第2話 第二王女の動機
私は、この国の第二王女である。王位継承権はない。
それでも王族としての責務は忘れていない。国と民の為にならどこの誰にだって嫁ぐ覚悟はできているし、価値を上げるための教養を高める努力は怠らなかった。
愛情など存在しない冷え切った王城の中で、私は政治の道具としてわきまえていた。
だけど物言わぬ道具でいられなくなった。
きっかけは第一王女である腹違いの姉が隣国に嫁ぐことを祝して開かれたパーティー。
王位継承権の関係なく兄妹が一堂に集まる数少ない場で、私は王位継承権第一位の兄から嘲笑混じりに言われた言葉で目が覚めた。
ああ、この愚兄達に任せていたらこの国は終わってしまう。
私が動かなければいけない。王位継承権を勝ち取るなんて時間がかかりすぎる。そもそもこの国は女王になっても結局実権を握るのは国王だ。意味がない。
実の父である現国王にも期待はできない。五人いる兄妹は全員腹違いで交流は公式な場のみ。もちろん国王との会話など形式な挨拶のみしかない。臣下の方がよっぽど国王の声を聞いている。王妃である母に発言力などない。国王に進言したところで軽くあしらわれて終わる。
私は歴代の王族がどうしてきたか、何か現状を打破できるものはないかと毎日王室の図書館に通った。藁にもすがる思いで、埃かぶった古書もくまなく読み込んだ。
そこで知った聖女と王族との確執。
そして私の行動を品定めするように観察する一人の侯爵との出会いで、事は大きく動いた。