ゆうすけとポリン
「いやだ!ポリンをつれてかえる!」
ここは葬儀場。ゆうすけの祖母の葬儀の終了近く、祖母に最後のお別れをするため、式の参列者が各々棺に花を供えている所だった。棺には祖母の亡骸と共にポリンも一緒に入っていた。
ポリンはもともと祖母が、父と伯母が子供の時にスーパーのポイントシール(商品についているポイントと称する数字が記されているシールを集めると安く購入できる仕組み)で安く買えたクマのぬいぐるみであり、祖母専用だった。父と伯母専用の同じ形態のクマのぬいぐるみもそれぞれ同じスーパーでポイントを集めて与えられていたが、それは幼児が背中に背負えるようなリュックになっていて、ポリンとは少しつくりが違っていた。そのせいか、父も伯母もポリンを特別扱いし、かまうようになった。いつもポリンは台所の戸棚に隠されていて、あまり表に出てこなかった。それが余計に幼児だった父や伯母が気になったのかもしれない。ポリンは父や伯母のアイドルで、とても大切にされていた。
そういう年季が入ったぬいぐるみであり、今やポリンは当時はふさふさだった毛並みも、すっかり薄汚れてしまっていて、ボロボロだった。
ゆうすけのポリンを引き取ることに対して、真っ先にゆうすけの父が反対した。普段はゆうすけの言うことなら割りと良く聞いてくれる父だったが、今回は珍しくかなり感情的にゆうすけに怒っていた。祖母とポリンを重ねているという部分もあるのだろうか。1人あの世にいく祖母に、おともとしてポリンを棺に入れてあげたかったのだろうか。その理由はわからないが、複雑な心情だったのだろう。
かなり葬儀場でもめたが、ゆうすけは、ポリンを引き取ることに成功した。




