神楽総本家
いえーいまたテストだぁ↑
「ん〜〜・・・・・ふぅ〜〜。やっと着いた!」
長野からひたすら歩くこと47時間。
俺たちは目的の地に着いていた。
「・・・・・・いやなんで歩いた!?」
長野から東京まで歩くとか、バカじゃないの?もう足が棒なんだけど。
「しょうがないだろう?僕はともかく、海斗は公共交通機関を利用できなかったんだから。」
「いや途中で服買い替えましたよね!?」
そう、長野を出た当初は俺の服がボロボロで血まみれだったこともあり、公共交通機関を利用するのはまずいという判断をした。・・・・・・え?パフェの店?あそこは楓さんの顔見知り店だからセーフ。
まあとにかく、そこまでは良い。
問題はそこからだ。途中で寄った服屋で(俺は入らず外で待ってるだけだったが)楓さんが買ってくれた新品の服を身につけたのだから、いよいよ電車とかタクシーとかを利用するもんだと思っていたら、そのまま歩き続けて、結局二日もかけて目的地であるここ東京に到着したのだ。
楓さんは色々と理由つけてたり、「これも運動だよ」なんて言っていたりしたが・・・
「・・・・・・楓さん。」
「なんだい?」
「・・・・・・・・・そんなにお金、ないんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・バレた?」
やっぱり。絶対これだと思ったよ。
「いや、乗れるは乗れるんだよ?流石にある程度のお金は残っているさ。・・・・・・ただもったいなくてね。歩いて行けるんだから、歩いて行けば良くないかい?」
「・・・・・・ケチ。」
「なんだって?」
ここまでケチとは思わなかったよ。まあ、色々とお金を使ってもらっている俺が言えることでもないとは思うけどさ。楓さん自身は疲れないんだろうか。
「・・・・・・・ところで、さっきからずっとこの塀沿いに歩いてますけど、すごく長いですね。」
そう、かれこれ15分以上は塀沿いを歩いている。
「ふふ。もうすぐだよ。」
楓さんが微笑んでそう告げてからおよそ5分後、やっと終わった直線の塀に沿って左に曲がった俺の目に飛び込んで来たのは・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・え?でっか・・・。」
そう、めちゃくちゃデカい門だった。
あまりの大きさに言葉に詰まっている俺に、楓さんが声をかけてきた。
「お疲れ様。やっと着いたね。」
「え?着いたって・・・。」
「そう、ここが目的地だよ。」
「え?・・・え?じゃ、じゃあまさかここが?」
意味することに気づいてしどろもどろになった俺に、楓さんが微笑んで伝えた。
「ようこそ、海斗。神楽総本家・・・・・・通称、神楽邸へ。」
もう何がなんだか分からない。
楓さんって実はすごい人だったのか?
ギギィ!と重厚そうな音を立てて開けられた門をくぐり、柄の内の庭を楓さんに付いて歩きながら俺はぼんやりと思った。今俺たちが歩いているこの庭も、庭というよりは国立公園とでも言ったほうが良いレベルの広さだ。その中には様々な木々や植物が生えていて、池や建物も数多く見える。
そしてぱっと見で見える中でも、最も大きい屋敷へと俺たちが向かっているということから、俺は今すぐにでも目を逸らしたい。あんなに豪勢なところには入りたくなさすぎる。
だけどそんな俺の思いとは裏腹にどんどんとその屋敷に近づいていって・・・。
「第一邸。普段ここにいる時に僕が生活している屋敷だよ。他にも第五邸までの屋敷と、倉庫とか施設とかの建物がたくさんあるんだけど、全体としてこの敷地内で最も大きい建築物かな。」
ガチャリ、と音を立てながら楓さんが扉を開けた時、俺は観念して目を瞑った。
「「「「お帰りなさいませ、楓さま。」」」」
・・・・・・否、開け放ったとともに目に飛び込んできた豪華な装飾と、何十人もの人々がずらっと整列し、俺たちに・・・楓さんに頭を下げてこう言っていた光景により、目を瞑れなかった。
これ・・・もしかしなくても使用人ってやつだよね?
え?何十人もいるんだけど。どんだけ金持ちなの一体。
「・・・驚いたな。帰るなんて一言も言ってなかったはずなんだけど。」
めちゃくちゃ驚いて声も出せなくなった俺と、何故かは分からないけど同じように顔に驚きを隠せないでいる楓さんが、双方ともに固まってから数秒後。ゆっくりと楓さんがそう言った。
「我々は楓様の召使いでございますから。」
それに対し、多分一番ベテランそうな風格のあるお爺さんが少し自慢げに返した。絶対この人有能な人だよ。それこそ使用人たちの中でも高い地位に就いてそうな・・・。一番前にいるし。
「冗談はよしてほしいな。どうせ春華とかから連絡来たんだろう?」
だが一方で落ち着きを取り戻した楓さんがふっと笑いながらそう返した。
・・・俺?未だ固まり中ですけど何か?
「おやおや。面白味のない主人でございますな。」
うん、やっぱり自分の仕えている主人に対して結構ズバッと言えるあのお爺さんは絶対ベテランだ。
というか今の会話の流れ的に春華さんが教えたのか。楓さんが帰るってこと。
「ふふ。僕に隠し事は通用しないさ。・・・・・・まあとにかく、出迎えありがとう。ここに帰ってくるのは9ヶ月ぶりかな?流石にちょっと疲れたから自室に戻るよ。」
「お食事の準備はいつでも出来ております。楓さまの部屋も、外出中常に掃除しておりましたので、問題なくお使いになられるかと思われますよ。」
「ありがとう。さ、海斗行くよ。」
なんだか「主人」と「召使い」って会話だなぁ・・・・・・え?
「え、行くってどこに?」
俺がそう尋ねると、楓さんは一瞬不思議そうな顔をして
「決まってるじゃないか。君の部屋だよ。荷物おかなきゃだろう?」
・・・・・・は?
「俺の部屋って・・・・・・え?」
まさか。
「あー言ってなかったっけ。今日から海斗にはここで住んでもらうから。」
は。
「はぁぁぁぁぁぁああああ!?!?!?!?」
絶対優秀やんあの爺さん・・・・・・。
でも使用人長?ってか楓さんに仕える中で一番偉いのはあの爺さんじゃないんだな、これが。




