表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バランス 〜自然は時として牙を剥く〜  作者: 水神朱
眠れる獅子よ、いざ吠えろ
17/49

戦う意味 拾肆

なぜにこんな間が空いたの??

→リアルが忙しいんや。

「シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!」


「ゴァァァァ!?!?!?」


「・・・!くっ・・・・・・!!!」


大質量同士の激突。片や200mに届きそうな体躯を振り回し、欠損した箇所を庇うことなく猛攻を仕掛けるBランク蝕食。片や200mを悠に越した体躯を用いて、万全な身体が傷つくことなどあり得ないといったように着々と攻撃をしていくAランク蝕食。どちらが有利かなど言うまでもない。そして、その大質量同士の激突は周囲にも多大なる影響を与える。



避ける。逃げる。

飛び散る木々や岩岩の残骸から身を守るために、親子を庇いながらひたすら避ける。もう隠れる場所もないほどに更地となり、されど未だ山肌を抉り続けている蝕食たちから俺は逃げ続けている。












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故?











攻撃の余波で生まれた破片を避ける必要などないだろう。

だってどう足掻いても俺たちが生き残れる訳がないのだから。


傷付いた身体を無理矢理にでも引きずってまで奴らから逃げる必要などないだろう。

だって俺は、俺たちは、結局のところ奴らから逃げ切れる訳がないのだから。




諦めて。卑屈になって。思考は絶望で埋まって。

俺は今までそんなことになったことが無かったから、そうなってしまう人間のことは意味が分からなかった。なんで諦める?なんで絶望する?そう思うことが常だった。


だけど今なら分かる。

そうなってしまう程に、自身ができることが何も無いのだ。足掻こうと思っても、足掻かせてくれないのだ。できることと言えば、精々誰かの助けを祈るか、こうして絶望することしかない。


だから、諦める。

だから、挫折する。

だから、死んでも良いと・・・死ぬ以外の道はないと思ってしまう。




そう、こうしてこちらに巨大な岩が飛んできているのを目の当たりにしても、足は動かない。もう、逃げるために行動することを身体が諦めてしまっている。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう・・・いっか・・・。





















———————————————————————————————————————————————————


「・・・・・・・違うだろう、海斗。()()()()()()だろう。」



遠目からポツリと呟いた言葉は、はたして海斗には届かない。

自身が押さえつけているため隣で喚き散らしている仲間の声にかき消されているのもあるだろうが。



声は届かない。助けに行く気もない。今助けなければ、海斗と後ろの親子は飛んできた岩に潰されて終わりだろう。それでも動かない。






されども、天は少年を見捨てない。


———————————————————————————————————————————————————


目にしたのは、飛んできていた岩が粉々になって吹き飛ぶ様。


幸か不幸か、振り抜かれたBランク蝕食の尻尾にたまたま当たって粉砕されたようだ。

そんな気は毛頭ないだろうが、結果として俺たちを救ってくれたBランク蝕食は、そのままAランク蝕食へと激突していく。何度攻撃を受けようが、それでも諦めずに。





何故?





その呟きは虚空へと溶けていく。


何故、突撃していく?

何故、恐れない?

何故、諦めない?

何故、動き続けられる?


自身よりも()()()()強者を前にして、何故それでも「逃げる」という選択肢が浮かんでこない?



蝕食は人に害をなす存在だ。種族的な本能として「捕食者」である彼らは、その顔に凶暴さと残忍さしか宿してはいない。自身の目の前に立つ生物は、全てが「餌」の範疇にあるためだ。




だが、目の前のBランク蝕食は違う。

その顔は「必死」だった。





眠りを邪魔されて


自身よりも遥かに小さいのに、攻撃してきて


その攻撃によって追い詰められて


お互いもうすぐ死にそうな状態にまで死闘を重ねて


そんな折に、自身よりも格上のやつが万全な状態で現れて




「・・・・・・ああ、そうか。・・・・・・・そうなのか。」




本来なら、絶望して一切の動きを止めてしまう状況。それでも尚、奴が必死に食らいついている理由。





「・・・・・・・・・・・・お前は・・・・・・・()()()()のか。」




状態は、俺となんら変わらないだろう。ここからAランク蝕食に勝てる可能性は0。逃げ切れる可能性だって0。自身が食い殺されることなんて分かりきっていることだ。




パキパキパキ・・・と、奴が音を立てる。Aランク蝕食の触手を一本噛みちぎって飲み込んだのがトリガーだったのかは分からないが、古き皮を脱ぎ捨てたその体躯はさらに大きくなり、正真正銘「Aの領域」へと入り込んだことを示している。




脱皮をして、Aランク蝕食へと進化したところで、以前までの傷は回復するわけではない。以前として不利な状況は変わらないだろう。


だが、襲来した漆黒のAランク蝕食に対して、まるで完全な敵対を示すかの如く白銀のAランク蝕食へと進化した奴の目はまるで諦めていない。





奴の本能は叫んでいるのだ。「生きたい」と。それが例え無駄になるとしても、自身のできることを全てやってでも「生き延びたい」と。






「・・・そうか・・・・・・そうだよな・・・・・・『生きたい』よな・・・・・・。」





生きることに絶望することと、生きたいと思わないことはまるで違う。生きるのが絶望的な状況でも、生きたいと強く想い、叫べるのが「()()()」なのだ。俺は、それを忘れていた。



目の前に先ほどと同じような岩が飛んできている。とても早いスピードだ。避けるのは難しいだろう。


・・・・・・・・・だけど、それでも!





———少年に先ほどのような助けはこない。


・・・・・・・・・故に叫ぶ。






「死んでたまるかっ!!!!!!!!!!」


俺は!生き延びたい!!









そして、その強き『想い』に不可思議な力(エーテル)は呼応する。













「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」



目の前に広がるのは、勢いを無くし止まった大岩。・・・・・・・否、()()()()()大岩。


そして、凄まじい速度で人間3人を潰そうとした大岩を軽く止め、今尚包み込んで空中に浮遊している()





その光景を見つめる少年の右目は、黄色い輝きを放っていた・・・・・・。

長い・・・。長かった・・・。

本当は5話ぐらいの間に海斗の能力を覚醒させたかった・・・・。

気づけば14話かかってた・・・・。



と言うことで、海斗の天力(エーテルギフト)が覚醒したので、次回は【拳魂武術(けんこんぶじゅつ)】のまとめをしていきたいと思います。

ちょっと一旦箸休めですね←今まで休んでた奴が何言ってるん。



あとしれっと脱皮して進化してるBランク蝕食さん。これでAランク蝕食が二体という地獄絵図の完成。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ