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名無しの天使  作者: 逢咲楓
2章 出会い
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永劫の再会 3


 朝の光が、カーテンの隙間より差し込み瞼を照らされ、目が覚める。ゆっくりと、意識を覚醒させる。

 ……でも、まだ眠たいので寝ます。再び、眠りへと落ちていった。しょうがない、寒いのだから。毛布の温かさには、勝てないものよ。

 2度目の覚醒。今度こそは、しっかりと起きたかったな。3度寝へと、突入したのだった。


 「……て、……きて……お〜き〜ろ〜〜!!」

だけど、それはどうやら許されないらしい。被っていた毛布と掛け布団を、勢い良く剥がされる。

「うっ…………」

寒さが、押し寄せてくる。それを、逃れようと身体を丸めるも、無意味な抵抗だった。受け入れるしかない、この寒さを。

「……おは、よう……」

「おはよ。……さ、おいで星ちゃん」

菜乃華が腕を、広げて待っている。

「うん……」

寝ぼけた意識のまま、菜乃華の懐にぐたりと、倒れ身を預ける。

あったかくて、優しい花のようにいい匂い、何処か安心できる様な感じだ。

「へへっ……星ちゃん……可愛い……。よしよし」

頭を撫でられ、ふと昔のことが頭をよぎる。

「……かあさ、ん……」

そんな呟きは、菜乃華の胸の内に飲み込まれ消えてゆく。朦朧としていた意識が、次第にくっきりとする。

「……?!?! わ!? ちょッ! は、離して」

「あぁん、もう、……あばれなーいの」

今まで、寝ぼけていたから、何とも思わなかったが、今顔を埋めているこの柔らかな感触は……。羞恥で、顔が段々熱くなっていくのが分かる。今、耳たぶなんかは真っ赤に、染め上がっているだろう。


 こっちが、力で離そうとするとアッチもますます力を込めて離そうとしてくれない。

「…………」

菜乃華が、たまにこういうことをする、理由は、僕を、甘やかしたいらしい。僕を、甘やかして楽しいのだろうか?

こうなった菜乃華は、強情なのでこっちが、折れるしかない。加えていた力を、緩める。それを、感じ取ったのか菜乃華がぎゅっと抱きしめる。

「星ちゃん……」

嬉しいのか、顔をほころばせ笑っている。……まぁ、別に、良いか。……僕を起こしに来たんじゃないのか、とも思ったがそれは言わないほうが良いのだろう。


「ふぅー、星ちゃん成分吸収完了!!」

何だ、その成分。……でも、心なしか肌にツヤが出てきているようにも見える。

「さ、これで良いタイミングじゃないかな」

「タイミング?」

一体、何のことだろう。何かあったっけ?

「星ちゃん、他の子や親と会いたくないでしょ? だから、こうして有意義な時間潰しをしたってわけ」 

「…………」呆然としてしまう。菜乃華が、そんな計算高いことをやるなんて。ここの家では、基本的に家族で食事をとる。それは、昔から続いているある種の様式だ。まぁ、合理主義の多々良になってからは、それも少なくなっていったんだけど。

「さ、食堂に行こっ♪ 今日は、あたしが作るからね〜。期待してよ〜〜」

菜乃華に手を引かれ、僕は食堂へと向かった。


僕の専属の2人は、変わっている。2人とも、凄いのに何でこんなとこに、いるのかが分からない。菜乃華は、顔もスタイルも良いからモデルさんなんかしたほうが良いようにも思えるし。白井は、それこそあの性格だ、起業でもすれば絶対に上手くいく。頭も、良いし義理堅いしね。 

水を、飲みながらそんな事を考える。

「は~い、お待たせ」

どうやら、出来たらしい。何、作ってくれたんだろう、菜乃華は洋食好きだから、それの何かかな?

「えっ……」

目の前に出てきたのは、正方形のパンにたっぷりのハチミツといくつかのフルーツ、その上にアイスクリームが乗っているこれは……。

「じゃ~ん、どう? 結構、自信あんだよねー」

紛れもないハニートーストだった。朝から、これかぁ……。やはり、僕の専属メイドは変わり者だ。……ということは、僕も変わり者ってことだな……。考えないでおこう。それより、目先の課題はこれをどう食すかということだ。

「……いただきます」

意を決して、糖分の海へと飛び込んだ。




「あぁ……コーヒーが飲みたい。うんと、苦いやつが」

あの後、全部食べきった。そこまでは良かったんだが、菜乃華が「はい、おかわりもあるよ♪」って2個目を差し出してきて地獄をみた。

 自室のベッドで、今はゴロゴロしている。今日には、帰るし荷物でもまとめるか。ついでに、本も何冊か持っていこう。適当に、選んだ本をリュックの中に入れ確認を済ませる。 

 今、多分他の子達はあそこだろう。窓から見える場所にある離れ。あそこは、訓練場みたいな場所だ。

実際に、教官みたいな人も居るしね。僕は、別に行かなくても良いかな。

 ドアをノックする音が聞こえる。誰だろう?白井や菜乃華って感じじゃないし……。

「入って、良いよー」

ドアがゆっくりと開く。

「お、お兄ちゃん……。げ、元気?」

顔を覗かせたのは、僕の唯一人の大切な妹――彩奏だった。






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