忘れないで
ゆうすけの家で幼稚園の友達のみきちゃんがきて一緒に遊んでいた。
みきちゃんは、クマのぬいぐるみのポリンとパリンを見つけたが、古くうっすら黒ずんでいるポリンよりも、新品の青いふさふさの毛のパリンを抱っこしてゆうすけのところへ戻った。
「ゆうすけ君、このくまちゃんかわいいね」
「これはパリン、おじいちゃんおばあちゃんが買ってくれたんだ」
ポリンはゆうすけとみきちゃんとパリンが遊んでいる姿を見ていた。
後からみきちゃんのお母さんがみきちゃんを迎えにきた。
みきちゃんはパリンを抱いたまま、
「このくまちゃんかわいいね、欲しい!」
ゆうすけは
「こっちをあげる」
と、ポリンのほうをみきちゃんに渡そうとした。
「いやだ、そっちはいらない。こっちの青いくまちゃんが欲しい」
ゆうすけも、みきちゃんも自分の思ったことをはっきりものを言う性格だ。
ポリンはゆうすけやみきちゃんに、いらないもの扱いされてすごく傷ついた。
ポリンは心なしか少し下をむいていた。
パリンをあきらめてみきちゃんは帰っていった。
ゆうすけはポリンを飽きて大事にしなくなったが、夜に寝るときにポリンとパリンと3人で布団で寝ることは変わらなかった。他に人形がいなかったということもある。
ポリンとパリンはゆうすけの横に、ゆうすけを囲むようにして置かれていた。
朝、ゆうすけが目が覚めるとゆうすけの腹の上にポリンがゆうすけの顔を向いて、乗るようにして置かれていた。ゆうすけが自然にポリンを抱いて寝てるような位置にあった。ゆうすけの小さな腕もポリンを引き寄せていたのだろうか。違う。ポリンが自分で動いたのだ。
しかし、周りにポリンは動けるし人間と話をすることが出来ると気づかれることも無かった。父の方は母がいたずらでやったのだろう、母の方も父がポリンをもっとかまうようにとゆうすけの近くに置いたんだと思っていた。
ゆうすけ自身も最初ポリンが動いて話したからポリンに興味をもったのであるが、今はすっかり他の出来事に興味が移ってしまっている。
ゆうすけは、そんなポリンを気にするのでもなく、日常の生活を過ごしていた。




