内埋丙理ーB
名前は忘れたけど、私が殺したアイツはクラスの中で所謂女王様ポジションだった。顔はまあ整っている部類で、成績もトップクラス。家は裕福で、持ち物は基本ブランド品。
でも、巴巳ちゃんはアイツよりもはるかに頭が良くて、運動神経だってよかった。家は普通の家庭という感じだったけれど、クラスの中では特にグループを作らず、だけど誰とでも仲良くする。
それに引き換え、アイツは本当のところは、あまり皆からよく思われていなかった。本人もうすうす気付いていた。巴巳ちゃんは皆から人気があった。そのせいで、彼女は常にイライラしていた。
だから、私という生贄を作った。それが私が中学二年生の時の話。
他の子も、ターゲットになってしまった私のことを憐れみながらも、アイツに自分が睨まれるのが嫌で従っていた。
「もうちょっとの辛抱だから、アイツが飽きたら終わるから。」
「もう少しだけ、頑張って。」
「私たちは味方だよ。」
何度そんなことを言われたことか。でも、彼らは優しい言葉をかけてくるだけで、実際になんとかしようとはしなかった。手を差し伸べたフリをするだけ。もう誰も信じられなかった。
だけど、巴巳ちゃんは違った。私を助けてくれた。それどころか、三年になってクラスが分かれても、仲良くしてくれた。
でもアイツは、そんな巴巳ちゃんのことまでいじめようとした。結果は失敗に終わり、アイツは立場を失い、転校する羽目になったたけれど。
ただ、私に対するいじめは続いた。主に、私のことをあまりよく思っていない人たちから。
でも巴巳ちゃんはそんなの気にも留めなかった。
私はそんな巴巳ちゃんのことが好きだった。likeではなく、loveの意味で。
私は中三の卒業式の日、思い切って告白した。でも、返ってきたのは
「丙理のことは、友達だと思ってるから…ごめん。」
というつれない返事だった。
それから私たちは高校も分かれ、もう会っていない。今から二年前のこと。私はやっとのことでアイツの住所を調べ、おびき出して復讐を果たしたのだ。
何度も何度も問を繰り返した。
何で、どうして、巴巳ちゃん。
私は駄目だったの?