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バランス 〜自然は時として牙を剥く〜  作者: 水神朱
眠れる獅子よ、いざ吠えろ
33/49

真の武器

ほいほーい


日曜、楽しんでるぅ〜?

「・・・で、なんで置いてあるんですか?楓さんが使うんですか?」


大量のA.S.T(アステ)を前に俺は問いかける。


「まあ、僕も使うし・・・みんなも使う、かな。」


「みんなっていうのは、使用人さんたちのことですか?」


「そうだね。基本的に彼らは天力(エーテルギフト)を授かっていない人たちが大半だ。・・・・・・まあ一部例外はいるけど。」


「・・・・・・(なつめ)さん。」


「あ、でも彼女にはある理由から天力を使()()()()()()()()と言ってあるから、みんなと同じか。」



んん?


「使ってはいけない・・・・・・何故です?」


だから俺との対戦の時も使わないって言ったのか・・・?ある理由ってなんだ?


「まあ、それは追々と・・・・・・ね。」



濁された。


「ともかく、彼らは自力での戦闘手段をあまり持たないんだ。海斗のように武術を教えている子たちも何人かいるんだけど・・・まあ、戦闘手段は多いに越したことはない、だろう?」


「はぁ・・・・そうかもしれませんね。」


「ってことで置いてあるのさ。いざって時に戦えるように。」


「・・・・・・え、使用人さんたちのためにわざわざ特注品を作らせたんですか!?」


え、待って・・・・・・・・・・・・・国家権力??



「どうせなら、量産品なんかよりも自分に合った武器を使う方が良いだろう?それに彼らだけじゃない。さっき言った通り、僕も使うものだからね。僕は自分の武器とかには手を抜かないタイプなんだ。」


「え、でも楓さんには天力があるじゃないですか。A.S.Tを使う必要はないのでは?」



そう聞くと、楓さんは苦笑いした。


「うーんと・・・・・・僕は気軽に天力を使っちゃいけない立場にあるというか・・・。本来、僕は天力を使う前に政府に許可を取らなくちゃいけなくてね。」



はて?政府?許可?どういうことだ?


「立場・・・?でも、楓さん結構な頻度で使ってたじゃないですか。政府?に許可取ってるような様子もありませんでしたけど・・・。」


「あれは・・・・・・・・ははは。」


んー??


「えっ・・・・・・その、もしかしてですけど・・・・・。許可取らなきゃいけないのに、無許可で使ってた・・・?」



まさか、ね・・・。ははは。





「・・・・・・いやー・・・・・・仕方なかったし?」




まじかこの人。







天力を使うのに政府の許可が必要・・・?なんかそんな制限のある人たちの話を前に聞いたような。なんだっけ・・・?というか楓さんは「個人」として政府に認識されてるってことか・・・?特注品のA.S.Tの件といい、まじで何者??



「・・・・・・・ハァ。あんま気にしないようにしよ。と言うかこれ、考えるだけ無駄か。」


「海斗?声に出てるよ?」



おっと。





「で、なんで俺をここに連れてきたんです?ただA.S.Tを見せたかったって訳でもないですよね?」


いや、それだったら帰るけど。疲れたし。


「さすが海斗。察しが良いね。海斗をここに連れてきたのは、君にも選んでもらうためさ。」



「選ぶって・・・・・・え、A.S.Tをですか?この中から?」


え、いる?正直いらなくないか?


「違う違う、ここにあるのは全部持ち主が決まっているA.S.Tだ。あとそんな顔しない。さっきも言っただろう?戦闘手段は多いに越したことはないって。」



まあ・・・・・・そうなのか?



「じゃあ、選ぶって何を選ぶんですか?」



「簡単にいうと、武器種だね。刃物、銃器とか色々ある中から、君が使いたい武器種を選ぶんだ。ちなみに僕が海斗にお勧めするのはグローブ系だね。」


「グローブ系?・・・・・・・武器なんですか、それ?」


「要は手とかに装着する打撃系の武器ってことさ。海斗は【拳魂武術(けんこんぶじゅつ)】を高いレベルで収めている。だけど今はまだただの殴りとか蹴りだ。そこでA.S.Tを使えば、蝕食の弱点たるエーテルの力も含まれることになる。今の戦闘スタイルに合っていて良いと思うよ。」



なるほど。・・・・・・・けどなぁ。



「うーん・・・・・・。なんか微妙な感じがするんですよね。確かに合ってるとは思うから、それも欲しいんですけど・・・。もっと別のスタイルを試してみたいっていうか。正直、俺の今の武術だと自分の体にも高確率で傷がつくじゃないですか。まあ当然ですよね、自分の体を武器にしてるんですから。・・・・・・ただ痛いんですよ。せっかく『武器』を選べるなら、道具たる『武器』にしたいんですよね。」



いや、楓さんのいう通りグローブ系?の、エーテルを扱えるA.S.Tを手に入れたら、拳魂武術はより蝕食に対して有効打となり得るのは間違いない。ただなぁ・・・・・・。と思っていると



「なるほど。確かに一理あるね。じゃあどうする?銃とかの遠距離系を試してみる?」



と、納得したといった顔で楓さんがそう聞いてきた。


「うーん・・・。難しいんですよね、武器種って言われても。・・・・・・参考までに聞きたいんですけど、他の人はどんなの使ってるんですか?」


いや、銃とか剣とか使ったこともないものを決めるのって難しいよな。




「そうだね・・・・・・。僕はさっき言った通り、『晴桜(ハレザクラ)』『雨百合(アマユリ)』『空風菊(カラカゼギグ)』『雪椿(ユキツバキ)』の四つを使ってる。」


そう言って楓さんが指したのは、特に厳重そうなケースに入っている4つの武器。


桃色の刀身を光らせた日本刀、薄水色の長銃、翠玉色の大薙刀、銀白色に輝く・・・杖?


恐らく色からして、順に「晴桜」、「雨百合」、「空風菊」、「雪椿」で間違いないと思うけど・・・。



「『雪椿』はエーテルの流れを記憶する性質を持っていてね。過去に直面したエーテルの流れをそのまま引き出すことができるから、まるで魔法使いのように火や水を出せるんだ。」


んん?でもそれって・・・


「俺でもできますよ?っていうか、楓さんもできるんじゃないですか?」


「うん、まあそれならできるね。」


「じゃあわざわざ使う意味が無くないですか?」



そう言うと、楓さんは意味深に笑って言葉を続けた。


「違う違う。勘違いしているよ、海斗。エーテルの流れを記憶できる・・・・・・。それはつまり、過去に『雪椿』が出会ったエーテルに干渉した全ての技を、再現できるということさ。自分の技も・・・・・・・他者の技も。」





「はああああ!?!?」


待て待て待て、



「え、じゃあ例えば、『雪椿』を楓さんが持っている時に、俺が天力(エーテルギフト)で攻撃したとしたら・・・・・・」


「その攻撃は再現できる。・・・・・・・永遠にね。」



ぶっ壊れすぎだ。

いやいやいやいやいや・・・・・・・ええ・・・?


最高級「国家指定級(デストロイランク)」の名を与えられているのは伊達じゃないのか・・・。



「ま、僕が普段持ち歩いているのは『晴桜』なんだけどね。・・・・・・まあ、僕のは大体こんな感じだ。あと三つの説明は・・・・・追々してくよ。」


あ、また濁した。

いやでもあと三つも「雪椿」と同列の国家指定級と考えると・・・・・・恐ろしい。



というか、武器種多彩すぎて全然参考にならん!!



「あの・・・他の人とかは・・・?」




「・・・・・・ふふ、確かに僕のは武器種が多彩すぎて参考にならないね。」


俺って顔に出やすいのか?



「そうだな・・・。例えば棗はこれを専用に使ってるね。」


そう言った楓さんが指さしたのは・・・



「壁・・・?ああ、いや・・・・タワーシールド?」


だいぶ大きい盾だった。


「名を『護盾(まもりたて)』と言ってね。」


・・・・・・・・・・・・・・いやまんまじゃん。名前とか、スタイルとか、色々と・・・。

ネーミングセンスどうした。



「棗は自分の武術のスタイルに合わせたA.S.Tが良いって言ってね。これを作らせたんだ。」


え、まじで防御に専念してんの?



「あ、ちなみにそれエーテルの扱いようによっては、盾の外周とか表面から斬撃が飛んでくらしいよ。」


何それ、こわい。盾だよね?攻撃能力追加しちゃダメじゃない??





「あとは・・・・・・ああ、草加部さんはこれだね。」


そう言った楓さんが指したのは・・・・・・弓?


「『那須三矢(なすのみつや)』と言ってね・・・。エーテルを矢として飛ばすことができるんだけど、ホーミング性能持ちな上に、三つに分かれる。つまり、一射で同時に三体を狙える代物だ。」


いや、ぶっ壊れ。やばすぎ。





「どう?大体決まった?別に一個じゃ無くても良いんだよ、僕だって4つ持ってバリエーションを持たせてあるし、棗や草加部さんも他にもA.S.Tを持ってる。代表的なものを紹介しただけでね。」


うーん・・・・。


「じゃあ・・・とりあえずグローブ系?ガントレット?は確定として・・・・・・剣が欲しいです。」



「剣・・・?刀じゃなくて?理由は?」


不思議そうな顔で楓さんが聞いてくる。


・・・いや、日本人だからって刀を選ぶってことはないと思いますよ?



「そうですね・・・。自分は防御って柄じゃないし、性格的に遠距離が得意なタイプでもない。それだったら、今使える近距離に加えて、中距離での戦闘方法も手に入れたいな、と。あと刀よりも剣の方が両刃な分、戦いやすいかなと思って。」


「なるほどね・・・・。分かった、とりあえずその二つを上手く作らせておこう。」


そう簡単に特注品を作らせれるのがすごいよなぁ・・・・・。




「で、そうと決まったら海斗には剣術も会得してもらわないとね。まぁ、訓練はいくらやっても無駄なことはないさ。しっかり教えていこう。」


「はーい・・・・。」

殺意マシマシ


ちなみに棗さんと草加部さんの紹介されたA.S.Tは、どちらも規格外級(イレギュラーランク)ですね。はい。


世界に4つしかない、対蝕食専用武器の最高級品を4つとも持ってるかつ扱えてる楓さんがおかしいだけで、規格外級(イレギュラーランク)を扱えてる二人も普通におかしいのです。

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