表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名無しの天使  作者: 逢咲楓
一章 あれから
5/25

進級条件


 阿莉方先生が、ホワイトボードにつらつらと書き連ねていく。

 「はいッ!ということで〜皆さんもうすぐ2年生ですね~。で〜2年生に、進級する条件が〜、こっちぃら!」

ゆるふわな喋りとキレッキレな動きをして、ホワイトボードを指す。


〘進級条件1 一年次における成績が、合計六割を超えていること


《進級条件2 悪魔との適性を測りそれで適性値が、少なくとも1以上であること


《進級条件3 学外での、活動で一定の成績を残したものは、学校に報告すること。その内容を審査し、合否の結果を報告する


 という三つの条件が、2年生に上がる為には満たしてないと留年してしまう。だけど、この中のどれか一つでも満たしていれば進級は出来る。


「みんな、わかったかな〜。この中の、一つでも出来ていればいいからね〜。二つ目は、確か……今日あっ!そうそう、みんなごめんね〜。伝え忘れてたんだけど体育の時間に魔性を測るんだった〜」

 この先生は、これがある。よく伝達ミスが起こり、その結果何故か、内のクラスだけ取り残される事がままある。


「まさちゃん、またかよ〜」「私たちまた、何も知らないでやらされるとこだったじゃ〜ん」「な、何も……wwぶほぉ中泉とブラックライが、た、戦うとこですなww」「先生ーもうちょっとしっかりしてよー」「うーん、お腹空いたな。……よし、弁当食べよ」

クラスから、様々な意見が飛び交っている。……誰か今弁当食べてるやついなかったか?


 クラスの野次の熱が高まり、次第に関係なく友達と話をしだすものも現れてきている。本来なら先生が、注意すべきなのだろうが、申し訳なさそうに縮こまっている。こういった時に、内には便利な人間が一人いる。バンッ!!!机を強く叩き注目を集めたのは

「皆さん、いい加減静かに。先生もそんな縮こまらないで!ほら、シャキと!」

 月城だ。彼女がいるから、正直このクラスは、纏まっているも同然だ。阿莉方先生も、生徒に怒られてるし。背中を、伸ばされ顎を引かされている。先生の顔に若干恐怖の色が、出始めている。分かるよ、先生。さっきも俺も同じ気持ちだったから。

鐘が、鳴りホームルームの終わりを告げる。



「あっ……、ごほんっ。というわけで、ホームルームを〜終わりま〜す。じゃあ、みんな〜また後でね〜」

 阿莉方先生は、教室を去っていった。あの人の、担当は現代文だ。時間割を確認すると、今日あの人の授業は無い。あぁ、多分勘違いしてるなあれ。また、他の先生とブッキングするのか……。よく、教師になれたな。


肩を、叩かれ後ろを向く。後ろには雅が座っている。

「どうした?何かあったか」

「星歌君……あれ……どうしたら良いと思う……?」

雅が、指さしたのはホワイトボードに、書かれた進級条件。

「あれって……あぁ、そういう事?」

恐らく、学外での活動で、ゲームは含まれているのかってことだよな。

「まぁ、大丈夫とは思うけど……。って言うより、雅にはそんなの必要無いむぐぅ」

雅が、身を乗り出して手で口を押さえつけられた。


「!!しっ……、それあまり大きな声で、言わないで」

「あぁ……ごめん」

「ううん、私こそ、……強く言い過ぎちゃったし。ごめんね、無理やり口……閉じちゃって」

「俺の方が、配慮足らなかったから……全然大丈夫だよ」

「そ、それで、どうかな?いけるかな?」

「あぁ、大丈夫じゃないか。まぁ、いざとなったら、助けるからさ」

「ふふっ……持つべきものは、頼れる友だね。流石、私の唯一の友」


「それ、言ってて悲しくならないの?」

「え?……あ、ぐふッ!お、遅れてくるタイプの、致命傷だった……」

「何それ、……ふふっ」

まぁ、俺もあんまり人の事は言えないんだが。それにしても、雅はこう話していると、とても面白いし、楽しい子なんだがなぁ。

「なぁーに、話してるの?」

雅の後ろから、マコトが出てきた。いつの間にそこに。

「いやぁ、何。あの進級条件に付いてな」

「……あぁ、確かに雅、成績悪いもんなぁ」

「ぐぇっ……」

あーあ、致命傷だったのに、追撃しちゃったから、死んじゃった。机に突っ伏してるし。


「だから、そのゲームでどうにかならないかなって言ってきてな。そっちは、あまり使いたくないらしい」

「成る程、雅、安心しろ。俺も、最大限先生達に、掛け合ってみるから、な。むしろ、こういう状況の時の為に、俺は今までやってきたと、いっても過言ではない」

「マー君!!」

いつの間にか、復活して目をキラキラ輝かせている。

「よし、じゃあ、今日の放課後先生に、申請してきな」


「もちろん、マー君も、ついてきてくれるよね……?」

「ごめん!今日は、バイトで早く行かないと駄目だから」

「わ、私には、一人であの魔境へ行けと……そう言ってるの……?」

職員室を魔境って、先生たちを何だと思ってるんだろ。雅の顔を覗くと、天国から地獄へ落ちたさまのような表情をしてる。


「星歌、頼めるか……?」

「えっ……俺……うーん、」

チラッと、雅の方を見ると藁にも縋る思いで、祈ってるし、ぷるぷる震えている。これ断ったら、どんな反応するんだろうか、少し興味がわいた。

「良いよ。放課後特に、これと言った用事もないし」

興味は湧いたが、友達を傷つけたくない。まぁ、からかったりはするけど……。


「星歌君……!!やはり、君は、心の友よ……」

 雅が、ジャイアニズムみたいな事を言っている。顔を見ると地獄に蜘蛛の糸が垂らされて、それを登って天国に来たような顔をしている。表情豊かで、面白いな。


1時間目の予鈴が鳴る。皆、蜘蛛の子散らすように各々の席へと座る。

「じゃあ、放課後頼んだぜ!」

マコトも、自分の席へと戻って行った。

「星歌君。……ありがとう……」

「いいよ、大したことじゃない」

そうして、1時間目の授業が始まった。










 












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ