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名無しの天使  作者: 逢咲楓
一章 あれから
3/25

日常


 朝日が、カーテンの隙間を縫って差し込んできて意識が覚醒する。時刻を確認すると、時計の針は午前六時を指していた。

「ンッ〜〜……と」

 軽く背伸びをする。昨日は、割と色々な事があった。天使との対峙、変な悪魔の誘い、それと元最上位天使への名付け。

「ふぁ〜〜あ、……さっさと支度するか」

 床に、散らばっている教科書類を一通り集め、必要なものだけをカバンに入れていく。確か……今日は、体育もあった筈だから、タンスから体操服を取り出す。適当に入れたカバンが、水風船みたいに破裂しそうになっているが、まぁ良いだろう。

「……お腹、空いたな……」

 部屋を出て、リビングへと向かう。カーテンは、閉め切っておりその様子から、ルナがまだ寝ている事が分かった。ひとまず、カーテンと窓を開けて換気をする。優しい風が、吹き新しい朝を歓迎しているようでもあった。しばらく、このまま開けていよう。

 台所にあるポットに、水を入れお湯を沸かす。上の棚にある、カップ焼きそばを取り袋を剥いでおく。朝から、これか…………。ちなみに、冷蔵庫の中は何も入ってなかった。いくつかの、調味料があるだけ。

「……まぁ、好きだし、いいか」

 そこで、少し実家の時の事を思い出した。毎食、きっちりと出ていたなぁーと。実家といえば、……父さんと彩奏は、元気だろうか。もう何年も会っていないが。

「……あっ!!ち!」

 ボッーと、してたあまりお湯を誤って自分の手にもかけてしまった。焼きそばにも、お湯がなみなみに注がれており、基準の線を優に越していた。

「うぅ……はぁ……、珈琲でも飲も……」

 落ち込んだ気分の時は、カフェインを摂取すれば大抵良くなる、という持論があるので飲むことにする。

 コーヒーマシンに水を入れる。注がれる部分の上をカパッと外し、そこにペーパーを敷き、コーヒー粉を大さじ2杯ぐらい入れ蓋を閉める。スイッチを入れ、しばらくするとポタ、ポタと貯まっていくため、後は待つだけだ。

 焼きそばのお湯を、捨て、ソースをかける。すっごくみずっぽい、感じになった。それを持って、テーブルへと腰をかける。テレビのリモコンを、取り電源を入れる。


「いつもの、ところはっ……と」

 毎朝、見ているニュース番組をつける。正直、ニュースなどあまり興味はないが、見ていた方がなんか朝っぽい感じがしてカッコいいから見ている。

「……芸能人の、不倫とかなんてどうでもいいよ……。個々人で話し合うものだろ……」

最近というと、大抵この話題だ。どっかの大物俳優が、若い美人女優と懇ろな関係、だって話。もっと天使に関する事を、言えば良いのに。

そんな、何処にもいかない愚痴を吐いていると、耳を引く内容の物が入ってきた。

『昨夜未明、天津市北原区にて出現した天使により、万魔殿の一員である御名方敦也氏、風海佑磨氏、水上譲二氏の死亡が確認されました。警察…………』

「……三人?あれ……もう一人居たはずじゃ……」

今出てきた名前は、三人。だが、あの時もう一人女が居たはずだ。確か嘘虚(うろ)って呼ばれてたような。一体どういう事なんだろ、実はあの時、生きていたのか。

だとしたら、俺の姿を見たはず……それは、非常に不味い。………まぁ、何かあってからでもいいか。様子見だ。

ガチャッ、とドアの開く音がする。

「おふぁよ〜〜……うぅ……」

髪が、凄い形に爆発している。一種の妖怪みたいに、見えなくもない。ルナは、目を擦りながら此方へ来ている。そして、ちょこんと俺の膝に座った。爆発した髪が、鼻とかに当たってこそばゆい。

「ねぇ、……ひとまずこの髪、直そっか」

「……うぃ……ふぅぁ〜……」

そういうとルナは、洗面台へと向かっていった。……何で、わざわざこっちに来たんだろう。そんなことを思いながら、残っている焼きそばをかけこんだ。


―――――――――――――――――――――――――――



そんなこんなしていると、あっという間に登校時間になった。朝というのは時間が過ぎるのが速い。

「じゃあ、行ってくるよ」

「いってらしゃいませ、マスター」

「……何それ」

「……ふふっ、カッコいい……でしょ……」

「…………まぁ、確かに」

「やっぱり、星歌……センス◎」

「はいはい、じゃ留守宜しくね」

そう言ってドアを、開けて学校へと向かった。



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