戦う意味 玖
4日目・・・・・・頑張ってるね、うん・・・。
〆切に追われながらもきちんと面白い作品を書き上げる作家さんとか漫画家さんってすごいんだなぁ・・・と、改めて思いました。
評価・コメント等たくさん欲しいです!ブックマーク、してくれるともっと嬉しいかな?
「何者なのですか?彼は。」
一人と一匹の死闘が繰り広げられている。そして、それを見ながら星降歌那は神楽楓へと問う。
「何者でもない、ただの一般人だよ。強いて言うなら、僕の一番弟子、かな。」
神楽楓は言葉を返す。
「そこですよ。弟子ということは、あの修行をくぐり抜けた、ということですよね?」
訝しげにしつつ、再度歌那は問う。「あの修行」、それが尋常ならざるものだと知っているがための疑問。
「まあ、そういうことになるね。」
楓は肯定する。自らが指導し、鍛え上げた者の実力は、楓が一番把握している。
「あの修行を、一般人が最後までやり通せる訳ないと思っていましたが。」
歌那の質問は、彼女が本当に聞きたいことへと舵を切っていく。それは、つい先ほど得た情報。
「一般人だよ。正真正銘の、ね。」
楓は全てを見通す。歌那の質問も大方予想がついてしまうが故に、あらかじめ回答を渡す。
「・・・・・・『天音』であると聞きましたが?」
とうとう、歌那は本質をついた。それは、少年の苗字、ひいては少年の出自に関する疑問。
「・・・・・・ああ。彼は、『天音 海斗』だよ。」
だがそんな問いにも楓は動じることなく答える。楓は苗字がなんの意味もないことを知っているから。
「・・・・・・・・・・・・『五雄』の一人と同じ名ではありませんか?」
口にしたのは、遠い遠い過去の英雄。大多数には存在を忘れ去られ、陰でひっそりと語り継がれる救世主。
「・・・・・・百鬼夜行に立ち向かった英雄の一人。『天音 綾越』・・・・・・か。」
ふっ・・・・・・と遠い目をした楓は、繰り広げられている死闘から初めて目を逸らした。
「・・・・・・このことに関しては、同じ根をもつ楓さんの方が詳しいとは思いますが。」
やや遠慮がちに、楓の様子を伺いながら歌那は問う。
「・・・・・・・・・・・・・・・・確かに、彼の家は直系だよ。」
ややあって、肯定する。現代には二家系しか残っていなかった『五雄の直系』。
「ならば・・・!」
楓の言葉が指す事実に、歌那の目は大きく見開かれる。だが、楓が紡ぐ言葉はそれを否定する。
「だけど・・・・・・彼は違う。」
悲しそうな目をしてそう告げる楓に、歌那は当然疑問を抱く。
「え・・・・・・?」
「彼と、彼の父君・母君は、血縁者じゃない。彼は、『天音家』の養子なんだ。」
苗字など意味はない。現代に二家系残っていた、千年前の五雄の直系は、およそ3ヶ月前にとうとう一家系になってしまった。先祖が立ち向かった蟲によって、『天音』の血は途絶えたのだ。
だがそんなことは一人と一匹には関係がない。彼らは命をかけた死闘の中にいる。死闘において、「苗字」「家系」「出自」なんてものはどうだっていいのだ。重要なことはただ勝つことのみ。
「【拳魂武術】・・・・・・【武雷】!!」
「ゴァァ!!」
良いぞ。父さんが教えてくれた「隙を誘う」戦い方。今までとは違って、確実に奴を削れてる。奴の装甲もだいぶ傷が出来てボロボロになってきた。今なら、装甲の上から殴ってもある程度攻撃が通るだろう。
だが、長時間戦い続けている俺の体も結構ボロボロだ。こうやってこまめに休息を取らないととてもじゃないが体力は続かないし、腕や足も痛みが出始めている。なにより攻撃を避けるためにずっと集中していなければならないから、精神の磨耗が半端じゃない。
このまま何事もなく勝てれば良いんだが・・・(盛大なフラグ)。
脱皮で自己強化とかしないでくれよ・・・(盛大なフラグ2)。
「グルルルルルルルルル・・・・・・・」
今はお互い小休憩中だ。この間に攻めたいのだが、畳み掛けるにはこちらのダメージが大きすぎる。行ったところで逆にこっちが袋叩きにされるのがオチだろう。だがそれは向こうも同じ。向こうとてこちらを下手に追撃してきたら、またカウンターを決めるだけだ。お互いそれが分かっているから、動かない、動けない。だが、そんな束の間の休憩もすぐに終わる。
「グルルルルルルルルルル・・・・・・・・・・・ゴァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
「ちっ・・・!こっちはまだ回復し終わってねーんだよ!もうちょっと休憩させろや!!!」
またひたすら逃げる。
逃げて逃げて、追われて追われて・・・・・・。捕まったら死亡の命懸けの鬼ごっこ。常人ならば、そんな鬼ごっこを3時間も続けられる訳がない。だが、天音海斗は続けられる。
長時間走り続けられる体力ではない。岩をも砕く力の強さでもない。その精神力の強さこそが、天音海斗の最大の武器なのだ。そして、それは血が繋がっていなくとも、親から譲り受けた確かなる『絆』。
「さぁ・・・・・・・そのまま突撃して来い・・・・。」
「ゴァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
「【拳魂武術】・・・・・・【跳脚】!!!」
「ゴァァァ!?!?」
「【拳魂武術】・・・・・・【揬螺旋】!!!!」
「ゴァァァ!!!!」
あー痛ってー。【跳脚】は【飛脚】の派生技。【飛脚】が両足で思いっきり飛ぶのに対し、【跳脚】は片足で力を抑えながら跳ぶ。今回のように瞬時に横に逸れたい時とかに使うが、片足である分負担が大きい。左足が悲鳴をあげている。
とはいえ・・・だ。【揬螺旋】によって横っ腹にだいぶ良い一撃を叩き込んだから、奴だって相当量のダメージだろう。だから、もう一息頑張れば良い。
「グルルルルルルルルル・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
さりとて蟲は不敵な唸り声を上げる。
「ゴァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
来た!!次のカウンターで決め切る!!もう一度誘い込んで、ベストなタイミングで【全世壊】を叩き込めば、絶対に勝てる!!あとはタイミングを見極めるだけ!!
「ゴァァァァ!!!」
ここだっ!
「【拳魂武術】・・・・・・【飛脚】!!!」
よしっ!あとは奴の裏に着地して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?
勝利を確信した海斗は、次の瞬間にBランク蝕食の体当たりを受けて吹っ飛んでいた。
なぜか。Bランク蝕食は海斗に突っ込みながら、すでに軌道変更の動きをしていた。海斗が【飛脚】を使って真上へと脱出した時、それを追って真上へと軌道変更したのだ。その巨体は急な軌道変更によって大幅な減速をしていたとはいえ、海斗を吹っ飛ばすには十分すぎるほどの威力を備えていた。
「・・・っ、がはっ。ごほっ・・・・・・ぐっ。」
誘いに乗ってこなかった?・・・今までの経験から学習したとでも?・・・・・・畜生。
「グルルルルルルルルルル・・・・・・・」
「こりゃ・・・・・・まずいな・・・・・・。」
どこか勝ち誇ったような唸り声を上げる蝕食を前に、つう、と一筋の汗が頬を流れていった。
蝕食が地球に襲来するのは、これで「二度目」。
千年前、最初の襲来は五雄たちを筆頭とした人類によってなんとか撃退。しかし五雄全員が『百鬼夜行』の際に己の命をかけてギリギリ相打ちに持ち込めた程度。
・・・・・・「ツギハナイ」。




