第10話 「私が私であった物語」
最終回です。
今までありがとうございました。
「里奈……!」
「やっとみつけた!探したんだよ。ずーっと」
「いや、来ないで!」
私は精一杯走って逃げ、教室に入った。
強引に開けようとする里奈。
殴る開けようとする如く音を立てていた。
私は、恐怖のあまり机の下に隠れていた。
なん分位だろうか。しばらくして音は無くなった。
「なんっで?私はこんなにも好きで好きで堪らないのに、なんで凛は拒絶するの?」
その声には、殺気すら感じた。
「…………。」
声が出ない。
「なんで黙ってるの?あそっか、そっかそっか!他の人が来てくれるの待ってるのか。
でも、ざんねーん、今日は優君、午後から練習試合だって!それも他の学校で。
だから、いとしの優君は助けに来てくれません」
…………。
少しずつドアが開き始めた。
「もう少しだからさ、待っててよ」
「このっ!開けよ!このっ!この!」
ギィ、ギィ。メキッ!ギィ!
嫌な擦れる音。
「あっ!やっと逢えた。」
その手には今までなかった筈のナイフが
ゆっくりと近づいてきて。
「邪魔だな〜!」
私が隠れている机をどかし、腕を切りつけた。
「今度はこっちも!」
彼女の顔に先程切りつけた足の血がついた。
「あっは!いいねいいよ。私を凛の血で染めて!」
里奈は、切りつけては自分の顔に塗り、次に腕、手、上半身に塗っていた。
私このまま死んじゃうんだ。
……
……
……
……
……
……
「凛っ!」
そう叫んだ声は、優君だった。
私は優君が駆け寄ってくる姿を最後に気を失った。
その後のことはまったく覚えていない。
その後に先生から聞いた話では優君が里奈を殴ったらしい、意識がなくなっても殴り続けている優君を見つけた先生が殴ることをやめさせ警察と救急車を呼んだらしい。
時は流れ15年後
私は優君と結婚して子供も出来、順風満帆に過ごしていた。
「いってらっしゃい、あなた」
「香織もいってらっしゃい」
2人共が行ってきますと言って行った。
「はー、本当に毎日は疲れるわ。年かしら」
ピーンポーン!
「はーい」
「匿名急便で〜す」
宅配業者の持っているのは
一本のペットボトルが入るぐらいの箱だった
「ご苦労様です」
「何かしら……」
箱を開けてみるとそこには、赤い布で包まれた物と紙が入っていた。
そこには「ようやく2人になれたね。今度は凛の番だよ。」と書いていた。
赤い布で恐る恐る触れると少し湿っていていたがめくっていくと、血だらけのナイフが入っていた。
私が驚きのあまり止まっているとカーテンが靡いた。
「なんでカーテンは、靡いて?
だって窓開けてないのに…」
そう思いつつ後ろを振り返った。
「ようやく2人になれたね凛。今度は逃げないでね?」
END