いいよー、あげる」くらいのことは言いそうだ。だからこそ頼りづらかった。

 アスタだけなのだ。「ふざけんななんで俺が金なんか貸すか云々」とか言いながらも最終的に貸してくれる阿呆は。それくらいの憎まれ口を貰えるからこそ、メロも遠慮なく頼れる――というか甘えられているのだが、いかんせん当のふたりだけがその事実に気づいていない。

 ほかの五人は、全員揃ってわかっていた。


 まあ、とはいえさすがに頼めない。ただでさえ家に住まわせてもらっているというのに。

 実際には、最近はほとんど帰っていないけれど。少し前、タラス迷宮で魔法使いに言われた言葉が、メロにはずっと引っかかっていた。

 だからずっと、珍しく魔術の《訓練》をしていた。

 生まれて初めてかもしれない。

 ともあれ、そんな感じで宿屋を利用したり外食をしたりで金を使っていた結果――ものの見事に素寒貧となったわけである。


 お仕事を寄越せ。



     ※



「というわけで来たんだけど、なんかないかなー?」

「……まさか、そんな理由でいきなり来るとは思わなかったさね」


 メロの言葉に苦笑する、学院三女傑が一角――発明狂マッドことエイラ=フルスティ。

 面識といえば、タラス迷宮の事件の前に顔を合わせた程度である。メロの認識ならば、その時点でもう遠慮をする相手ではなくなるし、一方のエイラも大して狼狽えはしなかった。


「エイラなら、なんかいい仕事のネタ持ってるかと思って。どうかな?」

 あっけらかんと言ってのけるメロに、エイラは笑みを浮かべて答える。

「アスタはともかく、それこそセルエ先生を頼ったほうがいいんじゃないかい?」

「それはなんか、こう、ちょっとアレかなー、みたいな」

「意味がわからないさね。いや、わからなくもないけれどね」

「どうだろ?」

 首を傾げるメロ。エイラは「ふむ」、と口許に手を当ててから、ふと言った。

「そうさね。かの《天災》に頼むようなレベルじゃないかもしれないけど、仕事の話がないわけじゃない」

「やた! さすがエイラー、頼りになるー!」

「調子がいいねえ……」

 くつくつと噛み殺すようにエイラは笑った。別段、気分を害しているわけではないらしい。

 すぐに彼女は笑みをやめ、さっそく仕事の話に移る。

「オーステリア商業区の奥地に、一軒の古びた屋敷がある」

「わかった!」メロは言った。「そこにいる悪い魔術師をとっちめて追い出せばいいんだね!」

「いや、ぜんぜん違うさね」

「あれー」

「とはいえ、まあ遠からずではあるさね。というのも実はそこに――夜な夜な魔物が出る、という噂があるのさ」

「魔物……?」


 メロは首を傾げる。事実だとすれば確かに問題だろう。

 魔物は、基本的には迷宮にしか存在しない。より正確に言えば《瘴気のある場所》にだけだ。

 濁り、腐りきった魔力の残滓。それが瘴気である。基本的には迷宮のような場所にしか存在しないが、例外的に普通の土地にも発生することがないわけではない。

 とはいえ、こんな人の多い場所に瘴気が生まれることはまず考えられない。


「まあ最初は、風の音を聞き間違えたとか、そんな話だとは思われてたんだけどね。付近の住民から、調査してくれという話が来ているのさ――この付近の冒険者は、今はあまり働かない時期だからね。学院のほうに、仕事が回ってきているわけさね」

「なるほど。んじゃ、ちょっくら調べてみることにするよ」

 あっさり依頼を請けるメロ。その背後に実力が裏づけされているからこそ、エイラはさして問題視しなかった。

 ただ、

「悪いね。この依頼、魔術師をふたり求めているのさ」

「ふたり? 人数指定があるってこと?」

「ああ。なんでも、調査に行った近隣の住民はね。中に入っても、軒並み外に出てきてしまうそうだよ。中で何が起こったのか、そもそも何をしに行ったのか――全て忘れて、気づけば外に出てしまうそうだ」

「だからふたり?」

「ああ。片方が惑っても、もう一方が対処できるように、ってね。意味があるかは知らないけど」

「……ふうん。面白そうじゃん……?」

 にたり、とメロの口角が歪む。ますます仕事を請けたくなった。

 そうと決まれば話は早い。メロはさっそくエイラに言う。

「わかった! そんじゃもうひとり連れてくるよ」

「アテがあるのかい? メロは、この街に来たばかりだろう」

「こないだ会ったし、シャルでも連れて行くよー」

「……許可とか」

「大丈夫大丈夫来てくれるって、たぶん! んじゃ行ってくんねーっ!」

「今からかい」

 エイラの突っ込みなどほとんど聞くことなく、メロは最高速で研究室から出ていった。

 それから五秒後にすぐ戻ってきて、

「ごめん場所聞いてなかったどこだっけー?」

「……悪いね、シャル。あとは任せたよ」

 エイラは全てを投げ出した。


 ――ただ。このときメロは、まるで気づいていなかった。

 夜に出る魔物。そんな存在は限られる。


 すなわち――それが《幽霊ゴースト》の特徴であるということを。



     ※



「というわけで夜です来ました魔物屋敷ー!」


 その夜。メロは、シャルを(無理やり)引き連れて依頼の屋敷を訪れていた。

 シャルはさすがに不満らしく、ブツブツと文句を言っている。


「なんで……私が……」

「まー、いいじゃんいいじゃん! いっしょに死線を潜った仲っしょー?」

「どんな仲よ……」

「どしたの? あんまり眉間にシワ寄せてると老けるよー?」

「……こ、のぉ……っ!!」


 歯噛みするシャル。だが天災に理屈は(都合のいいときにしか)通じない。

 ここまで連れて来られた時点で、諦める以外の選択肢はなかった。


「ふむ。……どう思う、シャル?」

 無論のこと、メロはシャルの事情など斟酌しない。というか、し終えている(丶丶丶丶丶丶)

 本当に嫌がっているわけではないことを、メロは初めから見抜いているからだ。

 シャルも諦めて、仕事のほうに本腰を入れ始める。

「……結界が、張られてる。そのせいで中のことはわからないけど――」

「何かがあるってことは、この時点で確定だね」

「まあ、そういうことになると思う」

 一度決めてしまえば、シャルとて気持ちを持ち直せる。実際、なんらかの事態がこの屋敷の中で進行していることは疑いようがなかった。

 古びた屋敷だ。周囲は倉庫ばかりで、付近にひと気はまったくない。そんな中でも、この一軒だけが特に寂れた様子なのが印象的だった。

 夜に沈み行くオーステリア。とはいえ通りをひとつ移れば、未だ活気に溢れた家々が連なっている。そのせいだろう、シャルも特段の恐怖は感じていない。

 ましてメロが、あの天災が。《怖い》などという感情を持つなんてシャルには信じられなかった。

「それじゃ、入るよ」

 実際、メロは一切の躊躇いを見せずに答える。

「ん、行こう行こーう!」


 ――だが。

 メロが頼りになったのは、ここまでだった。



     ※



 屋敷に入った途端、シャルが感じたのは濃密な瘴気である。ほとんど迷宮と変わらない。

 この時点でもうアウトだろう。原因を断ち、空間を浄化しなければ、そのうち街中へと瘴気が溢れ出してしまいかねない。そうなれば惨事だ。

 ただでさえ魔力は肉体に毒なのだから。まして瘴気ともなれば、抵抗力のない非魔術師では命にさえ関わることがある。

 中は暗かった。結界の影響もあるのだろう。外から光が入ってこないのだ。


「……明かり、つけるから」

 シャルは呟き、魔術で光を灯した。メロが答える。

「うひゃいっ!?」

「……は?」

 思わず「は?」と言ってしまう。それくらい、メロの反応は異様だった。

 まるで何かに驚いたかのような裏声だ。シャルは咄嗟に問う。

「何か見つけたの?」

「な、何も見つけてないけど……驚かさないでよ、まったくもー!」

 メロは普段の様子に戻っていた。

 驚かすなはこちらの台詞だ、と思いつつも突っ込まず、シャルは先へ進む。

「何もないなら、行くよ」

「お、おう! 合点だあ!」

 がしり、と。服の袖をメロに掴まれた。

 無視して歩き出す。メロが袖を引っ張って、シャルの歩みが邪魔される。

 無視して歩き出す。メロが袖を引っ張って、シャルの歩みが阻害される。

「…………何?」

 若干イライラしてきた。シャルの口調が、自然と刺々しさを帯びる。

「い、いや、いやいや。なんでもないよ!」

「歩きづらいんだけど……」

「まあまあ! ゆっくり、ね? 慎重を期して、そして早く終わらせよう? ね、早く帰ろう。ていうかもう帰る?」

「何言ってんの……?」

 まるで意味がわからない。言っていることが滅茶苦茶だ。

 怪訝さにシャルは表情を歪める。とはいえ相手はあの天災だ。意味がわからない、といえば普段からそうだろう。

 結局、特に気にしないことにして足を進めた。

 メロは袖を掴んだままついて来た。


 屋敷の中は、外からわかる以上に古ぼけた様相だ。

 蜘蛛の巣がいたるところに張り巡らされ、床板は体重を移すたびにぎしぎしと軋む。壁や天井のところどころに穴が開いており、ときおり種類もわからない小虫が光に驚いて這って逃げた。

 二階建ての小さな空き倉庫。階段は入り口の右手からまっすぐ伸びており、二階部分は半分が吹き抜けになっていた。

 シャルは言う。

「とりあえず、二手に別れようか」

 メロは答えた。

「はあ!? 馬鹿じゃん!?」

 というか罵倒された。なんで馬鹿呼ばわり。

「……何が?」

 もはや苛立ちを隠さずにシャルは言う。意外にも、メロは答えに窮したようだ。

「うえっ、と……その、ほら、教えたでしょ? この仕事は二人一組ツーマンセルで請けるように言われたって!」

「だから来たじゃん、ふたりで」

「な、中で別れたら意味ないんじゃないかなあ!?」

「いや……見えるじゃん普通に、上からでも下からでも。なんかあったら呼べばいいし……」

「そりゃそうかもしれないけどさあ!」

 メロはほとんど涙目だった。この辺りで、シャルもようやく気づき始める。

 ……あれ? これ、もしかして。

「――怖いの?」

「いや怖くねえし何言ってんだしビビるわもう、うわー。うわー!」

「…………」

「…………」

「……上と下、どっちがいい?」

「ええ、と……上、のほうが狭いけど、あ、待って。でもやっぱ下のほうが出口が近……いやでも下はモノが多いし、ああでも上はどうなってるかわかんないから……うぅ」

「メロ」

「あ、はい」

「上行け」

「……はい」


 そうなった。



     ※



 二手に別れて屋敷を探索する。

 なんかもういろいろと台なしな気分を味わいながらも仕事をするシャルに、メロは二階から、ひっきりなしに声をかけ続けていた。


「――ねえ、シャル? いるー?」

「……いるよ」


 それ訊くの何回目だよ、とシャルは突っ込まない。


「いるー?」

「いるって言ってんでしょ!」

「本当に? 本当にいる? それどうやって証明するの!?」

 ……うっぜえぇ……。

 シャルは黙る。まさかあの天災が、こんなにポンコツ化するなど誰が思おう。

「あ、あれ? シャル? 返事が、あれっ?」

「…………」

「……ちょ、ちょっと……ふぇ……シャルぅ……」

「あーもう、いるからいるからいるからっ!」

 誰なんだこいつは。涙声の天災って。夢でも見ているのか。

 もういっそ、シャルが頭を抱えたいくらいだった。


 と、そのときだ。シャルはふと、部屋の隅に違和感を覚えた。

 わずかだが、瘴気がほかの部分より濃くなっていることに気づいたのだ。


「これは……」

 咄嗟に近づき、シャルは屈み込む。ぎしり、と床板が音を鳴らした。

 その音そのものが違和感だ。ほかと軋み方が違う。

 まるで、この下に空洞があるかのように。

「この下に、何か――」

 シャルは床板にそっと手を当てた。手に魔術を起動して、強引に床板をずらそうとした――そのときだった。


 ドガァンッ!!


 という巨大な爆音とともに、何かが上から(丶丶丶)降ってきた。

 というか、メロだった。

 彼女が二階部分の床そのもの(丶丶丶丶丶)を破壊して、一階にまで飛び降りてきたのだ。

「……え、ええぇー……」

 唖然とするシャル。やはり天災は天災だった、と思うべきなのか。


「――って、いやいやいや! 何してんの!?」

「え? あっと、その、な……何か見つけたみたいだねっ!?」

 咄嗟に誤魔化しを挟むメロ。意味はない。

 突っ込むのも嫌だったシャルは、結果的にそれをスルーする。

「……うん。この下が、どうもどこかに繋がってるみたい」

「そ、そっか! 収穫だねっ!」

「まだでしょ……どこまで続いてるのか、確かめないと」

「…………」

 凍りつくメロ。やはりシャルは突っ込まない。

 そのまま床板をずらし、中を覗き込んだ。やはり真っ暗ではあるが、見れば地下通路がどこかに続いているらしい。

 その先に、足を踏み入れようとする。直後だった。


「――――――――」と。

 長い白髪を垂れ流した女性が現れた。

 ふたりの目の前に。音もなく。まるで初めからそこにいたかのように。

 さすがのシャルも身構える。そいつから、濃密な瘴気の気配を感じたのだ。

幽霊ゴースト……!」

 実体を持たない魔物の一種だ。

 死者の残留思念や魔力が、こうして魔物と化す例は少なくない。白骨化してスケルトンになることもあれば、悪霊レイスとして死者の仲間を増やそうとするモノもある。


 その霊は、何かを喋るかのように口を動かした。

 だが言葉は聞こえない。実体のない霊体は、空気を動かすことさえない。

 シャルは攻撃を考えていた。実体のない霊でさえ、魔力を用いた術式ならば攻撃可能なものもある。

 しかし、結論から言えばシャルは攻撃に移ることがなかった。

 それより先に、霊体がすっと姿を消したからだ。

 怪訝に眉根を寄せるシャル。いったい、何をしに現れたというのだろう。

 霊体も、魔物の一種である以上は人間を襲うはずだった。それが、何もせずに消えるなど本来あり得ない。

 どういうことなのか。冒険者であるメロに訊ねればわかるだろうか。

 そんな期待をして振り返ったシャルは、そこで。


「……………………うぅ、ひっ……」


 頭を抱えて蹲る、天災の姿を目の当たりにした。

 言葉もない。それでも、何かを言わなければならないだろう。

 数秒ほど迷いに迷った末、結局、シャルはこう口にした。


「もしかして、幽霊が怖いの……?」

「……」


 そのままの姿勢で。

 メロは、こくりと頷きを見せてくれた。


 ――そんな馬鹿な。

続きます。次は15日19時。

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