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名無しの天使  作者: 逢咲楓
3章 天下楽園
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天下楽園


 あの後、医者に説明するのが大変だった。凄い、驚いていたし、何によりどうやって治したかの、方法を聞かれた時が一番困ったが、幸運な事にその時見舞いに来てくれたのがマコトと雅だった。雅の力で何とかしたーって医者にゴリ押ししたら納得してくれた。凄い険しい顔をしていたけど。協力してくれた2人に、今度牛丼でも奢ってやろう。

 そんな訳で、すぐさま退院し日常生活へと戻ることが出来た。

「ええっと……後は卵と、牛乳……はこの前買ったな。じゃあ、卵だけか」今はスーパーで買い物の最中だ。

卵が、並べられてる所に行くと……何だあれ……おばちゃんたちが、戦争をしていた。よく見ると、一パック200円のタイムセールと書いてある。セールしすぎでは?

卵は、諦めよう。アレの中に、突っ込んでいくのは死を意味するだけだ。そう思い、レジへと向かった。


 スマホが振動する。どうやら、ここらにまた天使が出たらしい。最近になってから、天使の動きが活発になっている。でも、今までの天使とは違い、一般人を襲わず万魔殿や悪魔と契約した人だけを襲う特徴を持っていると噂されている。目にした訳ではないので、真実かどうかは定かではないが。

 それと、フォルムというか色合いも異なるらしい。今までの天使は純白だったが、その特徴を持つ天使は灰色の身体らしい。そうちょうど、目の前にいるような灰色の……。

「え?」

今の声は、自分の人生の中で一番間抜けな声だっただろう。それくらい、驚嘆しか出ない。

「……ヴェー、え?」

天使は、俺に興味も示さずそのまま歩き、他の人間にも、目はくれずに飛び去っていった。

どうやら、あの噂は本物のようだ。一体、何が目的なんだ。


「ただいまー」

「おかえりなさい。今日のご飯は?」

「肉じゃがと、焼き鮭」

「魚!! よし、早く作って。星歌!」

ルナは目を輝かせ、テキパキと準備をしている。魚が、好きな天使なんて中々いないよなぁ。なんて思いながら料理をしていく。予め、肉じゃがはもう作ってあったのでそれを、温めて後は鮭を焼くだけだ。米も炊けてるし、テレビでも見て待っていよう。

 テレビをつけると旅番組をやっていた。何処かの、離島を旅しているらしい。海の綺麗さや、自然の豊かさを、紹介していた。

「いつか、旅したいなぁ……」

それが、いつになるのかは分からないが、世界中を見て回りたい。

「星歌、こういうとこ、いきたいの?」

「そうだね。いつかは行きたいなと思うよ」

「私も、……一緒に連れてってね」

「当たり前だ」

ボッーとそのまま見ていたら、突如画面が、ブラックアウトする。リモコンで、他のチャンネルへ変えようとするも何処の局も黒い画面のまま。

不思議に思い、ネットで検索する。何処のテレビも今同じ状況になっているようだ。それどころか、一部の携帯も黒くなっているらしい。

「……星歌……。くる、よ」

ルナが、そう言った直後、唐突に画面が映った。映った映像には、10人の人がいる。だが、顔や服装なんかはモザイクがかかっている。

「…………ッぁ、―――認識阻害。エフェクトなんかじゃない。あれらは、天使の力を使っている」

「天使って……堕天? じゃあ、彼奴等が?」

テレビの、音声がひとりでに上がっていった。

『やぁ、世界中の皆さん。こうして姿を、現すのは初めてなので、緊張しますが自己紹介を。私達は、天下楽園と申します。以後、どうぞお見知り置きを』

声にも、阻害がかかっているからか、甲高い編集された声に感じる。

『私達の思想は、至ってシンプル「天迎悪滅」です。小さなお子様に分かりやすく言い換えると、天使は味方で悪魔が敵だよって言う考えです。ただ、この思想は中々受け入れてもらえず、私達は堕天等という名で迫害されてきました。それも、これも万魔殿があるから!!』

認識阻害を、解除しようと試みるも、中々解除出来ない。演説を続ける。


『では、本題に。私達の要求それは、万魔殿の破壊です。私達は、それさえ成されればそれで良いのです。無意味に、一般人を殺そうなどとは思っておりません。近頃、灰色の天使が出現したでしょう。あれは、私達が作り出したもので、一般人は、襲わず万魔殿もしくは悪魔に、与する罪人だけを狙うよう設定されております。相対した人は、それを感じたでしょう?良い証拠になると思うのですが……。』

万魔殿の破壊。無理に、決まっているあの組織は、太古の時代から続く怪物だ。

『おっと、そろそろお時間のようです。最後に……私達は、本気です。もし、仮に万魔殿の破壊が、1週間後に果たされなかった場合それ相応の犠牲が出ることを、覚悟してくださいませ』

「ッ!」


ギリギリ、認識阻害の解除に成功したが、その時にはもう映像が切り替わっていた。

「ッはぁ〜、遅かったか〜」

「星歌、あの人間達は、恐らく冠位の天使とつながっている可能性が高い。私の、名を……取り戻せるかもしれない」

名を取り戻す。それが、彼女と契約したとき誓ったこと。その可能性が、高いならば彼らを探ろう。

「天下楽園…………」





「ふぅー流石に、緊張しましたね」

神父のような男が、汗を袖で拭う。

「なぁ、俺たち座ってただけなんだが……いる意味、あったか?」

黒髪の真面目そうな青年が、神父へ問うた。

「ええ、カッコいいじゃないですか! ハイジャックして映った画面に並ぶ10人の戦士……ッくぅーシビレます」

神父は、青年に熱烈にその考えを説くさまを見て、全員が(コイツ、バカだな)と思った。

「どうやら、ボスも満足されてるようですよ。ほら、すんごい頷いてくれてます」

「「「「「「「「「「えぇ……」」」」」」」」」

その2人を、除く9人が全員困惑の表情を浮かべた。




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