異世界転生
あれ?何か頭がクラクラするな。
そうそれは起こった。
怜音という少年がバンドの個人練習をしている最中に。
突如として怜音の部屋が白い光に包まれる。
そうして、目を覚ますとそこは....
全く別の景観が広がるそこは。
「え?これ夢だよな。」
怜音はギターで来週のライブに向けて猛練習をしているところだった。
そんな大事なライブを控えた怜音は状況がイマイチ理解できてない。
怜音のもとにあるのはアコースティックギターだけだ。
噴水広場。といっても異世界のだが、そこにポツンと世界から置いてけぼりにされたように召喚?されていたのである。
女神とか説明してくれんじゃないの?
でも現れなかったしな....
まあいいそのうち夢から覚めるだろ。
そう思って辺りを見回していると日本人ではなさそうな人たちや獣人とゲームなどで言われていそうな人種も見かけた。
その時だった。
ビジョンのようなモニターとも言うべきなのか、空高い人々の頭上にそれは出現する。
それはそれこそ女神のような風貌をした女性が映っていた。
「皆様。御機嫌よう。私は女神であり、ビトという呼び名で皆様に信仰していただいてると思います。そんな皆様に呼びかけをしたく存じてる次第です。世界の神が人々にこう告げております。音の魔王ノイズがより良い人間の音楽を聴かせねば人間の領土に信仰する考えを持っているようです。そして、戦争という最悪の結末を避けるためミュージックフェスティバルを世界で開催する予定でございます。私はこの世界を救うため幾人もの別世界からの勇者を召喚しました。そして、種目はこの世界では浸透していない『ロック』と呼ばれる異世界の音楽です。その分野の音楽でこの世界を魔族の侵攻から守るため、音の勇者たちとともにこの異世界ミュージックフェスティバルに参加してください。ノイズを納得させた暁には元の世界にお帰ししますわ。そして、異世界を音楽で盛り上げようぜぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
最後女神キャラ崩壊してたな。
元の世界に帰りたくはあるが、それよりもこの世界をどうにかして救わないと帰れそうにない。
「血が疼くぜ。」
怜音はすぐさま、アコースティックギターを鳴らし、歌い始めた。
「あなたに会えること~♪」
噴水広場にて歌い出すと衆目が集まってきた。
これは怜音のバンド、キャッスルの「with you」という曲だ。
怜音はピックでアルペジオを弾いて見せる。
そうすると観衆は目を見開いて満足そうに、心なしか穏やかな気分になっているようにさえ見えた。
「そしてあなたの愛になるよ~♪」
こうして一曲弾き語りをして見せると。数十人いる観客たちが皆。
「ねえ、これって。」
「勇者様じゃない?」
「あの楽器何ていうのかね?」
反響は様々だった。
そんな中、怜音の前に姿を見せたのは一人の少女だった。
「勇者様!!私をお供にしてください!」
その少女は長い金髪を後ろにまとめあげた可愛らしい少女だった。
「おう。いいぜ。俺の音楽をどうやら気にいってくれたみたいだしな。」
少女は新しいものにきらきら目を輝かせている。
そして、怜音は考えた。
ロックといっても様々だがやはりバンド形式にして自分の演奏隊を異世界に募ることを。
そして、今世界を救いたい者の一人が志願しに来ている。
「お前、楽器は何か弾けるか?何でもいい答えてくれ。」
「はい。ウクレレが弾けます。」
「おお、そうか!ならエレキギターという楽器を担当してもらっていいか?」
「えらきギタ?」
「ああ、この世界にはないのか。」
早速工房まで行き、エレキギターの構造を教えて作ってもらおうとすると。
そこで思わぬ光景を見た。
「工房にエレキギターが置かれてる!?」
「これが、そのエレキギターですか!?」
何でも女神が町一番の名工に設計図を置いていったそうな。
それはそれは美しい人だったらしい。
魔法で弦の音を増幅する仕組みみたいだ。
思わず怜音からも笑みがこぼれた。
「女神、絶対ロック好きだろ。」