悪魔の会議
前方に、光が投射される。そこに、目をやると幾つもの監視カメラの映像が、映し出されている。
「これは、件の集団『天下楽園』。そう思われる者たちの映像だ。見ての通り、奴らは我々の仲間を殺している。既に、その被害は100を超える。早急に対処せねばいけない」
天原龍也が、告げた所で一人の男が立ち上がった。
「でもよぉ、それ日本だけの話ぃだろぉ。俺たちの国には関係なぃ。日本の奴らが、雑魚なだけじゃ?」
赤い髪をした男が、言い放つと彼に賛同する者が現れ始めた。そして、その野次は次第に大きくなって総統に攻撃的に質問を投げかける奴もいた。やれ、日本の怠慢だの、日本のレベルはいつまでも低いだのと、言った野次すらも飛び交っている。
「……うるさいなぁ、……まぁ、いつものことか」
大体、いつもこんな感じで会議をする。流れも大体決まっている。総統が、空気を制し、沈黙を与える。のがいつもの流れだが……。
「どうなんだよぉ、……総統。あんたも日本人だからって、同胞を贔屓してんのか?だから、日本の奴らは弱いんだよ。お前らもそう思うよな!!」
赤い髪の男の周りにいる、2人も賛同している。その内の1人が、「総統って、本当に強いのか?実は、大して強くないんじゃないか。ハハッ」と発言した。
三人が、手を叩いて笑う。総統は、ただ静かに鎮座している。
すると、総統からナニカが伸び、それが先程の男たちに向かっていき、男たち三人は、一瞬にして切り刻まれた。
「まだ、何か言いたいことがあるのなら聞こう」
空気が、締め付けられる。圧倒的力によって。それを、見て野次を飛ばす人間は生粋の馬鹿だけだろう。
静かになってから総統が、話し始めた。
「まず、奴らの戦力。映像から分析した結果、コイツが恐らく『天下楽園』の主力の一つと思われる」
一つの映像へと切り替わると、そこに映っているのは万魔殿のエース部隊を蹂躙する堕天の姿だった。
「顔を特定し、身元は割れている。吉永敦也、34歳独身。身長179cm、血液A型。住所は………。といった、具合だ。奴の住居は、既にもぬけの殻になっており、何処かに逃亡したと見られる」
映像に、目を移し、しばらく見ているとふと違和感を覚える。奴が、それなりの実力を持っていることは間違いないのだろう。だが、それにしてはあまりにも、やられすぎている。それに、殺された万魔殿の顔をよく見ると皆、何か驚きを隠せないような。まるで、誰かが、裏切ったかのような表情をしている。
「…………奴の強さだが、恐らく第2位階もしくは、それ以上と思われる。くれぐれも、注意して吉永を捕獲又は殺害するよう。では、解散」
会議が終わり、私は総統のところへと飛び降りた。
「……どうした、月城。何か、言いたいことでも」
「いやぁ、一応言っておかないとなぁ〜と思って」
私は映像を指差し「不自然だよ。あれはあまりにも」
と総統に話す。
「つまり……?」「裏切り者がいる、と私は考えてるよ」
伝えたい事は、伝えた。その場を去ろうと、踵を返す。
「月城。命令を下す。我が万魔殿に潜む裏切り者を排除せよ」
総統から命令される。後ろに向けて手を振りながら、私はその場を後にした。
♢
「上原が、死んだ。あぁ、あれほどの男が容易く。……やはり、もっと我らの思想、天迎悪滅を広めていかねば!!」
廃虚となった教会に、男の声が木霊する。
それを、耳障りに思ったのか、一人の金髪男が、激昂する。
「うるせぇッ!! 今、ノアールちゃんの歌枠配信なんだよ!! 少し、だまってろ!!」
「それは、…………申し訳ありません」
「チッ!!」スマホへと、意識を落とした。
教会の扉が開き、外に出ていた他のメンバーが帰ってきた。ゴスロリの服に身を包んだ、姉妹が。
「おかえりなさい。って……凄い返り血ですね。さっさと、洗濯と風呂にしてきなさい」
「言われなくても、やるっつーの。こんなもの、何時までも来たくねーよ。バッチィ」
「あたしもー。今日の奴ら、数は多いくせに大した事なかったから疲れた」
2人は、さっさと奥に向かってしまった。
「それにしても、ボス遅いですね。まぁ、あの人の事ですしふらっと来るでしょう。今日は、珍しく幹部が勢揃いですからね」
「えっ……。それまじ?」
「まじですよ。遂に、本格的に動く時が来たのでしょう天下楽園が!!」
「めんどくさ。頑張ってね」少年は、椅子に横になって眠ってしまった。
性格に一癖も二癖も、ある連中だが実力は本物。これに後の残りのメンバーも加われば。
「巨悪を、討つ日まであともう少し」
神父風な男が、教会の扉をバタリと閉めた。




