新クラス!
はい。やることが山積みですね。ええ。休んでいる時間はありません。
「なあ、おい聞こえてんのか?」
「なんか喋れよー。」
「名前はっ!?なんて言うの??」
「天力は何?」
「どうやって中等部すっ飛ばせたんだ?」
「お前ほんとにAランクの実力あんのかよ。」
「なあ、おい聞こえてる?ほんとに耳聞こえないとかじゃないよな?」
「なんか喋ってー。」
五月蝿い。とてもとてもやかましい。
進学式が終わって、俺はA−1クラスだったから自分のクラスまで行ったんだ。ちなみにAランクのクラスはA−1クラスからA−3クラスまでの3クラス。一クラス15人だから、広い教室に対して密度は小さい。
で、教室について自分の席に荷物を置いて座ってたんだ。姓名順の席だったから、俺は一番前の角っこだったんだけど。早く帰りたいなーなんてことを思いながらぼーっとしてた。それでしばらく経ってなんか周りがガヤガヤしてるなーと思ったら、俺の机は囲まれてたって訳だ。
そして、今に繋がる。
「お口あります?喋れますか?」
「いや、どう見ても口はあるだろ。さっき『・・・はぁ、聞いてますけど』・・・ってボソッと言ってたし。全然喋ってたぞ。お前の方が聞いてないじゃん。」
「いや今のはそういうジョークっていうか・・・。」
「こいつにはそういうの通じないだろ。」
もはや俺に関係のない話までしている。
「だからぁ、とっとと実力見せてくださいよって言ってんの。Aクラスに高等部から編入なんて聞いたことねぇし。当然、3年間中等部でしっかりと学んできた俺らよりもすごいってことだよなぁ?」
「正直に言いなよ。どんなコネを使ったわけ?」
ただ単に、編入してきた形の俺に興味を持っているだけの奴もいるにはいるみたいだが、大多数は俺への疑問・疑心・敵意で溢れた顔をしている。まあ分からないこともない。
楓さんに聞いたんだけど、高等部に上がるときに俺も使った『観測器』とやらで初めて自分の等級が分かるらしい。それまでは自分の天力の詳細しか知らされていないんだと。中等部3年間の学びで実力はいくらでも変動するから、その期間に等級を出しても無駄なんだってさ。
だけど、Aクラスに振り分けられる・・・つまりはAランクを与えられてるってことは、この人たちの大多数が中等部で成績上位者だったに違いない。当然、自分の力に絶対的なプライドを持っていることだろう。そんな彼らにとってAクラスに振り分けられるってことは、当たり前のことなのかもしれないけど相当に嬉しいことでもあったはずだ。
ところが、そんな中に俺が急に現れた。中等部を経ていない特例で、しかもAクラスに配属されたとなったんだから、周りのこいつらはそれはそれは面白くないだろう。自分の方が上だと信じているが故に俺の実力を疑うし、敵意を丸出しにする。分からなくはないよ。分からなくはないんだけどさ・・・。
「・・・・・・・・・・・・めんどくさ。」
「はあ!?今なんて言ったの!?」
「良い態度してんなぁ?」
「だったら早く実力を見せれば良いだけだよな?」
俺の言葉を聞いた周りがギャイギャイと騒ぎ出す。
「そこら辺にしとけ、お前ら。」
だけどそんな中で一つの声が響いた。
周りがピタッと話をやめて声のした方を見る。俺もそちらを見ると、A−1クラスの入り口に荷物を持ったまま立っている男子がこちらをじっと見ていた。
「千堂・・・。」
「千堂だ・・・。」
「A−1クラスなのか・・・。」
ん?うーん・・・?
「・・・・・・・・・誰?」
そう言うと、周りが驚いたようにこちらを見た。
「千堂竜星。今年度の進学生代表だ。さっき進学式で代表挨拶してたろ。」
周りを囲んでいた生徒の一人が教えてくれた。進学式の代表挨拶・・・・・・興味なさすぎて進学式自体なんも聞いてなかったから分からん・・・。というか、進学生代表ってことは・・・
「中等部を首席で卒業。毎回の戦闘訓練では常に上位を獲り続けていて、優勝経験が一番多い男。こと戦闘においては、対蝕食要員として俺たちの代ではトップだ。」
へー・・・めっちゃすげーな。
「・・・で、そんな首席サマが一体なんの様でしょうか?」
さっきから実力を見せろと一番うるさかったやつが、敵意たっぷりの顔で千堂・・・くん?にそう聞いた。あいつ全員に牙を剥かないと気が済まないとかそういうタイプのやつなのか?
「・・・そう騒ぎ立てるな、と言っているんだ。特例の編入だったとしても、この学園が認めたなら俺たちが文句を言うのはお門違いだろう。俺たちは学園の判断に従えば良い。」
「だけどよ、なんでAクラスに入ってこれるんだよ。俺たちは今まで努力し続けて・・・」
「実力を見せてみろと言うのは勝手かもしれないが、実力を見てもいないのにAクラス関連のことで文句を言ってもしょうがないだろうに。お前たちの言葉には自分の実力への絶対的な自信と、彼をAクラスから追い出そうとする意図が見え過ぎているぞ。」
俺、千堂のことめっちゃ好きかもしれん。めちゃくちゃ良いこと言うじゃん。
「・・・でもさあ、」
「どうしても実力を見たいと言うのなら・・・安心しろ。一週間後には『学級長決定戦』が始まるからな。そこで彼がAクラスに相応しいかどうかがはっきりするというものだ。」
「あ、そっか。」
「それもそうだ。」
・・・ん?学級長決定戦・・・?なんだそれ?
「おい、そこの編入生。」
「あ、はい。なんですか?」
「今はまだ何も分かっていないから、“疑わしきは罰せず”の信念で庇ってやったが、もし一週間後から始まる学級長決定戦においてお前の実力がAランクに達していないことが分かった場合・・・・・・あいつらの言うとおり、Aクラスからは出ていってもらうからな。」
あ、駄目だ。やっぱり俺こいつのこと嫌いかもしれん。




