横断
白い日
わたしの髪には「くりかえし」がぶらさがっている
下げ吊りの緩慢な往復が
クラクションにはじける音がする
赤信号を見上げて足踏みする
とうとつに
愛が降りてきた
空を仰ぎかけて
やめておく
見えないことを信じはじめている
高層ビルがそこにある
これが倒れるまで歩くんだ
わかっているから
それをわたしにしゃべらせて
赤信号
足踏みは、俯瞰への後ずさり
傷口
駆け込めば、痛み
離れれば、自分へのトビラ
口まねをする
さよならと言われればさよならという具合に
静けさの瞬間を数えれば
その数だけ永遠を失う
わたしは反応する
感光を待つフィルムだった
はだけたわたしはあなたの
陰影だった
あなたが踊る
そのシルエットのまえに立ちはだかる
もう、
制止することができない
抑制と抑制の間に
しみじみと繰り返される行為
青信号
ほんとうに裂けることもあるのだ
足踏みを止めて走り出す
名前を叫ばせて
見とどけるから
わたしの名を叫んで