対等
「沙門逃げろ!!」
その言葉と共に俺はファーゼルに突き飛ばされた。
そしてそこから数秒で、
ファーゼルは目で追えない速度で吹き飛ばされた。
その飛ばされた時の勢いで、
煙幕の様な煙も全て消え去った。
俺は直ぐにファーゼルの元へ駆けつけ、
ファーゼルに話しかける。
「大丈夫か、ファーゼル。」
「大丈夫だよ、沙門。あれは人じゃないがな。」
その”あれ”が指す言葉を最初は理解に時間が掛かったが、
理解した。
『ゔぁぁぁ!!ゔぁああ!』
叫び始めた一人の少女。
髪の毛は白と黒で髪の根本は黒で、
それ以外は白である。
その少女に吹き飛ばされた二人の夫婦と少年。
少女は黒髪で、だけど
魔物の鳴き声の様な、
そんな声で叫んでいる。
夫婦の女の方は
髪が青い、よりは紺色に近く、
ショートカットで片目に大胆な多量な髪の毛をかけている。
男の方は高身長なイケメンの様で、
黒髪だった。
そして少年は
髪の毛の色が紺と白の混合色の様で、
ガキだ。
『人間は殺すべきです。
人間と血鬼は同時に存在してはなりません。
価値のある方が、力のある方が世界を制するのです。』
少女が冷静にそう話し始める。
またそう言って彼女は攻撃体制に入った。
「ニア!そんなことは間違ってる!
人間と血鬼は両立出来るんだ!」
夫婦の夫がそうニアらしき少女に伝える。
だが、ニアは何とも思わない様な顔を見せて
血鬼の武器を出した。
『殲滅対象、男二名。殺します。』
「沙門。血鬼とは人間を喰って人間を殺す。
そして奴らの武器は、肩から生えてくる触手。
先端は鋭く、人間の骨を打ち砕く為に作られている。」
「分かった。」
【真武術 闘発】
この技は火炎拳の方とは違い、魔力をそのまま出す、
謂わば退化版である。
「行くぞ!」
二人で走りに掛かる。
ファーゼルは腰に携えた刀剣を持ち襲いかかる。
『殺します。』
俺は触手に攻撃、
ファーゼルは胴体に攻撃をしたが、
予想外だった。
忘れていた。
奴は衝撃波を放てる。
触手全体に衝撃波を纏わせれば攻撃をした瞬間に
カウンターが起きる。
「如何にもチートじゃないか、」
二人共吹き飛ばされた。
あれには二人でも対抗が難しい。
『ニア。
君は、そんな事をしても意味はないと分かってるだろう?
自分の子供も助けれない僕は弱い。
いや、自分で弱くしてるだけだ。
ああ、もうむかつくぅ。
サクラ。
僕はちょっと暴れるよ。』
「いいよ。ノスト。貴方は誰よりも強いのだから」
その言葉と共にノストらしき夫婦の夫の髪が白くなり、
目が紅くなった。
【血鬼綜合 覇】
その時ありえない程の覇気が俺達を襲った。