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ダブル  作者: 泉流計
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 永遠。

 それは、人間が求めるもの。求めて止まないもの。

 愛に、生に、人間は、永遠を求める。今が続けばいい。今が終わらなければいい。この、現実が現実のまま、永遠に、続けばいい。どこまで行っても終わりがないなら、終わらなければいい。神が許さないのなら、神に反抗する。宿命など、どこ吹く風、人間は、ただ人間として、使命を、全うする。死んだほうがましだ、なんて、考えない。死ぬために生きているのなら、生とは何なのか。命とは何なのか。皆、生きるために生まれてきた。

 死ぬためでは、断じてない。

 死ぬくらいなら、生きる。生きて、生きて、生き抜く。

 山もあるだろう。谷もあるだろう。壁もあるだろう。

 それでも、生きる。生き続ける。

 生きなければならない。人間は、生まれた以上は、生きなければならない。死んではならない。絶対に死んではならない。

 そう、死んではならないのだ。

 死ぬことは親への抗議なのかもしれない。生んでくれと頼んだ覚えもないのに、生んだ、親への。

 だが、生まれたことすら呪うのなら、生とは何なのか。生きる、とは、何なのか。生きたい、と、望んでいるはずだ。心の奥底で、声にならない声を出し、叫びをあげて。生きるとは何なのか。

 今一度問う。

 生きるとは何なのか。

 生きたいのなら、生きればいい。

 存分に生きればいい。

 双子は、生きることを選択した。宿命に抗うことを選択した。

 彼らの状況は、変わるわけではない。お互いがお互いに聞こえる「声」は、終わるわけではない。どこまで行っても、そのままだろう。

 それがどうした。

 彼らは気づいたのだ。「生きる」ということに。「兄弟を愛する」ということに。

 愛とは何なのか。

 双子は帰るべき家に、帰った。父親と抱擁した。自分たちの愚かさに、気がつき、「許し」にも似た感情を、抱き合った。二人は和解した。

 今、二人は、眠りにつこうとしている。それぞれの部屋で、それぞれの寝床で。それは全く別の部屋であり、壁を隔てて異なる空間だった。

 しかし、二人には確信があった。自分たちは一つだ。一つなんだ。自分たちは、この世に二つとない、無二の兄弟なんだ。代わりはいないのだ。

 人間の愚かさは変わらない。天地開闢の時から変わらないのかもしれない。

 だが、そんなことは関係なかった。二人は一つになったのだ。

 先はわからない。これからも、二人には様々なことがあるだろう。喧嘩することもあるだろう。いがみ合うこともあるだろう。慈しみ合うことも、あるだろう。二人の試練は続くのだ。果てしなく、どこまでも。その命尽きるまで。

 光が見えた。まばゆい、光が見えた。この光景は何なのだろうか。現実とは思えない。あるいは夢か、幻か。

 光の中で、誰かが囁く「声」が聞こえる。それは、笑い合っているように聞こえた。同時に、羽持つ者の、羽音が、どこか遠くから聞こえた。

 見ている者は、その「声」の中へ、身を委ねた。安らかな気分になった。生まれて初めて、こんな気分を味わっていた。心の声が聞こえる。

「ああ、こういうことだったのか……」

見ている者は、今は穏やかに、ただ穏やかに、眠りについた。

拙著『ダブル』、これにて終了です。読了ありがとうございました。




〈いつも読んでくれている方たちへ〉

いつもありがとうございます、感謝します。読んでくれている人がいる、その事実が、私にとって、とてつもない励みです。漫画家とかが、よく、ファンレターが励みになっているとおっしゃっることがありますが、かつてはそんなんウソやろ、とか思っていました。浅はかでした。あれは本当なんだな、と、拙いながら小説を公開して、ひしひし感じます。読んでいる人がいるだけで、すごく助けになってます。小説を書くようになってから気づきました。書かなければ、おそらく、一生気づかなかったでしょう。


これからも、文学を追究し、読んでくださっているあなたの、心に深く響く、小説を書いていきたいと思っています。読んで良かった、そう思っていただける、小説を、何作も、何作も、書いていきたいです。


重ね重ね、ありがとうございます。


また、お願いします。

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