真の武器
ほいほーい
日曜、楽しんでるぅ〜?
「・・・で、なんで置いてあるんですか?楓さんが使うんですか?」
大量のA.S.Tを前に俺は問いかける。
「まあ、僕も使うし・・・みんなも使う、かな。」
「みんなっていうのは、使用人さんたちのことですか?」
「そうだね。基本的に彼らは天力を授かっていない人たちが大半だ。・・・・・・まあ一部例外はいるけど。」
「・・・・・・棗さん。」
「あ、でも彼女にはある理由から天力を使ってはいけないと言ってあるから、みんなと同じか。」
んん?
「使ってはいけない・・・・・・何故です?」
だから俺との対戦の時も使わないって言ったのか・・・?ある理由ってなんだ?
「まあ、それは追々と・・・・・・ね。」
濁された。
「ともかく、彼らは自力での戦闘手段をあまり持たないんだ。海斗のように武術を教えている子たちも何人かいるんだけど・・・まあ、戦闘手段は多いに越したことはない、だろう?」
「はぁ・・・・そうかもしれませんね。」
「ってことで置いてあるのさ。いざって時に戦えるように。」
「・・・・・・え、使用人さんたちのためにわざわざ特注品を作らせたんですか!?」
え、待って・・・・・・・・・・・・・国家権力??
「どうせなら、量産品なんかよりも自分に合った武器を使う方が良いだろう?それに彼らだけじゃない。さっき言った通り、僕も使うものだからね。僕は自分の武器とかには手を抜かないタイプなんだ。」
「え、でも楓さんには天力があるじゃないですか。A.S.Tを使う必要はないのでは?」
そう聞くと、楓さんは苦笑いした。
「うーんと・・・・・・僕は気軽に天力を使っちゃいけない立場にあるというか・・・。本来、僕は天力を使う前に政府に許可を取らなくちゃいけなくてね。」
はて?政府?許可?どういうことだ?
「立場・・・?でも、楓さん結構な頻度で使ってたじゃないですか。政府?に許可取ってるような様子もありませんでしたけど・・・。」
「あれは・・・・・・・・ははは。」
んー??
「えっ・・・・・・その、もしかしてですけど・・・・・。許可取らなきゃいけないのに、無許可で使ってた・・・?」
まさか、ね・・・。ははは。
「・・・・・・いやー・・・・・・仕方なかったし?」
まじかこの人。
天力を使うのに政府の許可が必要・・・?なんかそんな制限のある人たちの話を前に聞いたような。なんだっけ・・・?というか楓さんは「個人」として政府に認識されてるってことか・・・?特注品のA.S.Tの件といい、まじで何者??
「・・・・・・・ハァ。あんま気にしないようにしよ。と言うかこれ、考えるだけ無駄か。」
「海斗?声に出てるよ?」
おっと。
「で、なんで俺をここに連れてきたんです?ただA.S.Tを見せたかったって訳でもないですよね?」
いや、それだったら帰るけど。疲れたし。
「さすが海斗。察しが良いね。海斗をここに連れてきたのは、君にも選んでもらうためさ。」
「選ぶって・・・・・・え、A.S.Tをですか?この中から?」
え、いる?正直いらなくないか?
「違う違う、ここにあるのは全部持ち主が決まっているA.S.Tだ。あとそんな顔しない。さっきも言っただろう?戦闘手段は多いに越したことはないって。」
まあ・・・・・・そうなのか?
「じゃあ、選ぶって何を選ぶんですか?」
「簡単にいうと、武器種だね。刃物、銃器とか色々ある中から、君が使いたい武器種を選ぶんだ。ちなみに僕が海斗にお勧めするのはグローブ系だね。」
「グローブ系?・・・・・・・武器なんですか、それ?」
「要は手とかに装着する打撃系の武器ってことさ。海斗は【拳魂武術】を高いレベルで収めている。だけど今はまだただの殴りとか蹴りだ。そこでA.S.Tを使えば、蝕食の弱点たるエーテルの力も含まれることになる。今の戦闘スタイルに合っていて良いと思うよ。」
なるほど。・・・・・・・けどなぁ。
「うーん・・・・・・。なんか微妙な感じがするんですよね。確かに合ってるとは思うから、それも欲しいんですけど・・・。もっと別のスタイルを試してみたいっていうか。正直、俺の今の武術だと自分の体にも高確率で傷がつくじゃないですか。まあ当然ですよね、自分の体を武器にしてるんですから。・・・・・・ただ痛いんですよ。せっかく『武器』を選べるなら、道具たる『武器』にしたいんですよね。」
いや、楓さんのいう通りグローブ系?の、エーテルを扱えるA.S.Tを手に入れたら、拳魂武術はより蝕食に対して有効打となり得るのは間違いない。ただなぁ・・・・・・。と思っていると
「なるほど。確かに一理あるね。じゃあどうする?銃とかの遠距離系を試してみる?」
と、納得したといった顔で楓さんがそう聞いてきた。
「うーん・・・。難しいんですよね、武器種って言われても。・・・・・・参考までに聞きたいんですけど、他の人はどんなの使ってるんですか?」
いや、銃とか剣とか使ったこともないものを決めるのって難しいよな。
「そうだね・・・・・・。僕はさっき言った通り、『晴桜』『雨百合』『空風菊』『雪椿』の四つを使ってる。」
そう言って楓さんが指したのは、特に厳重そうなケースに入っている4つの武器。
桃色の刀身を光らせた日本刀、薄水色の長銃、翠玉色の大薙刀、銀白色に輝く・・・杖?
恐らく色からして、順に「晴桜」、「雨百合」、「空風菊」、「雪椿」で間違いないと思うけど・・・。
「『雪椿』はエーテルの流れを記憶する性質を持っていてね。過去に直面したエーテルの流れをそのまま引き出すことができるから、まるで魔法使いのように火や水を出せるんだ。」
んん?でもそれって・・・
「俺でもできますよ?っていうか、楓さんもできるんじゃないですか?」
「うん、まあそれならできるね。」
「じゃあわざわざ使う意味が無くないですか?」
そう言うと、楓さんは意味深に笑って言葉を続けた。
「違う違う。勘違いしているよ、海斗。エーテルの流れを記憶できる・・・・・・。それはつまり、過去に『雪椿』が出会ったエーテルに干渉した全ての技を、再現できるということさ。自分の技も・・・・・・・他者の技も。」
は
「はああああ!?!?」
待て待て待て、
「え、じゃあ例えば、『雪椿』を楓さんが持っている時に、俺が天力で攻撃したとしたら・・・・・・」
「その攻撃は再現できる。・・・・・・・永遠にね。」
ぶっ壊れすぎだ。
いやいやいやいやいや・・・・・・・ええ・・・?
最高級「国家指定級」の名を与えられているのは伊達じゃないのか・・・。
「ま、僕が普段持ち歩いているのは『晴桜』なんだけどね。・・・・・・まあ、僕のは大体こんな感じだ。あと三つの説明は・・・・・追々してくよ。」
あ、また濁した。
いやでもあと三つも「雪椿」と同列の国家指定級と考えると・・・・・・恐ろしい。
というか、武器種多彩すぎて全然参考にならん!!
「あの・・・他の人とかは・・・?」
「・・・・・・ふふ、確かに僕のは武器種が多彩すぎて参考にならないね。」
俺って顔に出やすいのか?
「そうだな・・・。例えば棗はこれを専用に使ってるね。」
そう言った楓さんが指さしたのは・・・
「壁・・・?ああ、いや・・・・タワーシールド?」
だいぶ大きい盾だった。
「名を『護盾』と言ってね。」
・・・・・・・・・・・・・・いやまんまじゃん。名前とか、スタイルとか、色々と・・・。
ネーミングセンスどうした。
「棗は自分の武術のスタイルに合わせたA.S.Tが良いって言ってね。これを作らせたんだ。」
え、まじで防御に専念してんの?
「あ、ちなみにそれエーテルの扱いようによっては、盾の外周とか表面から斬撃が飛んでくらしいよ。」
何それ、こわい。盾だよね?攻撃能力追加しちゃダメじゃない??
「あとは・・・・・・ああ、草加部さんはこれだね。」
そう言った楓さんが指したのは・・・・・・弓?
「『那須三矢』と言ってね・・・。エーテルを矢として飛ばすことができるんだけど、ホーミング性能持ちな上に、三つに分かれる。つまり、一射で同時に三体を狙える代物だ。」
いや、ぶっ壊れ。やばすぎ。
「どう?大体決まった?別に一個じゃ無くても良いんだよ、僕だって4つ持ってバリエーションを持たせてあるし、棗や草加部さんも他にもA.S.Tを持ってる。代表的なものを紹介しただけでね。」
うーん・・・・。
「じゃあ・・・とりあえずグローブ系?ガントレット?は確定として・・・・・・剣が欲しいです。」
「剣・・・?刀じゃなくて?理由は?」
不思議そうな顔で楓さんが聞いてくる。
・・・いや、日本人だからって刀を選ぶってことはないと思いますよ?
「そうですね・・・。自分は防御って柄じゃないし、性格的に遠距離が得意なタイプでもない。それだったら、今使える近距離に加えて、中距離での戦闘方法も手に入れたいな、と。あと刀よりも剣の方が両刃な分、戦いやすいかなと思って。」
「なるほどね・・・・。分かった、とりあえずその二つを上手く作らせておこう。」
そう簡単に特注品を作らせれるのがすごいよなぁ・・・・・。
「で、そうと決まったら海斗には剣術も会得してもらわないとね。まぁ、訓練はいくらやっても無駄なことはないさ。しっかり教えていこう。」
「はーい・・・・。」
殺意マシマシ
ちなみに棗さんと草加部さんの紹介されたA.S.Tは、どちらも規格外級ですね。はい。
世界に4つしかない、対蝕食専用武器の最高級品を4つとも持ってるかつ扱えてる楓さんがおかしいだけで、規格外級を扱えてる二人も普通におかしいのです。




