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始まりの終わり
『いつか、また、あえるから。そのとき、まで、待っていて』
苦痛に顔を歪め奥歯を噛み締めて、でも口角をあげて笑顔でいようとしながら必死に言葉を絞り出す少女の手を青年はまるで祈るかのように両手で包み込んでいた。
『ずっと待ってる』
青年が小さくぽつりと呟いた言葉を聞いた少女は先ほどまでの苦痛の表情がまるで嘘のように聖女のように優しく微笑んだ。
少女の瞳から雫が零れ落ちた時、少女は塵となり、光となり、舞って、消えた。
そして長い時が経った今もなお、青年は少女を待ち続けている。