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異世界転生 〜俺が魔王になる理由〜  作者: 相度@益太
プロローグ
1/84

異世界転生って

 異世界転生って小説とかに良く出てくるが、実際どうなんだろ。


 記憶を持ったまま、向こうの世界に転生する。そうすると、赤ちゃんのあいだを転生する前の記憶を持ったまま過ごす…ことになるんだよな。時間にして、3、4年だろうか。


 それって、どうなんだろう…。


 普通に考えると記憶はあるけど、味覚は赤ちゃんだから、母乳とか親がかみ砕いた柔らかいもの(見た目はかなりあれだよなぁ…)を食べるんだよな?


 

 大丈夫っていうか、本当に食べられるのだろうか。



 俺だったら、凄い抵抗ありそうなんだけど。記憶があったら、そういうのに抵抗感じて、食事ができなくて栄養失調ですぐ死んじゃいそうだ。

 

 それに、声帯は発達してないから喋れない。


 今でも、うまく言葉が伝わらないと精神的に凄くイライラするのに、ストレスが凄そうだな。それから、寝てるときにゴキブリとかやばそうな蟲が現れたら、とんでもないことだろうな…。動けないのに、気持ちの悪い蟲が迫ってくる。必死で泣くだろうな、必死で。そう考えると、記憶持ったまま転生とか、俺はありえそうに無い。


 っていうか、たったそれだけのアドバンテージでそんなに人生変わるんだろうか。


 なんて考えながら、異世界に転生した主人公が奴隷の女の子といちゃいちゃするビデオを見ている自分は何なんだろう。駄目なやつだなぁと、本当に自分でも思う。


 あーあ、疲れた。明後日から中間試験だよな。


 壁に貼ってあるアイドルグループの女の子の写真の載ったカレンダー


 (水着姿だけど、そんなに胸が大きい訳ではない。俺はそういうところはあんまり拘らないのだ。只、ウエストから、ヒップラインは大事だと思う。うん。)


 を見つめて、ぼんやりと呟く。

 自分に言い聞かせるように…。今日は、学校から帰ってきて、家に誰もいなかったから、自分の部屋でぼうっとしてる。

 中学校の中間試験が近づいて、何となく現実逃避。ご都合主義の厨二病男子が喜びそうなアニメを、親に隠れてみている。

 まぁ、実際、俺は中学二年生の14歳な訳だから、ありって言えばありなんですよね。


 いや、ないか。


 しょうがないから、勉強でもするか。面倒くさいなぁ。今日は土曜日、明日は日曜日。なんで月曜日に試験とか持ってくるんだろう。

 金曜日にすればいいのに、試験の後にぱぁっと…遊べるのに。っていっても本気でそれで、遊んでるのは俺みたいな負け組だけかなぁ。


 クラスのやつらの可哀そうになぁ、お前って顔がちらつく。別にそう言われた訳じゃないけど。

  一年生の時の最初の試験だった。小学生気分で何も勉強してなかった、俺は数学の試験が35点だった。

 その時に、笑われたことが今でも頭にこびりついている。糞教師が一番低い点数は、黒沢さんの35点ですとかふざけて発表したからあんなことになったんだが、本当に、パワーハラスメントだよな。

 って言っても、それで悔しくて勉強するようになったし、まぁ仕方ないことなのかもしれないが、不登校になったらどうするつもりだったんだろうか。

 人の悪口ばっかり言ってる、クラスだからなぁ。ほんと、碌な奴がいないと思う。


 それまで、ベッドに横になって、タブレットでアニメを見ていた俺は、ヘッドホンを外して、タブレットごとベッドの上に放り投げて、机に座る。机の横にある本棚から、教科書とノート、練習問題集をとって開く。


「はぁ、駄目だぁぁ、やる気がでないよぉ」


 顔を濡らされた〇んパンまん、みたいな声を出してみる。


 机に座ったまま、頭を支えるように両手で、目を覆い、考え込むようにして目を瞑る。


 ほんと、俺も転生とかしてみたいです。


 目を瞑って祈る…祈る…祈る…そして、恐る恐る、目を…開く



 当然、何も変わらないんだけどね。


 でも、祈りたいんだよ、祈りたい時あるよね。わかってもらえるとは思ってないけどさ。


 もう、勉強もいやだし、学校行くのも面倒くさいし、イジメられてる訳じゃないけど友達付き合いとかどうでもいいし、成績も中の下、運動も中の下、見た目もそこそこ、親は普通のサラリーマンで一戸建てだけどローンで定年まで社畜状態、ママは勉強しろってガミガミうるさくて、最近、俺を塾に通わせたり大学の資金に充てたいからとか言って、パートに出るようになった。


 変な期待とかされても困るんだよな、俺は只のゴミみたいな中学生なのに…。せめて、金持ちに産まれたかった…。


 なんか、ほんとどうでもいいわ。


 死にたいとかそういう訳じゃない、でもなんかいやだ。やり直したいとか、そういうんでもないけど、楽して生きていけたらいいのに。


 転生したらチートパワーで勝ち組なんだろうなぁ。俺も可愛い女の子といちゃいちゃしたいよ。


 そんな、どうでもいいことを考えながら、気が付いたら俺は眠ってしまっていた。



 そう、眠ってしまっていたんだ。



 眠って…








 

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