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内埋丙理ーC
「巴巳ちゃん巴巳ちゃん巴巳ちゃん…」
がりがりがりがり。
その時のことを思い出し、巴巳ちゃんの名前をうわ言のように繰り返し、全身を掻き毟る。私の目が、何か光るものを捉えた――と思ったら、ソレはこちらに向かって飛んできた。目を逸らすこともできず、私の目は、ソレに釘付けになっていた。
「え…?」
時間が止まったかのような錯覚。ソレ、は銃弾だった。鈍く光る、鉛の球。緊張状態によって周りのものの動きがゆっくりに見える感覚。こういう感覚をなんて呼ぶんだったっけ、と現実逃避のようなことを考えた。
残念ながら、精神的にはともかく身体能力は普通の人間である私には、銃弾を避けることなど不可能だった。
私は最期に、銃弾が自分の頭蓋骨にのめり込む音を聞いた。
それが最後だった。
バイバイ、巴巳ちゃん。私の大好きで、大嫌いだった人。
来世では、会わずに済むといいな。