表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バランス 〜自然は時として牙を剥く〜  作者: 水神朱
内なる力は高きを仰ぎ、外なる力は高きに顕れる
40/49

生徒会

ごめんね。まじで忙しいのよ。

「・・・」


「・・・」


「・・・」


肌がひりつく程の緊張感がその場には流れていた。ある者は鋭い眼光で睨みを効かせながら、ある者はにこやかに笑みをたたえながら、ある者はハラハラと緊張した面持ちで周りを見渡しながら、ある者は状況を楽しむかの如く獰猛な笑いを浮かべながら。性別も、年齢も違う7()()がそこにはいた。



ちょうど、天音海斗と三坂春が屋上にて出会っている時のことである。



「さてと、それじゃあ進学式も終わったことだし今年も()()()()()を始めていこうか。」


そうにこやかに宣言したのは神楽楓。『生徒会長』の札が置かれた、彼らの部屋で最も豪華な椅子に座っている。


「と、その前に二人ほど姿が見えないけど・・・?」


そう言った楓に対し、誰も何も答えない。やがて意を決したかのように『監査委員長』星降歌那が口を開く。



「ほっ・・・『保健委員長』と、『美化委員長』は、進学式が終わった時点ですでに帰られました。・・・進学式であなたの姿がお見えになられなかったので、てっきり本日の会議はないものかと・・・。」


「ああ、そっか。それなら仕方ないね。しょうがない、7人だけど始めようか。」


「待て。」



合点がいったかのようにそう話す楓。いよいよ年度初めの生徒会会議を始めようとしたところで・・・待ったをかける者がいた。


「・・・どうかした、リリ?」



「どうかした?ではないだろう。・・・貴様一体どういうつもりだ。会長挨拶という役目があったにも関わらず進学式を欠席した理由、そして今ここにいる理由、最後に特例で入学させた()()()についてきちんと説明しろ。それが先決であり絶対事項だ。当然、納得のいく説明ができなかった場合、俺はあの者の入学は認めない。」


『副会長』白里リリは鋭い眼光で睨みながら、楓に言い放つ。


その迫力に楓も肩をすくめて思わず苦笑いしたところで・・・再びそこへ割って入る者がいた。


「少々お待ちくださいな。」


声のした方を振り返ると、丁寧にまとめられ積み上げられたいくつもの書類の間から、二人を覗く顔が一つ。その眉は顰められ握る羽根ペンには力が入っている。


「先ほどから聞いておりますに・・・白里さん、あなたの態度は少々行き過ぎているものだという自覚はおありですか?恐れ多くも偉大なる会長に向かってそのような言葉で責め立てるなど・・・常軌を逸しているように思われますが。」



「ククク・・・始まったぞ、『信者の教え』の時間だ。」


「咲良・・・笑い事じゃないですよ・・・!」


その光景を見て面白そうに笑っているのは『会計委員長』仙聚咲良。その横で冷や汗を垂らしている歌那。歌那が冷や汗を垂らすのも当然だ。白里リリから発せられる威圧感がより強大なものへと膨れ上がったのだから。



「・・・貴様には何も聞いていないはずだが?これは俺自身が必要と思ってしていることだ。部外者の貴様に首を突っ込む権利などないと思うのだがな・・・『書記長』よ。」



言葉を返された『書記長』真鈴那月(まりん なつき)もまた、凄みを利かせて立ち上がる。


「部外者とは心外ですね。会長のお言葉に従わない者、その動向に疑問を持ち疑う者、それらは会長の生徒会の秩序を乱す要因になりかねません。我々生徒会役員は、会長のご意向のままに手足となって動く存在。それを妨げる者は生徒会にはいらないし、その者を排除するのが私の役目。故に私は部外者ではないのですよ。」


「貴様の意味の分からない考えを押し付けるな。気味が悪い。それに、真に此奴のことを思うのであればおかしいと思ったことは素直に伝えるべきではないのか?」


「それがそもそもの間違いです。会長の行動は常に最善、故におかしいと思う必要など一切ありません。傲慢不遜な態度を改めなさい『副会長』。」


止まらない舌戦。それを見る仙聚咲良の目もまた、爛々と輝いている。


「フフ・・・クククク・・・笑いが止まらないな。久々に奴の『教え』を聞いたが・・・。やはりイカれているな・・・クク。人にそこまで心酔できるのも面白いものだ。」


「咲良さん・・・あなたという人は・・・。」


そしてそんな友人の様子を隣で見守る歌那の目は、呆れ果てていた。歌那からしてみたらこのような一触即発の状態を、酒のつまみにでもするかの如く面白がっている咲良もまた、「イカれている」部類に入っている。




「ま、そこまでにしておきなよ。那月。庇ってくれるのは嬉しいけど今回のは流石に僕の説明が足りなかったからさ。」


だがここで、楓が二人を制す。このままではいつまで経っても埒が明かないと思ったのだろう。


「さて、さっきの質問だけど・・・。まず簡単に説明できるところからいこうか。海斗・・・特例で入学させたあの子については、彼は僕の一番弟子だ。」


「その特権でAクラスに編入させたと?」


「いや、彼はちゃんと実力を備えているよ。『観測器(analysis)』がAクラスと判定した、と言えば確かかな?疑うなら(すい)に聞いてみるといい。」


「校長に・・・?あの人もその場に立ちあったと?」


「うん、そうだね。ああそれに、歌那も彼の実力について説明できるはずだ。」



突如として自らに矛先が向いた歌那はビクッとして周りを見渡す。


「彼をどこかで見た、と?」


リリの鋭い眼光に気圧されながらも、歌那は話し出した。


「あの・・・一度だけです。ですが、彼に実力があるというのは確かかと。」


「何故?」


「彼の・・・天力(エーテルギフト)が明確に発現したのはおよそ1ヶ月ほど前です。にも関わらずAランクの判定を受けている。これは彼の成長速度が尋常ではないことを示している証拠です。」


「1ヶ月ですでにある程度天力を扱いこなせるようになっているということか?ありえないな。益々興味が湧くじゃないか。」


そう発言したのは咲良。他の面々も、天力が発現してからたった1ヶ月でAランクの判定を受けているという事実に驚きを隠せない表情をしている。


「それに彼は、天力が発現する前からすでに己の体術のみでBランク蝕食を追い詰めることができていました。それは私が見て確認しています。」




「・・・なるほど。確かに実力は十分過ぎるほど備えているようだな。」


「良い人材見つけたでしょ?」


「黙れ。」


ひとまず特例入学者の件については納得したとでも言うように頷いたリリ。


問答は後半戦へと突入していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ