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偶像

九條さん、生きてたのですか」

目を覚ました九條に話しかける俺。

いや目を覚ました は可笑しい。まだ生きていたの方が分かりやすいか。

「奏多、わしはもうダメだ。」

突如最悪な言葉を放った九條。

「なんでそんな事を言うのですか、俺の能力で」

「無理じゃ。」

即答してくる九條。再生眼を使えば一瞬な筈じゃ。

【再生眼】

能力を使った。だが九條には変わり様がない。

「何で。」

「わしが異世界に転移された時得た能力は、

   人ヲ失ッタ醜蝶じゃ。」

【人ヲ失ッタ醜蝶】とは何だろう。

「人ヲ失ッタ醜蝶は言葉の通り、人ヲ捨てた醜い蝶と言う事だ。能力は強制停止能力。人間による攻撃は受けず物理的な攻撃のみを受ける能力じゃ。だが自分の能力なら使える。」

「でも」

涙が溢れてくる。人の死はとても切ない物と今気づいた。

「最後に言い残す事がある。」

「はい」

「奏多。お前は強いとてつもなくだ。この世界で最強と言ってもいいだろう。だがな調子には乗るな。馬鹿げた事をするな。それを使っていいのは人を守る時そして、自分を守る為に使え。決して人を意味もなく傷つけるな。そしてお前には一つ足りないものがある。大切なものを作れ。何でもいい。それは奏多、お前の価値を証明してくれる。最後に

わしに【代償転換】を使え。」

「そんな」

「やれ」

威圧がくる。

「はい」

【代償転換】

「奏多、お前はわしの世界で一番の弟子じゃ」

その一言を残して去っていった。」

耳が聞こえない。どうしてだろう。そう思っているとその原因に気づいた。叫んでいたのだ。耳が聞こえなくなるほどに。

悔しい、涙が止まらない。笑えない。

「もう今日から俺は笠井奏多じゃない。」

自分を捨てる為に。新しい日々をスタートさせるために。

「今日から俺は、九條奏多だ。」


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